勝手に論愚選 【朝日俳壇2024.06.09】 | 論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

「小人閑居して不善を為す」日々大欠伸をしながら、暇を持て余している。どんな「不善」ができるのか、どんな「不善」を思いつくのか、少し楽しみでもある。

 アラコキ(アラウンド古稀)世代が、何に夢中になり、どんなことに違和感を覚えるのかを徒然に綴っていきたい。

勝手に論愚選
【朝日俳壇2024.06.09】
晩年や何を今更更衣 (苫小牧市 齋藤 まさし)
〔評〕老人の更衣もまたよいもの。「何を今更」などと言わずに。
飛行機雲伸びればいよよ夏の空 (江津市 能美 顕之)
籐椅子に座したるままに逝き人 (東京都文京区 前田 寿子)
輪に結つて茅神々し夏祓 (東京都世田谷区 松木 長勝)
飛び抜けて丈の高きが今年竹 (尼崎市 田中 節夫)
上手に飲めとラムネの玉に言はれけり (境港市 大谷 和三)

[大串 章 選]
麦の秋武器売る国の平和とは (名古屋市 鈴木 修二)
蟻の列赤旗降れば凄かろう (吹田市 大田 昭)
背嚢に黄砂を載せて父帰る (上尾市 清水 昇一)
世を隔て亡き母と汲む新茶かな (大村市 小谷 一夫)
山一つ浮島となる植田かな (茨城県阿見町 鬼形 のぶあき)

[高山 れおな 選]
戦争に生き残りしはガザの蝿 (狛江市 松本 遊)
少年ら食べたら走るバーベキュー (下関市 内田 恒生)
ガンマンのごと立つ農夫麦の秋 (伊万里市 萩原 豊彦)
ががんぼのフットワークを見てをりぬ (奈良市 上田 秋霜)
じやれ合うて触れず紋白蝶ふたつ (和歌山県上富田町 森 京子)
色褪せし政治ポスタア薄暑光 (鳥取県琴浦町 馬野 慎一郎)

[小林 貴子 選]
地図の向き変へて涼しき一歩かな (浜松市 野畑 明子)
〔評〕自分が歩き出そうとする方角へ、地図の向きを会わせる。心惹かれる光景。
慈愛とも怒りとも夏のオーロラ (三島市 高安 利幸)