勝手に論愚選 【読売俳壇2024.04.01】 | 論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

論愚阿来無の欠伸日誌(ろんぐあらいぶのあくびにっし)

「小人閑居して不善を為す」日々大欠伸をしながら、暇を持て余している。どんな「不善」ができるのか、どんな「不善」を思いつくのか、少し楽しみでもある。

 アラコキ(アラウンド古稀)世代が、何に夢中になり、どんなことに違和感を覚えるのかを徒然に綴っていきたい。

勝手に論愚選
【読売俳壇2024.04.01】
[矢島 渚男 選]
思ひ出が介護の支へ黄水仙 (橋本市 若崎 喬子)
(評)長寿の時代になり老老介護が重荷になった。でも、この人と楽しいことがあった思い出もあったことが励ましになる。
四季が二季になるを憂ひて鳥帰る (高槻市 村松 譲)
駄菓子屋の硝子戸開けるみすゞの忌 (葛城市 山本 啓)
啓蟄や小舟漕ぎ出す島の朝 (相模原市 はやし 央)
永き日や推薦状に誤字三つ (志木市 谷村 康志)
鳥籠の洗う母の手春の昼 (名古屋市 鈴木 雅彦)

[高野 ムツオ 選]
竜天に昇りしのちの大河かな (上尾市 中野 博夫)
(評)「竜天に登る」はもとより古代中国に伝わる想像上の産物。だが、こう断言されると雪解水を湛えた大河の勢いや音が、確かに竜が登ったあとの余韻そのもののように感じられるから不思議。
傷みたる翼のごとき斑雪 (久喜市 深沢 ふさ江)
次世代へ残すものあり蝌蚪の紐 (八尾市 黒川 好郎)
春夕焼明日は明るいかも知れず (神奈川県 中島 やさか)

[正木 ゆう子 選]
菜の花の一望麻酔より帰還 (松本市 石垣 立夫)
(評)覚めた直後なら、一望の黄はまだ幻想の景だろう。しばらくは夢に現に様々な景に模様が見える。全身麻酔はしないに越した事はないが、すればしたで面白い経験である。
温羅(うら)といふ鬼棲みし山春暑し (伊賀市 福沢 義男)

[小澤 實 選]
ビートルズ好きな老人目刺焼く (郡山市 寺田 秀雄)
歯を削る音と匂ひと花の昼 (川崎市 益子 さとし)
九十九の母も雛の日ちらし寿司 (八尾市 久田 雅子)
ウヰスキーのトクトク音も春めけり (市川市 小川 康夫)