勝手に論愚選 【読売俳壇2024.06.11】 | 論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

「小人閑居して不善を為す」日々大欠伸をしながら、暇を持て余している。どんな「不善」ができるのか、どんな「不善」を思いつくのか、少し楽しみでもある。

 アラコキ(アラウンド古稀)世代が、何に夢中になり、どんなことに違和感を覚えるのかを徒然に綴っていきたい。

勝手に論愚選
【読売俳壇2024.06.11】
[矢島 渚男 選]
子供の日「パンダのうんちみどりだよ」 (宇都宮市 大門 とよ子)
もう風に見つかるかたち淡竹(はちく)の子 (堺市 椋本 望生)
(評)淡竹は細いが旨い竹の子。「風に見つかる」は魅力的だが解釈が難しい。風にそよぐまで大きくなって安心。人に見つかっても大丈夫?
いつハヤになるかと聞かれメダカ飼う (太宰府市 内田 典子)
小さき手くれたる謎の種を蒔く (羽村市 竹田 元子)
松の花ほどの華やぎ同窓会 (東京都 大武 美和子)
やわらかに結ぶ風呂敷さくら餅 (総社市 風早 貞夫)
蔓薔薇や満場一致のやうに咲き (土浦市 平佐 悦子)

[高野 ムツオ 選]
黒々と巻くもの動きやがて蛇 (大月市 米山 明博)
あめんぼの夕日あめんぼ飛び越える (川越市 大野 宥之介)
のそり迫りひらりと交(つる)む蟇 (東京都 朝田 黒冬)
薫風や古地図のままの藍の町 (吹田市 前田 尚夫)
笑ふ目が口より覗く祭獅子 (白井市 毘舎利 愛子)
全方位自由自在や夏燕 (入間市 松原 正憲)

[正木 ゆう子 選]
雨一滴土にまみれる夏の畑 (横浜市 作山 大祐)
〔評〕夕立の降り始めなどに、地面に落ちた雨粒が土を纏いつつ転がる。乾ききった細かな土と、水の表面張力のせいだろうか。辺りに立ちのぼる埃と太陽と水の匂い。
母の日や何故批判したんだろうか (東京都 駒形 光子)
花の雨窓辺の好きな猫とゐて (神奈川県 中島 やさか)
熊の糞らしきもの踏む蕨採り (湯沢市 西村 良子)

[小澤 實 選]
競輪の予想屋でありバナナも売る (栃木県 あらゐ ひとし)
筍の鋲のあたりへ止(とど)め刺す (大阪府 池田 寿夫)
桑の実に鬨を挙げたる烏かな (津市 中山 道春)
この町の最後の本屋燕の子 (川越市 横山 由紀子)
蚕豆の五つ子四つ子三つ子かな (神戸市 西 和代)
薄墨のひれを震はせ黒目高 (鹿児島市 鶴谷 洋子)