勝手に論愚選
【朝日俳壇2025.06.22】
[長谷川 櫂 選]
長嶋逝く夢は夏空かけ廻る (八王子市 額田 浩文)
ナイターは毎晩ながらさりながら (朝倉市 深町 明)
大夕焼4三振のデビュー戦 (瑞浪市 岩島 宗則)
昭和逝く長嶋ひばり裕次郎 (長野県蓼科町 村田 実)
夏草のいつの間にやら闇をなす (さいたま市 春日 重信)
ヌカ漬の重石(おもし)うたふか夏の寺 (東京都文京区 片岡 マサ)
東京の夏の谷間を神田川 (さぬき市 鈴木 幸江)
孤独死となれば恥ずかし寝る裸 (岐阜市 金子 秀重)
[大串 章 選]
日々育つ青田に命溢れをり (水戸市 伊師 繁次)
庇(ひさし)なき我家素通りつばくらめ (仙台市 柿坂 伸子)
緑陰や武士の墓前の異邦人 (横浜市 秋野 晃枝)
父の日や仕舞ひしままの資本論 (大和市 岩下 正文)
[高山 れおな 選]
人類の他は裸足や梅雨に入る (神戸市 島田 雄作)
亀の子の化学式書く青嶺(あおね)かな (千葉市 團野 耕一)
(評)亀甲文様にも似た化学式を、亀の子の歩みで学ぶ――と読めば「亀の子」は懸け言葉に。
雨燕(あまつばめ)きのふの雲と来たるかな (上尾市 山口 流離)
囀(さえず)りに頸傾げゐる鴉かな (ドイツ ハルツォーク洋子)
めまといが私の涙まっている (成田市 かとう ゆみ)
トンネルを抜けると万緑の喝采へ (名取市 相澤 ひさを)
[小林 貴子 選]
栗の花実になるまでの謎多し (大和市 平子 進)
日めくりの透けたる明日夏きざす (横浜市 山田 知明)
父の日や勝ちたかったな腕相撲 (郡山市 寺田 秀雄)
不可能の文字も知らずに滝登り (筑紫野市 二宮 正博)
長嶋の大空振りに夏力む (桶川市 戸室 和博)
いななきで葵祭の列止まる (京都市 名村 悦武)
これも白あれも白真つさらに夏 (袋井市 本多 りつ)
勝手に論愚選
【毎日俳壇2025.06.23】
[片山 由美子 選]
紫陽花や姉妹の旅もこれきりと (鹿児島市 平川 玲子)
羅(うすもの)やたたみて藍の濃く淡く (東京 あべ ゆう子)
薔薇園のマリア・カラスに会ひに行く (さいたま市 金井 裕子)
帆船の水脈(みお)豊かなる立夏かな (加古川市 中村 立身)
[小川 軽舟 選]
青田波旅客機機首を上げにけり (立川市 大西 信子)
風薫る喜寿を迎えし少年ら (青森市 天童 光宏)
青く立ち白く崩るる夏の波 (北本市 萩原 行博)
えごの花散り敷く上にまた散りて (宗像市 波田 てつお)
[西村 和子 選]
頬杖をついて遠目の夏帽子 (東京 高木 靖之)
晩年へ心ととのへ更衣(ころもがえ) (有田市 谷中 節子)
這ひ這ひの速くなりたり青嵐 (姫路市 田辺 富士雄)
葉桜の天蓋となる遊歩道 (横浜市 相沢 恵美子)
夏山や焼きおにぎりの芳しく (那須塩原市 谷口 弘)
夕風に水の匂ひや田植時 (羽生市 岡村 實)
水口の水ひそひそと花しょうぶ (岡山市 三好 泥子)
杣道(そまみち)の不意の明るさ合歓の花 (つくば市 村越 陽一)
[井上 康明 選]
涼しさや哀悼に美辞つらねざる (川越市 峰尾 雅彦)
滝を見し帰路にゆゑなき涙出づ (直方市 岩野 伸子)
蚊遣火匂ひ予備校の掲示板 (甲府市 清水 輝子)
明易(あけやす)や生誕の日の海の紺 (富士市 後藤 秋邑)
茅花(つばな)流し祖父に竹馬の友ありし (東京 石川 黎)
老鶯(ろうおう)や天に湧水あるごとく (八街市 山本 淑夫)
桂垣光悦寺垣苔の花 (姫路市 板谷 繁)
黄雀風(こうじゃくふう)ポールに当たるホームラン (伊丹市 噂野 アンドゥー)
【毎日俳壇2025.06.23】
[片山 由美子 選]
紫陽花や姉妹の旅もこれきりと (鹿児島市 平川 玲子)
羅(うすもの)やたたみて藍の濃く淡く (東京 あべ ゆう子)
薔薇園のマリア・カラスに会ひに行く (さいたま市 金井 裕子)
帆船の水脈(みお)豊かなる立夏かな (加古川市 中村 立身)
[小川 軽舟 選]
青田波旅客機機首を上げにけり (立川市 大西 信子)
風薫る喜寿を迎えし少年ら (青森市 天童 光宏)
青く立ち白く崩るる夏の波 (北本市 萩原 行博)
えごの花散り敷く上にまた散りて (宗像市 波田 てつお)
[西村 和子 選]
頬杖をついて遠目の夏帽子 (東京 高木 靖之)
晩年へ心ととのへ更衣(ころもがえ) (有田市 谷中 節子)
這ひ這ひの速くなりたり青嵐 (姫路市 田辺 富士雄)
葉桜の天蓋となる遊歩道 (横浜市 相沢 恵美子)
夏山や焼きおにぎりの芳しく (那須塩原市 谷口 弘)
夕風に水の匂ひや田植時 (羽生市 岡村 實)
水口の水ひそひそと花しょうぶ (岡山市 三好 泥子)
杣道(そまみち)の不意の明るさ合歓の花 (つくば市 村越 陽一)
[井上 康明 選]
涼しさや哀悼に美辞つらねざる (川越市 峰尾 雅彦)
滝を見し帰路にゆゑなき涙出づ (直方市 岩野 伸子)
蚊遣火匂ひ予備校の掲示板 (甲府市 清水 輝子)
明易(あけやす)や生誕の日の海の紺 (富士市 後藤 秋邑)
茅花(つばな)流し祖父に竹馬の友ありし (東京 石川 黎)
老鶯(ろうおう)や天に湧水あるごとく (八街市 山本 淑夫)
桂垣光悦寺垣苔の花 (姫路市 板谷 繁)
黄雀風(こうじゃくふう)ポールに当たるホームラン (伊丹市 噂野 アンドゥー)
勝手に論愚選
【読売俳壇2025.06.23】
[矢島 渚男 選]
何がある雉(きじ)が二山越えて消ゆ (香芝市 中村 鈴)
棘(とげ)こそが生きてる証薔薇の花 (行橋市 野田 文子)
葉一枚ついててうれしいさくらんぼ (神奈川県 石原 美枝子)
でで虫を剥(は)がさず帰る父の墓 (鹿児島市 鶴屋 洋子)
母なるは寂しかりけり桐の花 (吹田市 堀田 恵美子)
[高野 ムツオ 選]
猿が来る子熊が来るわ山毛欅(ぶな)若葉 (津市 中山 道治)
母の日や母の寝顔の記憶なく (土浦市 今泉 準一)
結局は薬談義となる円座 (松山市 三木 須磨夫)
星屑の何時の間にやら蛍(ほったる)に (柏市 藤嶋 務)
籐椅子の向き星空へ替へにけり (香川県 福家 市子)
そら豆を喰みて青空広げたり (山梨県 一瀬 利彦)
[正木 ゆう子 選]
亀の子の池に着けるを見届けし (12字縦)あきる野市 戸田 幸雄)
刻みたるパセリ包丁もてすくふ (大阪市 今井 文雄)
ごはごはとパセリを載せるアルバイト (加古川市 石村 まい)
君逝くかあじさいはまだ白いまま (前橋市 西村 晃)
花石榴(ざくろ)風の摘花にまかせけり (三原市 天崎 千寿)
[小澤 實 選]
青鷺に蛇呑まれゆく尾を振って (京都市 足立 紀子)
蜥蜴(とかげ)の尾蟻の進路を妨げぬ (大洲市 城戸 通宗)
出走馬のうねるししむら風光る (神戸市 山口 誠)
鳳梨(あななす)や今宵酢豚を輝かす (東京都 森 一平)
【読売俳壇2025.06.23】
[矢島 渚男 選]
何がある雉(きじ)が二山越えて消ゆ (香芝市 中村 鈴)
棘(とげ)こそが生きてる証薔薇の花 (行橋市 野田 文子)
葉一枚ついててうれしいさくらんぼ (神奈川県 石原 美枝子)
でで虫を剥(は)がさず帰る父の墓 (鹿児島市 鶴屋 洋子)
母なるは寂しかりけり桐の花 (吹田市 堀田 恵美子)
[高野 ムツオ 選]
猿が来る子熊が来るわ山毛欅(ぶな)若葉 (津市 中山 道治)
母の日や母の寝顔の記憶なく (土浦市 今泉 準一)
結局は薬談義となる円座 (松山市 三木 須磨夫)
星屑の何時の間にやら蛍(ほったる)に (柏市 藤嶋 務)
籐椅子の向き星空へ替へにけり (香川県 福家 市子)
そら豆を喰みて青空広げたり (山梨県 一瀬 利彦)
[正木 ゆう子 選]
亀の子の池に着けるを見届けし (12字縦)あきる野市 戸田 幸雄)
刻みたるパセリ包丁もてすくふ (大阪市 今井 文雄)
ごはごはとパセリを載せるアルバイト (加古川市 石村 まい)
君逝くかあじさいはまだ白いまま (前橋市 西村 晃)
花石榴(ざくろ)風の摘花にまかせけり (三原市 天崎 千寿)
[小澤 實 選]
青鷺に蛇呑まれゆく尾を振って (京都市 足立 紀子)
蜥蜴(とかげ)の尾蟻の進路を妨げぬ (大洲市 城戸 通宗)
出走馬のうねるししむら風光る (神戸市 山口 誠)
鳳梨(あななす)や今宵酢豚を輝かす (東京都 森 一平)
勝手に論愚選
【日経俳壇2025.06.21】
[横澤 放川 選]
母の日や母おはす日々尊さに (東京 多久島 靖子)
(評)末っ子の可愛さは母と過ごす歳月が一番短いからだという。人は母と日々を過ごしやがては母ましましきと想う日々をもつ。なによりもありがたくて尊い母よ。
口遊(ずさ)む母の句母の日なりけり (奈良 上田 秋霜)
パパビリのうはさ飛び交ふ街薄暑 (東京 金子 文衛)
(評)新教皇選挙にあたる枢機卿団のうちでも有力な候補と思しき人たちをいう。日本も薄暑だが選出を待つバチカンもあつさのなかだろう。
味噌が良い神の宿る葉柏餅 (四街道 加藤 芳治)
母歌ふ高女の校歌風薫る (川崎 根本 格)
五月へと風好し日向日陰好し (鎌倉 南雲 葉)
すぐ濁りすぐ澄む泥や蝌蚪(かと)の昼 (船橋 白石 勉)
トランプのにつこり笑ふ海市(かいし)かな (広島 村越 緑)
万緑の中に抱きあぐ子の重さ (枚方 木島 芳春)
戦中の持唄花の姉妹会 (宇都宮 五十嵐 藤重)
[神野 紗希 選]
To do, or not to do どっちも夏 (八王子 春風)
地球儀を回して払ふ蜘蛛の糸 (東京 野上 卓)
ペダル漕ぐ夜勤の母のレースかな (志木 谷村 康志)
新樹光美豆良(みずら)に結ひし埴輪かな (京都 村田 百合子)
ガマに舞ふオオゴマダラや沖縄忌 (川崎 平澤 元康)
ゆらめいて水の炎となる闘魚 (さいたま 竹田 悠子)
抽出(ひきだ)しに黴(かび)のめんこの王・長嶋 (東京 吉田 かずや)
舫(もやい)解く島の少年風薫る (岡崎 牧瀬 平次郎)
【日経俳壇2025.06.21】
[横澤 放川 選]
母の日や母おはす日々尊さに (東京 多久島 靖子)
(評)末っ子の可愛さは母と過ごす歳月が一番短いからだという。人は母と日々を過ごしやがては母ましましきと想う日々をもつ。なによりもありがたくて尊い母よ。
口遊(ずさ)む母の句母の日なりけり (奈良 上田 秋霜)
パパビリのうはさ飛び交ふ街薄暑 (東京 金子 文衛)
(評)新教皇選挙にあたる枢機卿団のうちでも有力な候補と思しき人たちをいう。日本も薄暑だが選出を待つバチカンもあつさのなかだろう。
味噌が良い神の宿る葉柏餅 (四街道 加藤 芳治)
母歌ふ高女の校歌風薫る (川崎 根本 格)
五月へと風好し日向日陰好し (鎌倉 南雲 葉)
すぐ濁りすぐ澄む泥や蝌蚪(かと)の昼 (船橋 白石 勉)
トランプのにつこり笑ふ海市(かいし)かな (広島 村越 緑)
万緑の中に抱きあぐ子の重さ (枚方 木島 芳春)
戦中の持唄花の姉妹会 (宇都宮 五十嵐 藤重)
[神野 紗希 選]
To do, or not to do どっちも夏 (八王子 春風)
地球儀を回して払ふ蜘蛛の糸 (東京 野上 卓)
ペダル漕ぐ夜勤の母のレースかな (志木 谷村 康志)
新樹光美豆良(みずら)に結ひし埴輪かな (京都 村田 百合子)
ガマに舞ふオオゴマダラや沖縄忌 (川崎 平澤 元康)
ゆらめいて水の炎となる闘魚 (さいたま 竹田 悠子)
抽出(ひきだ)しに黴(かび)のめんこの王・長嶋 (東京 吉田 かずや)
舫(もやい)解く島の少年風薫る (岡崎 牧瀬 平次郎)
勝手に論愚選
【産経俳壇2025.06.19】
[宮坂 静生 選]
口笛を吹きて蹤(つ)きくる新社員 (川崎市 折戸 洋)
(評)軽くはないか、内心に緊張する場への移動の途上なのに、新入りの社員はるんるん。口笛を吹きながらついて来る。世代が違うのか、明るいのか。
ざくざくと小判出ぬかと春田打つ (羽曳野市 岡田 猛)
玫瑰(まいかい)や風呼びとめてオホーツク (枚方市 船橋 允子)
ジャンボ機の腹仰ぎつつ潮干狩 (国分寺市 野々村 澄夫)
潮入りの水門匂ひ夏めきぬ (神戸市 末永 拓男)
新しき線香の香や夏座敷 (奈良市 玉木 紫游)
遮断機の鳴りし向かふの麦の秋 (橿原市 佐藤 雅之)
混沌の春や赤子の両の足 (青森・おいらせ町 吉田 敦)
[対馬 康子 選]
禁色を天より零す藤の房 (川西市 森野 幹子)
(評)香り高く、高貴な紫色に艶めき垂れる藤の花房を、天から降る「禁色(きんじき)」であると捉えた。ッ自然の美しさは人知を超えた存在なのだという。畏敬の念が伝わる。
惑星の大くさめ哉虹ほつれ (福岡市 玉野 忠)
昭和百年なんじゃもんじゃの花も咲き (東京・北 草野 道子)
珈琲を買ひに新樹の道を行く (北名古屋市 月城 龍二)
耳打ちは姉妹の遊び罌粟(けし)の花 (京都市 根来 美知代)
エフ分の一ゆらぎ佐渡春の海 (浦安市 栗原 亮一)
白藤や風に羽音の二重奏 (門真市 西尾 佳澄)
春霖(しゅんりん)やポストに葉書落ちる音 (横浜市 杉本 ありさ)
春風の紙飛行機の大冒険 (八王子市 須藤 茂夫)
行く春や小川に流す笹の舟 (横浜市 岡 優子)
【産経テーマ川柳】テーマ 睡眠
四人部屋鼾(いびき)の威力思い知る (富田林市 松島 きよみ)
太平の眠りを覚ますコメ不足 (京都市 菅原 啓昭)
その昔四当五落を信じてた (阪南市 山田 哲雄)
妻二階俺一階で安眠し (尼崎市 徳岡 伸應)
頻尿で起きて残尿で眠れず (大阪市 浜下 脩)
【産経俳壇2025.06.19】
[宮坂 静生 選]
口笛を吹きて蹤(つ)きくる新社員 (川崎市 折戸 洋)
(評)軽くはないか、内心に緊張する場への移動の途上なのに、新入りの社員はるんるん。口笛を吹きながらついて来る。世代が違うのか、明るいのか。
ざくざくと小判出ぬかと春田打つ (羽曳野市 岡田 猛)
玫瑰(まいかい)や風呼びとめてオホーツク (枚方市 船橋 允子)
ジャンボ機の腹仰ぎつつ潮干狩 (国分寺市 野々村 澄夫)
潮入りの水門匂ひ夏めきぬ (神戸市 末永 拓男)
新しき線香の香や夏座敷 (奈良市 玉木 紫游)
遮断機の鳴りし向かふの麦の秋 (橿原市 佐藤 雅之)
混沌の春や赤子の両の足 (青森・おいらせ町 吉田 敦)
[対馬 康子 選]
禁色を天より零す藤の房 (川西市 森野 幹子)
(評)香り高く、高貴な紫色に艶めき垂れる藤の花房を、天から降る「禁色(きんじき)」であると捉えた。ッ自然の美しさは人知を超えた存在なのだという。畏敬の念が伝わる。
惑星の大くさめ哉虹ほつれ (福岡市 玉野 忠)
昭和百年なんじゃもんじゃの花も咲き (東京・北 草野 道子)
珈琲を買ひに新樹の道を行く (北名古屋市 月城 龍二)
耳打ちは姉妹の遊び罌粟(けし)の花 (京都市 根来 美知代)
エフ分の一ゆらぎ佐渡春の海 (浦安市 栗原 亮一)
白藤や風に羽音の二重奏 (門真市 西尾 佳澄)
春霖(しゅんりん)やポストに葉書落ちる音 (横浜市 杉本 ありさ)
春風の紙飛行機の大冒険 (八王子市 須藤 茂夫)
行く春や小川に流す笹の舟 (横浜市 岡 優子)
【産経テーマ川柳】テーマ 睡眠
四人部屋鼾(いびき)の威力思い知る (富田林市 松島 きよみ)
太平の眠りを覚ますコメ不足 (京都市 菅原 啓昭)
その昔四当五落を信じてた (阪南市 山田 哲雄)
妻二階俺一階で安眠し (尼崎市 徳岡 伸應)
頻尿で起きて残尿で眠れず (大阪市 浜下 脩)
勝手に論愚選
【朝日俳壇2025.06.15】
[小林 貴子 選]
雀にはわかる天候麦の秋 (いわき市 岡田 木花)
ホセ・ムヒカ天に召されし聖五月 (川崎市 吉川 清子)
あらわかりましたか妻と新茶かな (福岡市 犬山 裕之)
蛞蝓(なめくじ)のこともあらうに遠出かな (東京都世田谷区 須藤 渉一)
昇進は望まぬ世代五月闇 (浜松市 久野 茂樹)
[長谷川 櫂 選]
母の日も母は泣きますガザの母 (筑紫野市 二宮 正博)
大皿に盛るたのしさも初鰹 (静岡県河津町 岩城 紀子)
五十年続く二人の鮑漁 (茅ヶ崎市 清水 呑舟)
麦を刈る人それぞれに故郷あり (岡崎市 澤 博史)
筋肉を競ひ合ひをる実梅かな (小田原市 関野 憲司)
[大串 章 選]
風鈴の南部恋しと鳴りやまず (取手市 金田 好生)
父白寿麦酒飲み干し逝きにけり (大村市 小谷 一夫)
草ぐさの雄たけび上ぐる夏野かな (長崎市 佐々木 光博)
昭和史に銃後の言葉沖縄忌 (石川県能登町 瀧上 裕幸)
兜太の碑死角に牡丹の花開く(新座市 丸山 巌子)
動物の墓へ合掌遠足子 (町田市 岩見 陸二)
[高山 れおな 選]
文明に酒と楽器と祭あり (さいたま市 齋藤 紀子)
万緑の岐谷(えだたに)に村沈みたり (尾張旭市 小野 薫)
百笑(どうめき)の路地に川風夏夕焼 (高知市 戸梶 優子)
大夏木語るや森の千年史 (高松市 信里 由美子)
加藤さんも死んだ新宿は夕焼けて (東京都 新宿区 各務 雅憲)
【朝日俳壇2025.06.15】
[小林 貴子 選]
雀にはわかる天候麦の秋 (いわき市 岡田 木花)
ホセ・ムヒカ天に召されし聖五月 (川崎市 吉川 清子)
あらわかりましたか妻と新茶かな (福岡市 犬山 裕之)
蛞蝓(なめくじ)のこともあらうに遠出かな (東京都世田谷区 須藤 渉一)
昇進は望まぬ世代五月闇 (浜松市 久野 茂樹)
[長谷川 櫂 選]
母の日も母は泣きますガザの母 (筑紫野市 二宮 正博)
大皿に盛るたのしさも初鰹 (静岡県河津町 岩城 紀子)
五十年続く二人の鮑漁 (茅ヶ崎市 清水 呑舟)
麦を刈る人それぞれに故郷あり (岡崎市 澤 博史)
筋肉を競ひ合ひをる実梅かな (小田原市 関野 憲司)
[大串 章 選]
風鈴の南部恋しと鳴りやまず (取手市 金田 好生)
父白寿麦酒飲み干し逝きにけり (大村市 小谷 一夫)
草ぐさの雄たけび上ぐる夏野かな (長崎市 佐々木 光博)
昭和史に銃後の言葉沖縄忌 (石川県能登町 瀧上 裕幸)
兜太の碑死角に牡丹の花開く(新座市 丸山 巌子)
動物の墓へ合掌遠足子 (町田市 岩見 陸二)
[高山 れおな 選]
文明に酒と楽器と祭あり (さいたま市 齋藤 紀子)
万緑の岐谷(えだたに)に村沈みたり (尾張旭市 小野 薫)
百笑(どうめき)の路地に川風夏夕焼 (高知市 戸梶 優子)
大夏木語るや森の千年史 (高松市 信里 由美子)
加藤さんも死んだ新宿は夕焼けて (東京都 新宿区 各務 雅憲)
勝手に論愚選
【毎日俳壇2025.06.16】
[井上 康明 選
そら豆や家族に形あるごとく 直方市 岩野 伸子)
日日草きのふのことは忘れけり (狭山市 小俣 友里)
ロープ張る防空壕ヘ薄暑光 (海南市 岡 哲夫)
黒潮の洗ふ五月の金華山 (仙台市 引地 恵一)
郭公や開かずの門を風の訪ふ (甲府市 清水 輝子)
放哉の墓に一本遅桜 (高松市 島田 章平)
[片山 由美子 選]
夜濯(よすすぎ)や近くに止まる救急車 (和歌山 桑原 里美)
口開けて巣を塞ぎゐる燕の子 (広島市 谷口 一好)
自転車の風を切りゆく花樗(はなおうち) (安中市 中島 糸)
山裾に張り付く家並み麦の秋 (神奈川 中島 やさか)
[小川 軽舟 選]
山映す水鏡なり夕代田(ゆうしろた)
風薫る合唱団のベレー帽 (宮城市 境 雅子)
五月富士母は白髪切り揃え (平塚市 小林 耕平)
葉柳や疎水にゆるるホテルの灯 (吹田市 坂口 銀海)
風鈴や山の端にある黒木雲 (さいたま市 正野 昭信)
城跡のやうな棚田に山の百合 (新潟市 松尾 良和)
[西村 和子 選]
幌(ほろ)上げて赤字に見せる賀茂祭 (京都市 根来 美知代)
(評)1000年以上続く京都の葵祭の行列を。乳母車の幌を上げて見せた。赤子の記憶には残らなくてもこの句は残るだろう。
春の雲少し残して夏立ちぬ (尾張旭市 小野 薫)
水音を頼りに歩く蛍狩り (町田市 岡 良)
雨音のふたたび強し桐の花 (津山市 森下 弘)
道草もけんかも映し植田かな (高知 渡辺 哲也)
家朽ちて今年も門の花あやめ (大阪 芹沢 由美)
【毎日俳壇2025.06.16】
[井上 康明 選
そら豆や家族に形あるごとく 直方市 岩野 伸子)
日日草きのふのことは忘れけり (狭山市 小俣 友里)
ロープ張る防空壕ヘ薄暑光 (海南市 岡 哲夫)
黒潮の洗ふ五月の金華山 (仙台市 引地 恵一)
郭公や開かずの門を風の訪ふ (甲府市 清水 輝子)
放哉の墓に一本遅桜 (高松市 島田 章平)
[片山 由美子 選]
夜濯(よすすぎ)や近くに止まる救急車 (和歌山 桑原 里美)
口開けて巣を塞ぎゐる燕の子 (広島市 谷口 一好)
自転車の風を切りゆく花樗(はなおうち) (安中市 中島 糸)
山裾に張り付く家並み麦の秋 (神奈川 中島 やさか)
[小川 軽舟 選]
山映す水鏡なり夕代田(ゆうしろた)
風薫る合唱団のベレー帽 (宮城市 境 雅子)
五月富士母は白髪切り揃え (平塚市 小林 耕平)
葉柳や疎水にゆるるホテルの灯 (吹田市 坂口 銀海)
風鈴や山の端にある黒木雲 (さいたま市 正野 昭信)
城跡のやうな棚田に山の百合 (新潟市 松尾 良和)
[西村 和子 選]
幌(ほろ)上げて赤字に見せる賀茂祭 (京都市 根来 美知代)
(評)1000年以上続く京都の葵祭の行列を。乳母車の幌を上げて見せた。赤子の記憶には残らなくてもこの句は残るだろう。
春の雲少し残して夏立ちぬ (尾張旭市 小野 薫)
水音を頼りに歩く蛍狩り (町田市 岡 良)
雨音のふたたび強し桐の花 (津山市 森下 弘)
道草もけんかも映し植田かな (高知 渡辺 哲也)
家朽ちて今年も門の花あやめ (大阪 芹沢 由美)
勝手に論愚選
【読売俳壇2025.06.16】
[矢島 凪男 選]
明日もまた過ぎてゆくもの鳥の恋 (加須市 萩原 康吉)
(評)季節の変わり目は落ち着かず、時間ばかりが空しく去ってゆく感じがする。この句、鳥の恋のように結実することもある季語を合わせることで無力感を出している。
メーデーの叫びに生まれ九十四 (成田市 神郡 一成)
輝いてツツンと顎(あご)を出す細魚(さより) (京都市 足立 紀子)
妻が行く花の同窓会日和 (神戸市 倉本 勉)
笑み返す病室の母白椿 (姶良市 井之川 健児)
世のことは思案に余り花は葉に (神奈川県 中島 さやか)
良き記憶のみをあしたへ花水木 (高知市 加田 紗智)
[高野 ムツオ 選]
森涼し一樹一樹の風の楽 (香川県 福家 市子)
軒へ飛ぶ雀の羽音朝ぐもり (川越市 大野 宥之介)
(評)物音か人影か、何かに驚いて雀が軒先へ隠れた。一瞬の光景だが、小動物にとっても厳しい暑い夏の一日の始まりが捉えられている。
玉子かけご飯三杯夏来る (宇都宮市 津布久 勇)
噴水やまた腕時計見ておりぬ (明石市 北前 波塔)
ストローが麦藁なりし頃の恋 (白井市 毘舎利 愛子)
裂かれても水鱧(みずはも)くねる力かな (京田辺市 加藤 草児)
帆柱の百の傾き夏盛ん (神戸市 山口 誠)
[正木 ゆう子 選]
へくそかずら何とかわいいやいと花 (神戸市 吉野 勝子)
失念の名は初夏のアガパンサス (さいたま市 関根 道豊)
ファンファーレ待つ薫風の返し馬 (川崎市 沼田 広美)
ぎざぎざでざらざら円空仏涼し (東京都 望月 清彦)
仏前にバイク雑誌とパナマ帽 (東京都 松永 京子)
金雀枝(えにしだ)や昔この家に三姉妹 (柏市 藤嶋 務)
[小澤 實 選]
週刊誌躱(かわ)す飛翔の油虫 (名古屋市 可知 豊親)
ひん曲がることのうれしき胡瓜かな (北本市 萩原 行博)
芍薬(しゃくやく)の歪む大正硝子窓 (武蔵野市 相坂 康)
烏賊刺(いかさし)と猪口一ぱいと今日の幸 (狭山市 富沢 柾江)
【読売俳壇2025.06.16】
[矢島 凪男 選]
明日もまた過ぎてゆくもの鳥の恋 (加須市 萩原 康吉)
(評)季節の変わり目は落ち着かず、時間ばかりが空しく去ってゆく感じがする。この句、鳥の恋のように結実することもある季語を合わせることで無力感を出している。
メーデーの叫びに生まれ九十四 (成田市 神郡 一成)
輝いてツツンと顎(あご)を出す細魚(さより) (京都市 足立 紀子)
妻が行く花の同窓会日和 (神戸市 倉本 勉)
笑み返す病室の母白椿 (姶良市 井之川 健児)
世のことは思案に余り花は葉に (神奈川県 中島 さやか)
良き記憶のみをあしたへ花水木 (高知市 加田 紗智)
[高野 ムツオ 選]
森涼し一樹一樹の風の楽 (香川県 福家 市子)
軒へ飛ぶ雀の羽音朝ぐもり (川越市 大野 宥之介)
(評)物音か人影か、何かに驚いて雀が軒先へ隠れた。一瞬の光景だが、小動物にとっても厳しい暑い夏の一日の始まりが捉えられている。
玉子かけご飯三杯夏来る (宇都宮市 津布久 勇)
噴水やまた腕時計見ておりぬ (明石市 北前 波塔)
ストローが麦藁なりし頃の恋 (白井市 毘舎利 愛子)
裂かれても水鱧(みずはも)くねる力かな (京田辺市 加藤 草児)
帆柱の百の傾き夏盛ん (神戸市 山口 誠)
[正木 ゆう子 選]
へくそかずら何とかわいいやいと花 (神戸市 吉野 勝子)
失念の名は初夏のアガパンサス (さいたま市 関根 道豊)
ファンファーレ待つ薫風の返し馬 (川崎市 沼田 広美)
ぎざぎざでざらざら円空仏涼し (東京都 望月 清彦)
仏前にバイク雑誌とパナマ帽 (東京都 松永 京子)
金雀枝(えにしだ)や昔この家に三姉妹 (柏市 藤嶋 務)
[小澤 實 選]
週刊誌躱(かわ)す飛翔の油虫 (名古屋市 可知 豊親)
ひん曲がることのうれしき胡瓜かな (北本市 萩原 行博)
芍薬(しゃくやく)の歪む大正硝子窓 (武蔵野市 相坂 康)
烏賊刺(いかさし)と猪口一ぱいと今日の幸 (狭山市 富沢 柾江)
勝手に論愚選
【日経俳壇2025.06.14】
[横澤 放川 選]
たんぽぽの咲く自転車屋さんの跡 (海津 伊藤 郁子)
(評)この句は昭和という時代が主題だといってもいいような面影を帯びている。こどもらが大人自転車の三角乗りをしていたあの昔。たんぽぽが、さんという呼称がいい。
母と防空壕を掘つた誰も知らない (駒ヶ根 服部 信彦)
(評)韻文のリズムという点ではこの句は破格の句形だ。しかしその断片的な呟きがかえって、時の忘れ形見のような記憶を蘇らすのだ。
城落つる如く牡丹崩れけり (三豊 小野 明則)
朧夜も運転席に鎖されて (小平 中澤 清)
華やかに噴きて荒錆(あらさび)鰊釜(にしんがま) (札幌 村上 紀夫)
母の句に安らぐ母の日なりけり (奈良 上田 秋霜)
「泣き桜」てふ遅桜愛でにけり (寝屋川 川上 純一)
春光のキリスト目指しただ走る (大阪 前田 万葉)
扉開く花の一ひら迎へ入れ (ヤスノ浅井 敏子)
[神野 紗季 選]
私は消毒済みの蠅なので (金沢 岩本 卓夫)
(評)汚いと厭われる蠅が「わたくし」と畏まりつつ「消毒済み」と名乗り来る諧謔。
倍速で観る研修や梅雨近し (東京 千葉 芒)
(評)研修も動画配信なら倍速で済ませられる。タイパ重視の窓に雨はゆっくり降るか。
祖父殺(あや)め朝学校へ白い靴 (東京 北川 慈彦)
たんぽぽの絮(わた)誰が耳を塞がんと (船橋 青柳 泉)
大臣に向き不向きありゼリー食ふ (東京 黒崎 康夫)
満願の行者の眠り河鹿(かじか)宿 (岡崎 上野 祥樹)
月下美人咲いたと夜の長電話 (東京 岡田 俊之)
若竹の根が触れ化石覚醒す (大垣 大井 公夫)
【日経俳壇2025.06.14】
[横澤 放川 選]
たんぽぽの咲く自転車屋さんの跡 (海津 伊藤 郁子)
(評)この句は昭和という時代が主題だといってもいいような面影を帯びている。こどもらが大人自転車の三角乗りをしていたあの昔。たんぽぽが、さんという呼称がいい。
母と防空壕を掘つた誰も知らない (駒ヶ根 服部 信彦)
(評)韻文のリズムという点ではこの句は破格の句形だ。しかしその断片的な呟きがかえって、時の忘れ形見のような記憶を蘇らすのだ。
城落つる如く牡丹崩れけり (三豊 小野 明則)
朧夜も運転席に鎖されて (小平 中澤 清)
華やかに噴きて荒錆(あらさび)鰊釜(にしんがま) (札幌 村上 紀夫)
母の句に安らぐ母の日なりけり (奈良 上田 秋霜)
「泣き桜」てふ遅桜愛でにけり (寝屋川 川上 純一)
春光のキリスト目指しただ走る (大阪 前田 万葉)
扉開く花の一ひら迎へ入れ (ヤスノ浅井 敏子)
[神野 紗季 選]
私は消毒済みの蠅なので (金沢 岩本 卓夫)
(評)汚いと厭われる蠅が「わたくし」と畏まりつつ「消毒済み」と名乗り来る諧謔。
倍速で観る研修や梅雨近し (東京 千葉 芒)
(評)研修も動画配信なら倍速で済ませられる。タイパ重視の窓に雨はゆっくり降るか。
祖父殺(あや)め朝学校へ白い靴 (東京 北川 慈彦)
たんぽぽの絮(わた)誰が耳を塞がんと (船橋 青柳 泉)
大臣に向き不向きありゼリー食ふ (東京 黒崎 康夫)
満願の行者の眠り河鹿(かじか)宿 (岡崎 上野 祥樹)
月下美人咲いたと夜の長電話 (東京 岡田 俊之)
若竹の根が触れ化石覚醒す (大垣 大井 公夫)
勝手に論愚選
【産経俳壇2025.06.12】
[宮坂 静生 選]
新緑が新緑を押し出しにけり (宇陀市 泉尾 武則)
(評)一面に新緑が盛り上がる。後から新緑がぐいぐいと前へ押す力感に満ちる。みずみずしき。自然のいのちが内側からはじける最高の時に向かい必死だ。
釣堀や潰しの効かぬ自営業 (志木市 谷村 康志)
寛大な国に憧れ花水木 (尼崎市 長田 圭司)
ソーダ水はじけて青き江戸切子 (東久留米市 大橋 あんず)
勝手口開けたままなる遅日かな (横浜市 津田 壽)
干し上がり虫の息たる青蛙 (藤井寺市 城山 佳嗣)
花冷やきのふのままの洗ひ物 (北名古屋市 月城 龍二)
[対馬 康子 選]
行く春の行くへを知るや像使ひ (橿原市 佐藤 雅之)
(評)春が後ろ姿を見せてどこかに行ってしまう。象に心を通わせる象使いならその行方を知っているのだろうか。エキゾチックな中に、もの愁う春の余韻が深い。
紺碧の空紺碧の山春終る (二本松市 安田 和枝)
猫が顔ひしゃげるごとく春一番 (大阪市 渡辺 たかき)
春愁や白き折鶴つばさ閉じ (交野市 吉川 令子)
春の夜薬袋の几帳面 (長野市 武田 芳子)
手術日の決りひねもす更衣 (枚方市 安達 京子)
豊かなる伊勢路の餅や風薫る (伊賀市 福沢 義男)
おてんばな姉が上座の端午の日 (桶川市 戸室 和博)
静けさやみるみる増ゆる捩(よじ)れ花 (横浜市 近江 満里子)
日傘くるくる佳きことのあったらし (東京・豊島 河村 信子)
大鉢に糸屑ほどの目高の子 (横浜市 岡 彰)
風薫るすいこまれゆく神鈴は (神奈川・二宮町 土田 美恵子)
【産経テーマ川柳】テーマ ラジオ
受験生ラジオ講座に支えられ (米子市 イー爺)
ふらついてラジオ体操ままならず (堺市 瀬川 ますみ)
真空管父箱を開け交換を (大阪市 吉村 敏明)
ラジオ前耳を澄ませた「たずね人」 (青森・南部町 佐々木 冴美)
町内のラジオ体操シニアだけ (東京・目黒 川村 亮介)
深夜便推しのアンカー声に酔う (河内長野市 大西 美子)
【産経俳壇2025.06.12】
[宮坂 静生 選]
新緑が新緑を押し出しにけり (宇陀市 泉尾 武則)
(評)一面に新緑が盛り上がる。後から新緑がぐいぐいと前へ押す力感に満ちる。みずみずしき。自然のいのちが内側からはじける最高の時に向かい必死だ。
釣堀や潰しの効かぬ自営業 (志木市 谷村 康志)
寛大な国に憧れ花水木 (尼崎市 長田 圭司)
ソーダ水はじけて青き江戸切子 (東久留米市 大橋 あんず)
勝手口開けたままなる遅日かな (横浜市 津田 壽)
干し上がり虫の息たる青蛙 (藤井寺市 城山 佳嗣)
花冷やきのふのままの洗ひ物 (北名古屋市 月城 龍二)
[対馬 康子 選]
行く春の行くへを知るや像使ひ (橿原市 佐藤 雅之)
(評)春が後ろ姿を見せてどこかに行ってしまう。象に心を通わせる象使いならその行方を知っているのだろうか。エキゾチックな中に、もの愁う春の余韻が深い。
紺碧の空紺碧の山春終る (二本松市 安田 和枝)
猫が顔ひしゃげるごとく春一番 (大阪市 渡辺 たかき)
春愁や白き折鶴つばさ閉じ (交野市 吉川 令子)
春の夜薬袋の几帳面 (長野市 武田 芳子)
手術日の決りひねもす更衣 (枚方市 安達 京子)
豊かなる伊勢路の餅や風薫る (伊賀市 福沢 義男)
おてんばな姉が上座の端午の日 (桶川市 戸室 和博)
静けさやみるみる増ゆる捩(よじ)れ花 (横浜市 近江 満里子)
日傘くるくる佳きことのあったらし (東京・豊島 河村 信子)
大鉢に糸屑ほどの目高の子 (横浜市 岡 彰)
風薫るすいこまれゆく神鈴は (神奈川・二宮町 土田 美恵子)
【産経テーマ川柳】テーマ ラジオ
受験生ラジオ講座に支えられ (米子市 イー爺)
ふらついてラジオ体操ままならず (堺市 瀬川 ますみ)
真空管父箱を開け交換を (大阪市 吉村 敏明)
ラジオ前耳を澄ませた「たずね人」 (青森・南部町 佐々木 冴美)
町内のラジオ体操シニアだけ (東京・目黒 川村 亮介)
深夜便推しのアンカー声に酔う (河内長野市 大西 美子)