勝手に論愚選 【日経俳壇2024,0615】 | 論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

「小人閑居して不善を為す」日々大欠伸をしながら、暇を持て余している。どんな「不善」ができるのか、どんな「不善」を思いつくのか、少し楽しみでもある。

 アラコキ(アラウンド古稀)世代が、何に夢中になり、どんなことに違和感を覚えるのかを徒然に綴っていきたい。

勝手に論愚選
【日経俳壇2024,0615】
[横澤 放川 選]
厭離ならスピード上げよ蝸牛 (神奈川 原 新平)
(評)厭離穢土(おんりえど)は仏教用語。欣求浄土(ごんぐじょうど)と対で唱えられる浄土教の願いだ。世の不安感情を強烈な寓意で。
雲居より採りの声する練供養 (兵庫 小林 恕水)
〔評〕衆生を浄土へ導くために来迎する二十五菩薩の仮装行列仰ぐ雲居鳥の声とはうよろしさよ。
五月晴何処かで人が傷つきて (佐久 上田 美紀)
(評)特にどこでだれがといっているのではないが、したたかな照顧をうながす句だ。傷つけ傷つきてだ。
襁褓(むつき)干せ春に三日の晴間なし (町田 谷川 治)
早蕨の折り摘む音を指に聴き(福井 木内 利栄)
生きて夢死ねばまた夢交る (国分寺 越前 春生)

[神野 紗希 選]
虹を見る隣の人もフリーガザ (茅ヶ崎 栗山 晃)
〔評〕パレスチナの解放を願う「フリーガザ」のスローガン。多様性の象徴である虹を仰ぎ、連帯を確かめる。
人類のたかが万年ごきかぶり (柏 物江 里人)
タルタルソースはみ出て蟻へ落ちにけり (東京 山下 由央)
木の芽吹くアウシュビッツに雲一つ (宇都宮 五十嵐 藤重)
田水張る田叟(でんそう)一人影一人 (横浜 波多野 眞一)
蚕豆の花ひらがなの夢を見る (松原 たろりずむ)
十薬を吹く風青しシャボン玉 (武蔵野 川合 道生)