『ラインの監視』 | 銀幕と緑のピッチとインクの匂い

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映画は洋画、それも古い映画が大好き。本は外国文学。ドラマは洋物。サッカーは海外チームと代表の応援、という思いっきり偏った嗜好で、天の邪鬼に感想を語ります。但し、脱線話題多し。

 

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1943年アメリカ映画WB 白黒 110分

監督 ハーマン・シュムリン

出演 ベティ・デイビス ポール・ルーカス ルシール・ワトソン ジェラルディン・フィッツジェラルド デヴィッド・ファレリー

 

1940年4月、17年ぶりにサラ(ベティ・デイビス)は家族と一緒にヨーロッパからアメリカに帰ってきた。夫のドイツ人クルト(ポール・ルーカス)はエンジニア。2人の子供も一緒だ。実家は裕福で、母のファニー(ルシール・ワトソン)や弟のデヴィッド(デヴィッド・ファレリー)は、喜んで迎えてくれる。他に屋敷には、ルーマニアの伯爵テック(ジョージ・クールリス)と、妻で知己のマーサ(ジェラルディン・フィッツジェラルド)がいた。クルトは、実は33年からヨーロッパのあちこちで反ファシスト活動をしてきた。サラは、そんな生活に疲れていたが、実家で落ち着いて母の愛情に包み込まれて、やっとホッとするのであった。しかし、テックは、クルトがナチ反対運動をしている事を知って、彼をドイツ大使館に売りつけようとするのだが……。

 

 

夫は、ヨーロッパで反ファシスト活動をする身。サラは、ハラハラして見守るしかない生活で、心底疲れ切っていました。そんな中、やっと実家に帰ってくることが出来て、どれほどホッとしたことでしょうか。実家は、裕福で豪邸で使用人も何人もいます。母も弟も、心から歓迎してくれます。母がドレスを作ってくれた時、サラの目に流れたであろう涙。ここにいれば、何も恐れるものはないのです。戦火のヨーロッパと、安全なアメリカとの、大変な差を感じます。

 

しかし、この実家にいたルーマニアの伯爵テックが良くなかったのです。財産をすべて失ってしまった自堕落な男であり、ドイツ大使館に入り浸って、賭博でお金を儲けているような男なのです。妻のマーサは、とうに愛想を尽かしていて、デヴィッドとの再婚を考えていたのでした。

 

クルトは、ファニーとデイヴィッドに、自分がレジスタンスであることを明かします。しかし、テックは、既にそれを知っていました……。

 

クルト役のポール・ルーカスは、この役でアカデミー賞主演男優賞やゴールデングローブ賞を受賞しました。レジスタンスに命を賭ける男を真摯に演じています。ベティ・デイビスのほうが脇に回っている印象です。それから、ジェラルディン・フィッツジェラルド、相変わらず綺麗です。39年の『嵐が丘』で、デヴィッド・ニーブンの妹役を演じた女優さんです。

 

母親役のルシール・ワトソンも、愛情たっぷりで、この人の元に戻ってきたらもう大丈夫、と思わせる愛と貫禄があります。出ている俳優さんが、皆うまいですね。

 

重いテーマですが、生きているうちに一度は見て頂きたい映画です。

 

トレイラーです。