③経営の人間的側面と物理的側面
経営を物理的にとらえているので、ある意味、経営の中の人間の情緒性を排除しているとも言えますが、先生によれば、「経営には、2つの大きな側面がある。ひとつは人間的側面(精神的あるいは情緒的、感覚的側面)。もう一つは物理的側面(法則性あるいは方程式、論理が成立する側面)がある。そして、その割合は、前者が53%で、後者は47%である。」と。
よくよく考えてみると、経営活動の主は、人間ですが、人間自体、「心(精神)」と「肉体」に大きく分類されます。そして、人間活動は、精神的には(無限の)自由度を保ちながら、肉体は物理的な(有限の)制約を受けていることに気づきます。
53%、47%といったウエイト付けも妙で、これは、ランチェスター法則とオペレーションズリサーチの手法から配分率を出されているのですが、陽明学の安岡正篤先生の書の中に、「陰(あらゆる事象の根源的、引き戻す作用)と陽(派生、分派、変化する作用)のバランスの説明の中に、人間の体内は弱アルカリに保つのがよく、アルカリ性(陰性)と酸性(陽性)のバランスは51:49」といったくだりがあり、非常に似通った感じを受けたことを覚えています。
④物理は科学は無くなるのか
最近は、「物質主義や科学万能主義は終わり、心の時代だ」と言って科学的な考え方を否定される方がたまにいらっしゃいます。
しかし、物質も科学もこの世から無くなることはなく、いくら精神や心が大事だと叫んだとしても、人間そのものは空を飛べ(物理的な機能を有することが)無いように、人間活動は物理的な制約を受けつづけることにはなんら変わりがないのです。
竹田先生は、「念ずれば花開く」は、すばらしい言葉だが、経営する実践者としては、「念じて、行動しなければ、花は開かない」とおっしゃています。
経営においては、いいことを唱えることより、実践することを重視するべきです。実践するには、効果的なやり方を追求するのは当たり前のことなのです。
⑤人間的側面
先生は、物理的側面を中心に理論を組み立てているわけですが、人間的側面についても言及しています。しかし、それは、情緒的、文学的にとらえるのではなく、実践的に何をどうすれば良いのかを示しています。
人間的側面は、(経営者の)熱意、願望、向上心、心構え(感謝)としてとらえ、熱意・願望・向上心については、「時間戦略」の中で、エネルギーと物質との関係を説明に用い、その高め方を語っています。私は「熱意・願望あるいは本気=時間の投入量」と解釈しています。
また、心構え(感謝)については、「顧客戦略」の中で、顧客中心の経営価値観(顧客観)をしめされています。
しかも、「感謝は態度で示せ」と言われ、具体的な行動をすることを要求します。「感謝しています」と心で念じても、実際に態度で示せなかったら相手に通じないとバッサリ。
具体的行動の代表は、お礼状を手書で書くことです。先生の調査では、お礼状を書くビジネスマンは5%もいないと。お礼状を出し続ければ、顧客から喜ばれ、忘れられないようになり、それが、会社の利益にもつながり、しかも、何枚も書くうちに、人格の向上につながると。
それから、「リーダーシップ」の中で、人間関係能力の高め方を整理し解説しています。例えば、部下に関心をしめす等。