小嶋隆史の「小さな会社の経営法則」ブログ

小嶋隆史の「小さな会社の経営法則」ブログ

競争は常に、有利な条件の者と不利な条件に置かれる者に分かれる。両者同じように戦ったら、最初から有利な条件のものが勝に決まっている。
救いは、ランチェスター法則によって明示された「弱者の戦略」だ。


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2017年最後の実践交流会は、毎年恒例となりましたゲンキー株式会社の藤永社長に講演していただきました。

ご存知の方を多いと思いますが、福井の東証1部のドラッグストアチェーンです。

 

最も競争の激し業界で、現在、福井でシェアNO.1、岐阜、愛知を攻めています。もちろんランチェスター戦略で。


タイトルは、ぶれずに「一生一回一ブランド」



 

(講演に参加された、いちがみトモロヲ氏作成)

 

 

毎度ながら、ズシズシくる迫力ある内容でした。簡単に紹介すると。

・ランチェスター法則は宇宙の法則
万物普遍の法則であれば、それに従った方がよい。従わないなら、ブラックフォールの中に行くしかない。

・ハンマーシュタインの4部類の応用
「賢い、賢くない」と「まじめ、不まじめ」の2つ軸で、4つの象限(組み合わせ)ができますが、経営者に向いているのは「賢くて、不まじめ」。「賢くて、まじめ」な人をどう使うか。「賢くなくて、まじめ」な人は。。。。

確かに、経営者で会社を大きくしている人は、不まじめ(語弊あり?)な人が多いようです。思い切った投資をするとか、ランチェスター的徹底集中には、通常レベルではない変わったところがあります。そして、計算高い。

・アマゾンの脅威
アマゾンに勝てないことはやらない。やめる。アメリカのショッピングセンターは日本の商店街でいうシャッター街になってきているそうです。

・家業か事業かハッキリさせろ
自分のためにやっている、それは家業。
事業家は資本金を多くする。それで事業に対する社長の本気度が分かる。

その他、経営計画、地方を良くするのはビジネスと大学、など多くのことを語っていただきました。

その中で、竹田陽一先生は拡大についてあまり語っていない、というご発言がありました。

そのことについては、次回また書くとして



たくさんの方に来ていただきありがとうございました。


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2017年10月17日の北陸NO.1実践交流会(106回目)は、竹田陽一先生に来ていただき、

 

ランチェスター先生 生誕150周年記念ということで、ランチェスター法則についてお話をしていただきました。

 

もちろん、経営に役立つ話満載です。

 

毎年1回は金沢で講演をお願いしていますが、毎回たくさんの方に来ていただいています。

 

 

今回は、オペレーションズリサーチ(OR 実際的問題解決法)についても触れていただきました。

 

ORとは、アメリカの国防省で太平洋戦争期に対日作戦で研究されたものです。数学者をはじめとした科学者が、ランチェスター法則を応用して、最も効果的な作戦を立案しています。

 

そこから、必勝の条件である「2.83倍の量的投入」が導き出されています。

 

実際に、日本のゼロ戦1機に対し米国は3機編隊で迎えています。

その結果、優秀なパイロットと操作性の優れたゼロ戦がことごとく撃ち落されるという、日本人としては残念な結果になってしまいました。

 

 

しかも、ORの調査により、米国側は新人パイロットを4機目につけ、4,5回目まではただ編隊についていくだけとし、慣れさせたうえで実践迎撃態勢組み込ませました。

 

それまでは、新人が緊張のあまり編隊から離れ、ゼロ戦と一対一になって撃ち落される確率が高かったのですが、それが改善されてというわけです。

 

 

要因分解し科学的に問題を解決するやり方は、経営でも応用できます。

 

セブンイレブンはこの使い手としては有名です。

 

売上を構成する要因を何種類も上げウエイト付けして、仮説検証によりその精度を高め、売上予測は5%以内に収まるということです。

 

 

40年以上今もって、先生は「ランチェスター法則と中小企業経営」の研究に集中しています。

 

そのすごさを感じる講演でした。

 

 

懇親会では、参加者一人一人にアドバイスをされます。

 


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今年の衆院選は、面白すぎて関心が高い人が多い。

 

ということで、私のやっている勉強会で、ちょっと選挙予測をしてみました。

 

とはいえ、我々は政治評論家ではないので、

単純にメディアが発表している「政党支持率」だけを材料に、競争の原理を示す「ランチェスター第2法則」を使って予測するというものです。

 

当然、正確に予測しようとすると様々な変数、県ごとの状況や立候補者の能力を検討しなければなりません。(が、「政党支持率」が結果に与える影響度は7、8割以上あると思われます。)

 

 

ランチェスター第2法則は、「攻撃力=兵力数の2乗×質(兵士技能、武器性能)」で表され、敵対する相手との相対的な力関係を示します。

 

企業間競争で応用され、「1人当たりの経常利益は市場占有率の2乗に比例する」ことも師である竹田陽一先生の発見により、分かってきました。(質については、長期的視点で見ると同業他社と均質化してくると考えられるので考慮の外に置きます。)

 

それを、選挙に応用して、

「1人当たりの議席獲得力は、政党支持率の2乗に比例する」と考えると、単純に各党の獲得議席数が予測できます。

 

経営における市場占有率を「市場内顧客からの支持率」と読み替え、選挙の支持率に当てはめたわけです。

 

計算の方程式は、

衆議院選挙では、比例と小選挙区があるので分けます。

 

・比例は得票数に応じてということですので、当然2乗比にはなりません。

「各党の獲得議席数=政党支持率×176(比例定数)」

 

・小選挙区における競争については、2乗比を当てはめて考えます。

「各党の獲得議席数=政党支持率の2乗比換算×289(小選挙区定数)」

 

計算途中で、連立や選挙協力を考慮すべきだと気づき、グループごとにまとめて計算後、各党に割り振りました。

 

予測結果は、

自民(272)、公明(44)、希望(53)、維新(13)、立憲(36)、共産(19)、社民(2)、無所属(25)

 

 

 

政党支持率だけから求めた割には、新聞各社の予測値と比べ、まーまー来てる感じです。

 

各党から出している立候補者数、内閣支持率などを考慮すれば、精度は高かまるでしょう。

 

実際の結果は22日。

 

果たして、ランチェスター法則は選挙に適応できるのでしょうか?

 
 

 

と思っていましたが、待ちきれなく、前回の衆院選で検証してみました。

 

 

比例の得票率を政党支持率に置き換えました。

 

いかがでしょうか?。

 
 

 

 

 
 

 


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「絞り込め!」とよく言われる。

 

ランチェスター的には、「小規模1位主義」、「部分1位主義」というのが当てはまる。


●小さくてもいいからNO.1の分野を持て!

●小さな範囲に資源を集中せよ!

という原則がこれを表している。

 

が、これができる人は少ない。

 

様々な分野に手を出したり、遠距離営業に出かけたりと、身の丈を超えたことをしている方が一般的かもしれない。

 

なぜ、絞り込めないのだろうか?

 

絞り込むには、一定の覚悟がいる。短期的な売上低下も覚悟しておかなければならない。

そこには、「これしかやらない!」という決断力や人生をかけるくらいの必勝の信念がいる。



 

 

昨日の北陸NO.1実践交流会で講演してくれたエンパワー・サポート(株)の高井社長は、保育士派遣に絞り込み見事な業績を上げている。

 

もともと様々な事業を立ち上げうまくいかず、人材派遣業に落ち着くが、リーマンショックで急降下。かなりの借金を抱えることになる。



 

逆境の中で、儲ける事業を探すのではなく、自分でも社会に役立つ事業を考えた、と高井さんはいう。

 

必死に考えた結果、子育て支援、レディーファーストというコンセプトとともに保育士の派遣事業に特化していく決断をする。

 

待機児童が社会問題になって久しい。

高井さんは、一人の保育士さんを派遣すれば少なくとも3人のママさんが喜んでもらえる、という。

 

派遣業界全体からみれば、保育士派遣の市場はかなり小さい。

しかも、ライバルは1社のみ。その1社は規模は10倍。だが、保育士に特化しているわけではない。

 



知り合いの保育園をたどり、情報収集を始める。


ライバルがやれていないニーズを丁寧にくみ取れば、勝算あり、とふむ。


そして、誠実さを武器に、自ら保育園を回り、少しずつ取引先を増やしていく。


もちろん、最初から上手くいくはずもないが、これに賭けるしかなかった。

他をやる余裕はないが、必ず上手くいかせるという信念と事業に対する集中力はあった。




その信念は、どっから来るのだろうか?


この信念はぶれることなく、

保育士が働きやすい環境を少しでよくすることに集中し、

自ら現場回りを強化し、保育園との信頼関係を築きながら園にとってメリットのある対策を打ち続ける。


結果、口コミで派遣登録の保育士が増え、今では、ライバルがマネできない常に先をいく卓越したサービスも行っている。

 

当然、この分野では1位に。

 

ちなみに、高井さん自ら保育士免許をとっているそうだ。

 

 

人生を変える転機には、師との出会い、逆境があるといわれる。

 

絞り込みの決断、その覚悟ができたのは、リーマンショックという危機と、

尊敬する専業主婦であった母上の言葉があったからだと高井さんは言う。

 

「もっと違う人生があったかな」

 

 

今回の講演で、普段の勉強会で見せる顔と違う「本気」の顔を見せてもらった。


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ずしっと響きました。

 

「昨年の売上は分る人は多いが、顧客数を答えられる人は少ない」

 

昨日のホワイトベース小串さんの講演で、今まで何度となく聞いた言葉に、心が揺れたのです。

 

売上や利益という「数字」に意識はすぐにいきます。

しかし、大切な粗利益をもたらしてくれる顧客という「人間」に対してはそこまでない。

 

「経営の本質はお客づくり」…利益ではない

「買うか買わないかの決定権は、お客が100で自社は0」

「業績を良くするには、お客活動を熱心にする」

「お客活動とは、競争相手以上に顧客から、好かれ、気に入られ、喜ばれ、忘れられない」

 

これらの言葉は、経営の基本中の基本。竹田陽一先生が何度も言われています。

 

 

 

 「決して顧客を忘れてはならない。と同時に、顧客からも決して忘れられてはならない」

 

これは、フランク・ベドガー著「私はどうして販売外交で成功したか」の中で、当時好調だった自動車会社シボレーが大切にしている言葉だと紹介されています。

(ちなみに、この本に触発されて竹田先生はトップセールスに上り詰めています。)

 

その後、シボレーはGMに吸収されていることを考えると、当社もまた顧客を忘れてしまったのか、とも思ってしまいます。

 

 

 

本当は「顧客から忘れられない」ではなく「こちらがお客を忘れない」ことが大切。

 

それを体現するのが、小串さんのいう「はがき」なのです。

 

小串さんは、宛名を手書きで書きなさい。といいます。はがきを書くときにその人のことを思い出すから、とも。

 

小串さんの講演は、忘れそうになっている大切なものを思い出させ、原点に返らせてくれます。

 

 

2008年12月からスタートした北陸NO.1実践交流会も節目である100回を迎えました。

参加者は、1回当たり平均50社くらいですので、のべで5000名を超えています。

 

改めて、この数字の背景にある参加者を思えば。。。

 

昨日、1回めからの名簿を見ていると、多くのことを忘れていることに気づかされ、これからやるべき方向性もみえてきました。

 

「原点回帰」

 

そして、ここでは言い尽くせないのですが、

今まで参加者して頂いた皆様には、心より感謝申し上げます。


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 桜の季節は「過行く時間の早さ」をじわじわ感じさせます。

 

 日本人のDNAのせいかもしれませんが、それより、昨年も、一昨年も同じような会話が友人との間で繰り返されていることを知るからです。

 

「去年どこで花見したっけ?」 「○○でしたね」

「あれからもう1年経ったん」 「そやね」

「時間って過ぎるの早いねー」 「そうやねー」

と、毎年毎年。

 

 年を重ねるほど、時間のスピードが速く感じられます。恐らく、「過ぎ去った時間」と「将来残されている時間」を無意識のうちに対比しているからなのでしょう。

 が、「使った時間」に比べ「成しえたもの」を思った時、やや残念な気持ちにもなるのも事実なのです。

 

 より良き人生のためにも、時間を有益なものにしたい、と誰しも考えること。

 というわけで、「時間」について学んでいこうと思います。

 

1.時間とは何か

 「経営者の条件」という著書の中でドラッカー先生はいいます。ヒト、モノ、カネと同じように、時間は「資源」だと。

 

 ただし、「特異な資源」であるとも。増やせない、蓄積できない、戻らないという特徴からです。

 

 その特異さにより、「時間は常に著しく不足する」。

 

 そして、「成果を上げている人を際立たせるものとしてあげられるのが、『時間に対する配慮』」」だといいます。要は、凡人は時間に対する配慮が全くなっていないということですね。

 

 では、成果を上げる人の「時間の配慮」とは、いったいどんなものなのか?

 

 「成果を上げる者は、仕事からスタートしない。時間からスタートする。計画からもスタートしない。まず、何に時間がとられているかを知ることからスタートする。次に、時間を奪おうとする非生産的な要求を退ける。そして、得られた自由な時間を大きくまとめる」と。

 

2.時間との付き合い方

 私たちは、いつも「時間の欠乏」に悩まされています。しかし、その割には時間をうまく使えていない。

 

 ドラッカー先生は、まず時間を「記録する」、「整理する」、「まとめる」ことが時間をうまく使う、あるいは成果を上げるための基本だといいます。

 

(1)時間の記録

 なぜ、記録が必要なのかといえば、私たちが時間をどのように使っているか、思っている内容と実際では、かなり違っているからです。忙しすぎて、時間の余裕はない、と思っていても、実際に記録を取ってみるとそうでもないということもあるのです。

 

 仕事柄、営業会社の営業マンの日報を見たりすると、1日を何に使っているの?と思うこともしばしばあります。それでも、彼は仕事でしんどい顔をしている。

 

 こういうことはよくあって、人間は都合よく思い違いをしてしまいます。訂正するには、記録をとり、時間の使い方を客観的に見つめ直す。それを第一にあげたドラッカー先生の言葉も納得がいきます。

 

(2)時間の整理

 整理の最初は「捨てる」。ムダな時間、非生産的な時間をまず排除することからです。

 

 ただし、ハッキリとムダと分るものは少なく、短期では成果につながっていないようでも、中長期では成果に結びつくものもあります。

 この当りの判断は難しいところですが、数年やっていても成果につながっていないものは思い切ってカットして、時間の使い方をシンプルにしておく必要もあるでしょう。

 

 次に、時間を浪費する原因についても考えてみる必要がある、とドラッカー先生はいいます。そして、その対象として以下のことあげています。

 

①何度も同じ間違いが起こり、そのたび時間が取られるもの

 それらを予見しルーチン業務の中に間違いが起こらない仕組みを組み込みなさい。

 

②人員過剰のせいで逆に時間が奪われていないか

 人と情報を共有したり、意見をすり合わせしたり、教えたり、と「人」に時間が取られるものです。

 

③組織構造上の原因

 役割分担や業務のやり方、例えば、同時並行的に複数の仕事をすることで注意力分散をまねき、時間当たりの生産性が落ちていないか。

 

④情報伝達の障害

 ムダな報告や、伝達不足による混乱がないか確かめる必要があるようです。

 

 上記複数の対象にかかってくるのが「会議」です。ドラッカー先生も取り上げていますが、「業績の良くない会社ほど会議が多く、時間が長い」というのもコンサルタントとしての実感です。

 

(3)時間をまとめる

 何か生産的な仕事をしようと思うと、細切れの時間では役に立ちません。確かに15分くらいだとスマホを見ていたりして、すぐに浪費してしまいます。一定のまとまった時間、90分とか2時間を確保することが大切になってきます。

 

 

 全社的に「お客を作るための生産的な時間」が多い会社と少ない会社では、どちらが業績が良いかは明らか。時間の使われ方が生産性、もっといえば利益性に影響を与えます。

 

 「成果を上げる者は、仕事からスタートしない。時間からスタートする。」という言葉は非常に意味深く思えます。

 

 

3.弱者の時間戦略

 竹田ランチェスターには、時間戦略というものがあります。万人に唯一平等な資源である「時間」を効果的に使うことです。簡単に紹介します。

 

①時間量の拡大

 弱者は、知名度、資本力(お金や資産)、従業員の数や能力、などで強者に劣ります。しかも、競争力のある商品や地域などもない会社がほとんどです。

 

 そういった会社が上位に上り詰めようと思えば、まず時間を拡大して活動量を多くすることです。まず、社長の朝の出社時間を早め、1日の計画を立て社員に対しての指示をメモ紙に書きだすことからスタートします。

 

②時間の質を高める

 計画や管理の時間に3割、残り7割は中心業務に時間を振り当てます。規模による社長の役割、その範囲も知っておく必要もあります。

 

 時間の質的向上には、ドラッカー先生の時間管理が役立ちます。

時間の使われ方を見ていくと、組織の問題とともに戦略の問題も浮かび上がってきます。営業地域の決め方などを見直すきっかけにもなるのです。

 

③時間はエネルギー

 竹田陽一先生の特徴がでているのが、時間は活動量であり、「エネルギー」だといいます。時間の投入量は熱意願望の強さと比例します。確かに、時間を忘れるくらい集中して仕事をしているときの時間量は自然と多くなります。

 

 弱者は、まず時間拡大から入り、それを続けそこから生まれた成果が自信となり、その自信が熱意願望を高め、さらなる成果に結びつくということです。

 

 

4.時間と人生

 成果を上げる人とそうでない人の違いは「時間への配慮」とドラッカー先生はいいます。

 配慮という言葉には、記録をとり現実の自分と向き合う大切さ、ムダを排除する決断、希少な資源を有効に使う意志が含まれます。

 

 あるようでないのが時間。

 

 人生とは与えられた時間の中でのその使い方です。四〇歳になる前に、「人生二度なし」「1日は一生の縮図である」とういう森信三先生の言葉に出会った時は1日1日を懸命に生きようと思ったものです。が、振り返ると、…。

 

 「今日一日の区切りで生きよ」というディール・カーネギーの言葉もあります。昨日と今日の自分は違う。過去は切り離して、今日が新しいスタートの日。

 

 来年の花見の時期には、うまい北陸の酒がさらにおいしいと感じられるように。

 

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

小さな会社の経営勉強会を開催しています。http://www.lanchester-kanazawa.com/


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今回は、ランチェスター戦略を代表するのはこれ!といっていいほどの、狭域戦、近距離戦についてお話します。戦略の王道ともいうべき原則。

「狭域戦」は「局地戦」と一般には呼ばれていますが、狭い範囲で戦う直接的なイメージがつきやすいのでこの言葉を採用しています。「近距離戦」は、そのまま、根拠地から近い所で戦うということです。要は、「身近なところで小さく範囲を絞って戦え」ということ。

一見当たり前で、分りやすく簡単そうに思えますが、意外に徹底するのは難しいものです。競争条件の不利な弱者は、特にこの原則を忘れてはなりません。

今回、この原則をふまえ、角度を変えた失敗事例と成功事例を取り上げています。簡単そうに見えるものほど奥深く、多角的に検証すると新たな発見があったりするからです。


1.日本軍の失敗

約300万人。太平洋戦争での日本人の亡くなった数です。うち230万人が軍人、その6割は「戦闘以外の死亡」。つまり、名誉の戦死ではなく病死や栄養失調による餓死です。
そうなった直接的な原因は米軍による物資補給ルートの遮断です。食料を含む物資が届かず、熱帯雨林をさまよい力尽きた軍人も数多くいました。そうなった根本的な原因は「戦線が延びきっていたこと」にあります。赤道を超え南半球のオーストラリア近くのソロモン諸島にまで日本軍は戦線を広げていました。これは戦略の問題です。

戦争といえば直接的な戦闘の場面を想起しますが、実際には行軍および物資輸送に大半の時間がとられます。補給が途絶えると軍隊は機能しなくなるので、補給ルートの決定や兵員や物資の輸送を計画、実施する「兵站」が重要な戦略課題になるわけです
ところが、日本軍は兵站をかなり軽視します。その結果、かなり遠くまで戦線を拡大し、その先にある後に餓島と呼ばれるダルカナル島での無残な敗北以降、米軍の反転攻勢を許し、日本軍の餓死者が急増していきます。

自軍の戦力以上に戦場を拡大し遠くに行きすぎた結果、多くの損害を被ることになりました。戦場の決定は陸・海軍上層部によって決めらます。その際、情報軽視、自軍の戦力過信、互いの見栄のはりあいがあったということ。戦略は不在でした。


2.セブンイレブンの出店戦略

 ビジネスの話に移行しますが、セブンイレブンは決して戦線を延びきらせるような戦い方をしません。セブンの戦場は「強い地域」の連鎖で成り立っているので、他社から攻め落とされる「弱い地域」がないのです。

強い地域は「配送拠点」と他社以上の「高密度の店舗配置」によってつくられます。現在、セブンは沖縄を除く地域に約18000店、ライバルのローソンは全国に約12000店出店しています。ローソンは1997年に47都道府県全てに出店(約6600店舗)しました。当時のセブンの出店は25都道府県(約7300店)だけです。北陸に初出店した5、6年前、四国、山陰など未出店地域が結構ありました。

店舗数は多いが出店地域は少ない。

これはセブンの各県における店舗密度の高さを示すともに圧倒的強さの源になっています。他社と比較すると、まず1店舗当たりの配送や広告コストが低く抑えられます。配送も多頻度小口化が可能となり、販売ロスの低減と商品の鮮度保持による顧客満足度向上、ひいては客数増も見込めます。他社以上にでた利益は商品開発や発注精度を高めるための投資に向かい、さらなる競争力をもたらすわけです。

セブンは一度ある地域に出店すると目標の店舗数になるまで出店を加速させ、いずれ1位の店舗数を目指します。(現時点では関東を中心に約半数の都道府県で1位)そうして粗利益の補給源となる「強い地域」をつくりだし、次の地域目標を近くに設定し配送拠点と高密度の出店をしていくのです。

ローソンが20年くらい前に全国出店を果たしていることを考えれば、このようなセブンの出店の仕方は一見遅く感じられます。コンビニ空白地帯に早く出店攻勢をかけ、先行者利益を獲得し、とりあえずでも地域基盤を作った方がいいように思えます。

しかし、私たちはセブンの圧倒的強さも知っています。先発で地域を制圧したつもりになっているライバル店をことごとく撤退させていく姿を目の当たりにしています。

このことは「狭い範囲に戦力を集中させ圧倒的な強さをつくる」方が、「広い範囲に中途半端に戦力を拡散させる」よりも長期的には拡大する可能性が高いこと、前者の方が、一見後者のようなスピード感がなく地味に見えるが戦略上は優れていることを表しています。

2000年を機にセブンとローソンの店舗数の差は広がり続けています。今後、セブンの店舗数が1位の地域も増えていくでしょう。かなりの確率でそう言えるのは、セブンに地域上の弱点がないからです。

セブンイレブンの草創期に、鈴木現会長は加盟店獲得するのに「江東区から一歩もでるな」といったそうです。狭域戦、近距離戦につらなる兵站の心得があってのこと。巨大企業となった今でもその戦略思想が徹底されているのがセブンの強さの本質だと思うのです。


3.利益性を左右する構造的要因

 ビジネスには収益とともに費用が伴います。当たり前ですが、少ない費用で多くの収益が得られれば、それだけ利益が多く残ります。この収益と費用の関係を利益性と呼びます。
 
結論から言えば、利益性を良くする最良の策は「特定範囲にお客を密集させること(占有率を高めること)」になります。特定化する範囲のひとつに地域があります。戦略的には会社から近く(近距離戦)、狭い範囲(狭域戦)、ということになります。

なぜ、お客を密集させればそれだけ利益性が高まるのでしょうか。
 
理由の一つは、経費効率がよくなるからです。ビジネスでは、営業や配送、メンテナンスなど人や物資が会社とお客の間を移動します。移動が発生すると、それだけ時間や費用がかかります。狭い範囲にお客が密集していると、それだけ移動効率がよくなりそれらに係る単位当たりのコストを押さえることができるのです。
 
もうひとつは、営業効率が良くなるからです。占有率はそれだけ信用の高さともいえます。周囲にある会社のお客が多くいると、当人もその会社のお客になりやすくなります。紹介も出やすく、費用ゼロで利益性を格段によくさせます。

さらに「最大の顧客満足は近くにあること」とも言われ、物理的な距離の近さは、お客から見れば心理的な距離の近さ、つまり「親近感」「安心感」「信頼感」とともに「即時対応」や「便利さ」を提供してくれるわけです。
 
大切なことは、日常的にお客獲得活動が行われ、これらの費用は発生しているということです。1日に何回も繰り返され、1年、3年、5年と期間を長くして考えると何千、何万何十万と行われ、「微差が大差をうみだす」ことには注意しておかなければなりません。

そして、その大本には「どこを目標とするか」と「その範囲の広さ」の決定があるのです。こういった利益性を根本から左右する要因を「構造的要因」と呼び、これをミスってしまうと、何をやっても、長期的にはビジネスはうまくいかなくなる点には留意しておく必要があるのです。



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1.情報について

シャープの身売り先が、台湾の鴻海精密工業なのか、日本の産業革新機構なのか、結論が出たようです。結果は鴻海傘下に。実際は、産業革新機構の提案を受け入れてほしい、と思った人も多かった様に思います。日本の家電メーカーのかつての誇りをせめて国内にとどめ置きたいという感傷と、技術情報、ノウハウが海外へ流出してしまうのではといった危惧、がそこにはあったようです。(もっとも、現在のシャープの技術情報はトレンド遅れであまり魅力的ではないらしいですが。)

ひところ、日本のお家芸と言われた家電製品。ほんとにあっという間にグローバル競争に敗れ瓦解していくさまを私たちは目にしてきました。安い労働力を武器に韓国や台湾、中国メーカーが急激に成長してきたのとは対照的に、パンソニック、ソニー、東芝などの日本メーカーは急転落、最終的には巨額の赤字を抱え、テレビ、液晶、PCなどの事業を手放していく。そして今回のシャープ。

かつての日本もそうであったように、新興国企業が勃興してくる背景には、先進国で培われたノウハウ、技術、情報の「模倣」があります。先進技術を解明するために製品を分解するといった正攻法ならよいのですが、中には産業スパイを擁立し技術情報の取得を画策してくる企業もあります。実際、数年前に東芝の半導体関連の元技術者が逮捕されるような事件がありました。韓国企業からかなりの大金をもらい情報を流出させたとのこと。

大切な情報をどのように扱うか、という問題は一見簡単なようです。つまり、社外に流出させない、が答え。しかし、情報は目に見えないために、どこからが大切な情報で、どこまでが大切でない情報なのか、その境目がハッキリしていません。そのために、中小企業の中には、大切な情報を平気で流出させていることがあります。


2.隠密戦

弱者の戦略に「隠密戦」と呼ばれる原則があります。言葉が示すように、身を隠しながら秘密裏に行動するということです。姿を現すときは相手に圧倒的な差をつけ逆転不可能な状態になってからです。それまでは、大切な情報を漏らさない、行動を読まれない、ということはいうまでもありません。

そのように振る舞う理由は「強者のミート戦略」を避けることにあります。ミートとは「模倣(マネ)」のことで「即応戦」とも呼ばれます。弱者が差別化された商品やサービスを市場に投入したら、強者はすぐに真似るのが原則。「同質的競争」に持ち込めば、占有率が高くて資本力もある強者が有利になるからです。ミートされれば、先発の会社でも負ける可能性が高くなります。想像以上に恐ろしいことです。

ところで、「最初にドリップコーヒーを導入したコンビニはどこでしょうか?」と質問すると、セブンイレブンと答える人が多いようです。実際はサークルK。強者のミート戦略の例です。セブンが情報操作をしているわけではなく、消費者が勝手にセブンと思い込み、サークルKよりも評価も高くしているのです。強者そして占有率の怖さでもあります。

ミートされないように、弱者はひっそりと身を潜め、強者を刺激せず、その間に「差別化」のきいた打ち手を考えなければなりません。それは真似できないくらいのレベルか、強者にとってマネする魅力がないものになります。現実的な弱者の打ち手は後者が多くなりますが、もし前者の場合には、時期が来るまで情報は内密に社内での公表も精査したうえで行わなければなりません。


3.コントロール可能と不可能

戦略で大切な考え方の一つに、コントロール可能なものはそれを徹底し、コントロール不可能なものは最悪な事態を想定しておくということがあります。コントロール可能なものとは自社の内部統制です。不可能なものは外部のお客や競争相手。特に、競争相手を「そんなことしてくるはずがない」、「そんなことできるはずがない」と見くびってしまったことが原因で競争に敗れていくことがあります。

数年前、セブンイレブンが北陸初進出の際にライバルに当たるコンビニの地域FCの方がインタビューの中で、「すでにコンビニは飽和状態なので、セブンに出店余地はない」と言っていた記事があります。顛末はご承知の通り。出店をするかしないか決めるのはセブンの側で、他者であるライバルを制御する権利はその方にはなかったのです。

4.情報は漏らさない

圧倒的な差をつけるまでは、自社の戦略情報は漏らさない。非常に当たり前な戦略ルールですが、意外にも社長自ら流出させるケースがあります。代表的なのは、講演を頼まれた場合、経営計画発表の場に部外者を呼ぶ場合、同業者の集まりでつい調子に乗ってしゃべってしまう場合です。

これらは全てやってはいけないということではありません。競争相手が真似しようとしても真似できない自信と根拠があれば大丈夫です。そういう場合は自社の宣伝にもなるのでどんどんやればいいと思います。ただ、そうでない場合はできるだけ控える方が賢明でしょう。

もっとも、講演を頼まれる場合は一定の成功を収めた戦略のある社長でしょうから、教える範囲と教えてはいけない範囲をわきまえているでしょう。経営計画発表で人を呼ぶ場合は信用のおける人だけに限定すればよいでしょう。

一番よくないのは、同業者の集まりでベラベラしゃべることです。全員が性善説的関係にはならないのが通常です。「隠密戦」の原則に従う方が無難です。もっといえば、同業者とあまり付き合わない、読まれにくい行動をしておくことも大切かもしれません。


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1.小ささのメリット
我々の祖先は、数億年の長きにわたり、体の大きな生物にいつも命を脅かされる「小さな存在」でした。

今でこそ人類は生物界の頂点に立っています。そうなりえたのは、大きな生物に戦いを挑んだわけではなく、天敵からの襲撃に「素早く逃げ回る能力」と地球上の環境変化に「順応する能力」が高かったからだと言われています

この「俊敏性」と「順応性」は、体の特徴すなわち「小ささ」と無関係ではありません。「小ささ」に付随する二次的な特徴でありメリットです。

そして、この身体的特徴を生かすこと。それこそ、「小さな会社」が激動の企業間競争を生きのびる知恵にも通ずると思うのです。


2.小が大に勝つには
現代の企業間競争は、資本力のある大会社ほど有利になるメカニズムをもっています。

少数の巨大会社による市場の「寡占化」はそれを証明していると言えるでしょう。例えば日用品だと、花王や、ライオン、P&G等でほぼ市場を支配しています。当然、その背後には小さな会社は消滅してきた歴史があるわけです。

ただ、エステーのように、巨大企業の盲点を突くように事業領域を“消臭”等のニッチな分野に特化し存在感をしめすような企業もあります。ちなみにおおよその年商はエステー500億、花王1兆5千万円。エステーは小さな会社ではありませんが、花王に比べ30分の1の規模、相対的に弱小企業であることは間違いありません。

そのエステーの鈴木会長が雑誌のインタビューで、「生き残る必勝不敗の法則は、戦う場所を選ぶのとスピードだ」と答えています。「戦う場所」とは巨大会社が攻めてこない「市場規模の小さな分野」。「スピード」とは、お客の考えている先を行き、試作テスト販売を繰り返し、ダメなら直ぐ止める、その「試行錯誤の繰り返しの速さ」のことです。

決して大会社の真似をするのではなく、大会社が嫌がる戦場を選び、大会社が嫌がることをやる。こうしたことがすぐに「機動的に行える体制」を確保しておくこと、これが小さな会社にとっての生命線にもなるのです。


3.大きさの弊害
 組織が大きくなればなるほど、意思決定のスピードが遅くなります。原因は縦と横の情報の流れに円滑さがなくなるためです。

縦の原因は、「階層」が多くなり階層ごとに承認行為が発生し、役職者の数だけ、意思決定のスピードは遅くなっていきます。横の原因は「部門」の数が多くなり、部門間の調整行為が増えるためです。
また、伝達の質的面においても、「組織階層の2乗に反比例して情報は伝わる」と言われます。つめり、2階層の組織と4階層の組織では、4階層の情報の伝わり方の方が4分の1に劣化していきます。伝言ゲームを思い起こせばよいでしょう。

これらのことが原因で、経営陣にリーダーシップがない場合、いわゆる大企業病といわれる、セクショナリズム、官僚化、革新性のある提案が出ない等、大組織ゆえの弊害が噴出してくることもしばしばです。その結果、社内が性悪説になり、顧客よりも自社のマニュアル優先といった対応で顧客不満、顧客離れが起き出すと大変なことになってきます。

 ですから、大会社ほど「組織対策」「コミュニケーション対策」は重要なテーマになっていくわけです。

4.小さな会社は大会社のマネをしない
 大会社のこのような傾向は、小さな会社にとってはねらい目です。少ないながらの逆転のチャンスも含まれています。

 ところが、従業員が20人もいないのに大会社のマネをして、役職者を多くし部門も小分けして、小ささのメリットを放棄したうえに大会社の弊害を受け入れているような会社もあります。役職者の数が平の従業員より多い会社が結構あったりします。
組織構造を複雑にしておきながら、「わが社の問題は社内のコミュニケーションだ」といっている小さな会社の社長もたまに見かけたりするものです。

「大会社のサイズをそのまま縮小して中小零細企業に当てはめれば良い」という考えは明らかに誤りです。小さな会社はその小ささを活かし、大会社にない、俊敏性、機動性、順応性を最大限生かさなければならないのです。そのための体制を整えておく必要があります。それが、弱者の戦略の「軽装備」の原則です。


5.軽装備
「軽装備」の原則を当てはめる対象は「組織」と「資金」です。

①組織の軽装備
階層を多くせず、組織のシンプルさを保ち、意思決定のスピードを重視すること、がその概要です。

1人の上司が成立するには10人の部下が必要となります。
従業員数が10人を超えて、初めて2階層の組織ができるわけです。このときの役職者は社長ということになります。従業員が30人を超えると3階層になり、社長と平社員の間に役職者が入ります。10人未満は、1階層つまり階層のない組織で、社長は部下と一緒に戦術をやりながら率いるプレーイングマネージャー的な役割になります。

②資金の軽装備
資金を固定化させず、不測事態への備えとチャンスに素早く資金をつぎ込めるようにしておくこと。
事業が成功しだすと、自尊心の強い社長は決まっていい車を買い、お金がたまりだすと借金してまで自社ビルを購入したくなります。この時注意しておかなければならないのは、需要の変化、代替品や強いライバルの出現等の予期せぬ事態の発生です。未来は誰にも分らないものです。一定程度いざという時に使える流動性の高い資金をもっておく必要があります。

 それから、もう一つ。資源配分を考えるとき、1位をめざすところ、利益発生源のお客をつくるところに資源を集中させることが大原則になります。資源は有限です。重点分野以外の資源配分は極力簡素にしておかざるを得ません。事務所にお金をかけないとか、中古品で間にあうものはそうする等。このメリハリをつけることも「軽装備」の原則です。


6.まとめ
 弱者の戦略は、実際の戦闘における「ゲリラ」的な戦いを彷彿させます。山岳地帯や森林の中に身をひそめ、神出鬼没で、大軍をかく乱する・・・。そのときに、重い荷物や大型の兵器は、動きを遅くし、標的にされやすく、邪魔になるだけの無用のものです。

このような戦闘においては、弱小軍にとっては「身軽さ」が最も大切な考え方になるのです。

人は大きなものに本能的に憧れる性質があるそうです。大会社のやり方は見栄え良くみえるものです。他者に対しても大きく見せたいものです。これは本能ですのでしかたありません。
しかし、そこはぐっとこらえ、弱者の戦略の「軽装備」の原則を守るか守らないかが、生き残って飛躍していくかどうかの分かれ目になるのです。


テーマ:
経営では営業の仕組をつくることは大切です。その中の一つに「見込み客を発見する仕組」があります。実はこの仕組の作り方が最も大事で、最も難しく、最もお金がかかります。

ホームページをつくったり、SNSで情報発信したり、チラシをまいたり、雑誌広告を載せたり、看板を立てたり、飛び込み訪問したり、見込み客が来そうな会に所属したり、イベントを頻繁に開催したり、と色々なやり方がありますが、何でもかんでもできないので何を主力の営業媒体にするか考えなければなりません。

営業媒体は「人間」か「それ以外」で分けられます。営業マン(販売員)か広告チラシと考えればよいでしょう。広告媒体は「間接戦」になるため、同じやり方を規模の大きな同業者にされた場合に、そこで負けてしまい、かけた費用がロスになる割合が多くなります。弱者の戦略では「人間」重視。こちらから接近し、お客と「一対一の人間関係」をつくり顧客化していく「接近戦」「一騎打ち戦」を重視します。ここには強者の圧力はかかりません。

しかし、人が動くと大きなコストがかかる上、効率が悪く見えます。それに対し、一気に何千何万の人に知ってもらう広告媒体に目が行きがちです。大会社にとっては、広告媒体をつかった間隔戦の方が、ちまちま人が動くより効率的になります。広告効果は市場占有率の2乗に比例するという法則があるためです。ということは、占有率の少ない小会社とって、広告効果はあまり期待できない、ロスの方が大きいということになります。

弱者は大手と同じことはやらない「差別化」が大切です。多少コストがかかろうとも、人が動く方、手間のかかる方を選ぶ方が得策です。もちろん、接近戦や一騎打ち戦がしやすい商品や市場も同時に見直さなければなりません。営業戦略と整合性のとれる「営業範囲をぐっと絞るといった地域戦略」や「対面で説明が必要な商品を扱うなどの商品戦略」「客層戦略」が必要になってくるわけです。

参考になるのが、数年前に大きく取り上げられた東京町田の「電化のヤマグチ」さんです。顧客の家へスタッフが定期訪問し、頼まれれば花の水やりや犬の散歩までするそうです。それだけ関係性ができていれば他店へはお客は流出しないでしょう。周囲には大手家電量販店が勢ぞろいしている中で町の電気屋さんが業績を上げる方向性を示してくれました。そのやり方はまさしく接近戦です。もちろん地域や客層の選定とセットで考えなければなりません。

人間が動くと同時に、チラシなど間接媒体を一定程度使った方が効果的な場合もあります。こういう場合でもできるだけ「人間化」を考えてみます。例えば、チラシの中に顔写真や似顔絵を入れるとか、手書きにするとか、商品を訴求するよりも「人間的親しみ」を訴えるとかです。こういったチラシはスポット刈り取り的にまくのではなく、長期戦で定期的に配布するのがポイントです。費用のことも考え、そのための計画が必要でしょう。ポスティングをする場合は、手渡しをすると接近戦になります。

その他、店舗における高密度出店も接近戦と言えます。一定の商圏内の顧客からの距離を縮めようとすると出店密度は狭くなります。ただこの場合は一定の資本がいりますが。。。「最大の顧客満足は近くにあることだ」といった流通大手の社長もいました。物理的距離は安心、便利といった心理的距離も縮めるものです。

お客にどこまで近づけばいいのか?というと、お客と一体化するまでという答えがあっても良いと思います。「お客の立場」で考えるとか「共感」という言葉はよく聞きますが、それはお客と場を共有すし、同じ感覚を持ち、視線が等しくなるということだと思います。家電製品の「取り扱い説明書」を、高齢のお客と一緒になって、ポイントを押さえ、手書きの大きめの字でつくってあげる家電店もあるそうです。こういったひと手間ふた手間が大きな差別化になっています。

「弱者は、お客との接点を合理化してならない」は竹田陽一先生の名言ですが、こうやって見てみると、弱者の戦略は、大量生産大量消費型の社会から「人間性の回復」のように思えます。それこそ、中小零細企業の社会的役割のようにも思えます。


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