勝手に論愚選 【読売俳壇2024,07.01】 | 論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

「小人閑居して不善を為す」日々大欠伸をしながら、暇を持て余している。どんな「不善」ができるのか、どんな「不善」を思いつくのか、少し楽しみでもある。

 アラコキ(アラウンド古稀)世代が、何に夢中になり、どんなことに違和感を覚えるのかを徒然に綴っていきたい。

勝手に論愚選
【読売俳壇2024,07.01】
[矢島 渚男 選]
くださいの会釈覚えし子鹿かな (木津川市 島野 秀子)
(評)奈良公園の愛らしい小鹿。煎餅をもらう仕種を覚えたばかり。外国人旅行者にもさぞや人気だろう。芭蕉の句に「灌仏(かんぶつ)の日に生れあふ鹿の子かな」の句がある。
神主も波に揺られる海開き (対馬市 神宮 斉之)
地の底へ引き摺られそう牛蛙 (洲本市 石谷 晴彦)
涼しさや喇叭つたなき豆腐売 (東京都 藤井 正明)

[高野 ムツオ 選]
まくなきの引つ張りあつて群れにけり (常総市 秋田 武)
(評)ヌカカという小さい蚊が一かたまりになって飛んでいるのがまくなぎ。木陰などでよく目の周りにまとわりつく。上下にひっきりなしに動く様をエネルギッシュに表現した。「くなぎ」は交尾のことでもある。
桜島を眼下に逝けり雲の峰 (川越市 益子 さとし)
雲くれば乗りて泰山木の花 (香川県 福家 市子)
竈(へっつい)の湯の踊り出す麻のれん (ふじみ野市 新井 竜才)
昼寝して別の体になりにけり (町田市 枝沢 聖文)
蒼空を混ぜてアスパラ御飯かな (東京都 田中 隆)
空豆の莢守りたきもののあり (東京都 岸 来夢)

[正木 ゆう子 選]
さくらんぼ今日は一粒万倍日 (山武市 川島 隆)
手貸してと言はぬばかりの瓜のひげ (柏市 小畑 昌司)
寝室にブラジル全図夏に入る (川崎市 樫山 道助)
無為自然いよよ蟇棲む畑となり (笠間市 沢崎 だるま)

[小澤 實 選]
始祖鳥は羽毛恐竜夏燕 (日立市 菊池 二三夫)
バルト海列車を載せて舟涼し (香芝市 山本 合一)
純喫茶サンドウィッチにさくらんぼ (甲府市 村田 一広)
野良猫に煮干しやつてるあつぱつぱ (三重県 瀬川 令子)
押されるも押すも白靴車椅子 (八戸市 夏野 あゆね)
誕生日さうだ干しあご焼いてくれ (川口市 高橋 まさお)
蒼あらし洗濯ばさみ四ヶ所に (名古屋市 高橋 まさお)