喫煙者の俺に、タバコを止めたほうがいい、と禁煙を勧める人は多い。
おおそうか、タバコは病気の原因だからな。
いや、待てよ?
タバコは病気の原因なのか?
具体的な因果関係、つまり「タバコが原因で病気になる」という確固とした証明を、きちんと説明してくれる人がどこに居る?
確かに、タバコの煙が煙たくて迷惑、というのは分かる。ならば、分煙すればいいし、喫煙者は嫌煙の流れに沿って、マナーを向上させるのに努めるべきだ。
それは責任である。責任は時代と共に進化すべきだ。
また、自分にタバコは合わない、と感じたら、それは止めて然るべきだ。嫌なものをわざわざ摂る必要は無い。
だが、肝心の「タバコと健康の因果関係」つまり「立証された事例」を以って、禁煙の必要性を説明してくれる人が居ないのは何故だ?
誰か、教えて欲しい。
タバコの何が原因で重篤な症状を引き起こすのだ?
ニコチンが体に悪いから・・・・ 何故そう言い切れる?
タールが体に悪いから・・・ 何故そう言い切れる?
有害物質が満載だから・・・ ならば、我々は何も口に出来ない。
それが理由なら、酒も自動車も高圧電線も、いや、家電製品一式も、調味料や洗剤や・・・我々の現代の生活様式の全てを根本から見直さなければならない。
大抵の禁煙の優位性を説く人は、タバコが体に悪い、と誰かに聞いた・・・とか、タバコを吸う人の肺が恐ろしい事になっていたから・・・とか、単にニオイが臭いから・・・ということを主張する人が殆どではなかろうか。
でもそれは、全て「クチコミ」「また聞き」であり、また内容も決定的な事例とは言えず、タバコを根絶させるに足る証拠とはならないのである。(臭いのはタバコに限らないので論外。これはマナーとして捉え、喫煙者は改善に努めるべき)
禁煙運動には、アメリカのピューリタン(清教徒。我々からすれば異教徒、もしくは侵略的宗教とも言う)の陰謀が見え隠れする。
禁酒法、大麻取締法を作り、自国外に押し付けてきた、現代のバラ十字軍(今は「世界の警察」を名乗っている)ピューリタンたちの影が・・・
さあ、誰か、教えてくれないか。
長い歴史の中で人間が好んで口にしてきたものが、どうして体に悪いのだ?
10年間、片思いをした経験がある。
10年って、長くないか?10年費やす前に気付けよ、とか、思う人は多いだろう。
でも、その10年は、俺の大切な宝物だ。
素晴らしい経験だった。
10年片思いした、その感覚は、10年片思いした者にしか分からない。
今じゃ無くなっちまったカフェ楽屋に夜毎の如く通っていた遠い昔、普通に店のドアを開けると、そこに屯しているマスターはじめ仲間達から大いなる叱責を喰らったものだ。
「ジェームスで入ってこいよ」
俺のダンスの師匠はジェームスだ。だから、どんなクラブで踊ってもステップはジェームスのステップだった。ジャンルを問わず全てがジェームス。
ユーロでもジェームス。レゲエでもジェームス。
フロアでは俺の周りが空いた。
かつて、いろんなダンスを試みたが、どうもしっくり来ない。で、何故だかジェームスのステップだけは一度見ただけですんなりと習得出来たのだ。
きっと俺の中にジェームスが宿っている、本気でそう思った。
彼が亡くなってからは余計にそう思える。
今でも体が忘れない様、なまらない様、日頃自室ではファンクを流し、無意識に摩訶不思議なステップを続けている。ゲッダウン!
そんな俺だから、カフェ楽屋に入店する際にはジェームスのステップで入らなければいけなかった。
一旦外に出て、改めて店のドアを開ければ、マスターが気を遣ってジェームスの古いナンバーか、もしくはJB`sを流してくれる。
マッキントッシュと4343のセットから送り出される硬い音が、目の前にジェームスの濃い顔を浮かび上がらせ、張り裂けそうなシャウトでボディーブローを食らわすが、俺は絶対に負けなかった。負けないで踊り続けた。それがきっと見事なものだから、仲間達はいつまで経っても俺にジェームスのステップを強要した。
俺も好きだから、ついついやってしまうのがいけなかったのだろう。酔っ払って、頼まれもしないのに踊ったりしていたからな。
地元では蕨のプリンスと呼ばれる俺ではあるが、プリンスのゴッドファーザーであるジェームスが俺の実の父なのさ、分かったかbuster!
どれもこれも、消えて無くなってしまうにはあまりにも残念すぎる。
残念などという言葉では、到底足りないくらい、残念だ。
だから、ただ生きているだけのこの時間が、愛しい。
この一瞬が、二度と無いこの光が、音が、全ての感覚が、あまねく貴い。
俺たちは、それを大切にしなきゃ、いけないんじゃないかな。


