勝手に論愚選 【朝日俳壇2024,07,07】 | 論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

「小人閑居して不善を為す」日々大欠伸をしながら、暇を持て余している。どんな「不善」ができるのか、どんな「不善」を思いつくのか、少し楽しみでもある。

 アラコキ(アラウンド古稀)世代が、何に夢中になり、どんなことに違和感を覚えるのかを徒然に綴っていきたい。

勝手に論愚選
【朝日俳壇2024,07,07】
[長谷川 櫂 選]
青々と氷河の動く夏来る (小城市 福地 子道)
(評)涼のかたまりのような一句。この句で夏を乗り切る。
蟻地獄ちから渦巻くくにざかひ (福島県伊達市 佐藤 茂)
(評)国と国がぶつかり合う国境。蟻地獄ならぬ人間の地獄。
空爆のなき空涼し星遊ぶ (東京都杉並区 漆川 夕)
海中に真珠の寝息南吹く (千葉市 丸本 雄三)
幻の翼広げて昼寝の子 (八王子市 額田 浩文)

[大串 章 選]
祝白寿卒寿傘寿の昼ビール (川崎市 神村 謙二)
(評)白寿(99歳)の祝いに集う卒寿(90歳)傘寿(80歳)の人たち。
生かされて為すこと多し茄子の花 (春日市 春林 いく子)
白髪に茶髪も混じり溝浚(さら)え (奈良市 上田 秋霜)
日傘買いすこし遠出をしたくなる (厚木市 北村 純一)
出会ふ人皆に会釈や花野逝く(洲本市 髙田 菲路)
夏薊(なつあざみ)江戸へ十里の古道標 (柏市 藤嶋 務)
緑風や未来へと押す乳母車 (前橋市 山本 和裕)

[高山 れおな 選]
周期ゼミ素数の門をいくつ過ぐ (越谷市 新井 高四郎)
(評)2種の素数蟬が221年ぶりに同時発生。「素数の門」が自然の神秘を思わせる。
炎帝の義足しずかに立ち上がる (東京都新宿区 各務 雅憲)
(評)炎天下に義足の人がいる事実が、「炎帝の義足」という縮約表現で幻想と化した。
七夕や千々に乱るる東京都 (東京都練馬区 吉竹 純)
(評)千々=知事の懸詞に一笑。さて結果は。

[小林 貴子 選]
にぎやかなかなしみの列蟻の列 (さいたま市 齋藤 正美)
雲がもう雲がすつかり夏もくもく (朝倉市 深町 明)
父の日とことさら言わず娘来る (取手市 緑川 智)
藪枯らし何でそんなに元気なの (船橋市 佐々木 美禰子)
バリバリと破けるやうにさみだるる (横浜市 前島 康樹)