いちどのじんせいタノシク・ジユウに -3ページ目

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日本の社会保障制度の限界が来ているのは言うまでもありません。

近年、医療費の抑制が叫ばれ、そのために医科・調剤の点数引き下げ策が一生懸命に組まれています。

 

日本と同じ国民皆保険制度のイギリスでも同じことが問題視されています。

(厳密にいうとイギリスは皆保険制度でなく、またイギリスのNHSを参考にしたのが日本の皆保険制度です)

 

限られた財源である社会保障費を、すべての国民に平等に分けるためにはどうしたらいいのか。

 

 

「潰す」

 

というと極端ですが、

 

 

「薄く延ばす」

 

ということが大事なのではないでしょうか。

 

ここでいう「薄く」というのはサービスの費用や質になります。

 

「延ばす」というのは範囲を広げるということです。

 

限られた財源をすべての国民に行うには、質を下げて範囲を広げていく必要があるのではと感じています。

 

ここの部分がイギリスで見てきた保険制度と日本の保険制度の「本質的な違い」になります。

イギリスの医療を見た日本人はそのアクセスの悪さに「サービスが悪い」「質が低い」といいます。

 

たしかに私自身もそう感じますが、日本のアクセスの良さは過剰な医療を生んでいると言えるのではないでしょうか。

 

当たり前ですが、皆に平等にそしてたくさんの人に配分をしようとすると、一人当たりの分け前は減ります。より多くの分け前を与えようとすると、原資を追加する必要があります。

 

日本の医療に当てはめるなら、その追加する原資が社会保障費であり国債なのではないでしょうか。

 

これから医療介護の同時改定に向けた厳しい議論が始まります。

財源の奪い合いです。さらには医療費抑制に向けた制限が新たに掛けられます。

 

イギリスでは、「最低限の医療提供」がNHSによって行われています。たしかに日本人にとっては不便な制度ですが、それ以上を求めるならば「プライベート」という自費による診療という選択肢があります。

 

混合診療の賛否はあるかもしれませんが、皆が平等で皆が満足する制度作りにはもうそろそろ限界があるのではないでしょうか。

 

医療の質と皆保険制度を守るための追加原資のはずであった消費税増税は、一転して「人づくり」に消えていくようです。

 

そうなったとき、国民の意識が変わらなければ、日本という国も「国民全体に広げる代わりに最低限の医療しか提供しない」という保険制度への転換が求められるようになるのかもしれないですね。

 

 

 

 

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イギリス研修で今回一つの言葉を学んできました。

 

Concordance (コンコーダンス)

 

という言葉です。

 

意味は「調和」「一致」などと調べると出てきます。

 

今日の日本において、患者の服薬状況を把握する言葉として

 

compliance 

 

 

adherence

 

という言葉が使用されているかと思います。

 

私が医療業界に入った時に感じた違和感の一つにこの「compliance」という言葉がありました。

 

「compliance」の意味として一番理解されているのは「法令順守」ではないでしょうか。

 

単語の意味としては

 

「(要求・命令に)応じる」「応諾」「追従」

 

そんな意味があります。

法律に対し応じる「法令順守」や、薬を飲むという指導に対して応じる「服薬順守」は間違っていません。

しかしこの「順守」という言葉がどうにも強い!そんな風に思っていました。

 

「順守」・・・言いつけ・きまり・法律などにそむかず、それをよく守ること。

 

ですね。

そういうことを考えている人がほかにもいたらしく、次にadherenceという言葉が出てきました。

 

adherence・・・「固守」「執着」「忠実」

 

ですね。

近年ではこのadherenceが頻繁に使われています。

 

このcomplianceからadherenceへの変化はWHO(世界保健機関)で定義され各国で使われている言葉だといわれています。

 

しかしながら、

 

「固守」・・・かたくなに守る

「執着」・・・一つのことに心をとらわれて、そこから離れられないこと

「忠実」・・・少しの違いもなく、その通りにすること

 

という意味の言葉です。

これもやはり強いですよね。

 

何が強いのか。

 

これら二つの言葉には「主」と「従」が存在するのではないでしょうか。

 

医療者と患者との「主従関係」です。

 

そこに出てきた新しい概念が

 

Concordance (コンコーダンス)

 

になります。

 

先述の通り意味は「一致」「調和」です。

 

各種の文献を読んでいるとこの「調和」を「involve patients as partners」(患者をパートナーとして巻き込む)と記載されている項目がよく見受けられます。

 

http://www.netscc.ac.uk/hsdr/files/project/SDO_FR_08-1412-076_V01.pdf

 

その重要な要素として

 

  1. Patients have enough knowledgs to participate as partners
     患者がパートナーとして参加する上で十分な知識をもつ
  2. Prescribing consultations involve patients as partners
     処方の際のコンサルテーションに患者がパートナーとして参加する
  3. Patients are supported in taking medicines
     患者による薬の使用を支援する

が挙げられています。

 

http://www.pharmaceutical-journal.com/learning/learning-article/what-is-concordance/10988929.article

 

(英語のため、まだまだ部分でしか訳せていませんが・・・)

 

complianceやadherenceが「主」と「従」の関係だったのに対し、Concordanceは「同等」(パートナー)という関係を求めています。

 

原理原則として、プロフェッショナルな医師の指示に対し「順守」するということは大事なことです。

しかし現実として多くの薬が順守されることなく「残薬」として残っていたり、服薬されることなく病気が改善されないということがあると思います。結果論として大事に至っていないケースも多々あると思います。

 

薬を飲ませるという仕事から、近年在宅医療の普及もあり「薬を飲ませるのも、減らすことが出来るのも薬剤師の仕事」という考えが普及してきました。

 

「患者と一緒に薬について考える」

 

まさしくこの考え方が「調和」であり、患者さんとのパートナーシップ「Concordance」なのではないでしょうか。

 

言葉ってその単語が持つ意味がすごい大事だと思っています。

 

complianceでもadherenceでもConcordanceでも結果やることは同じであると言ってしまえばそれまでですが、そこに含められている意味をしっかりと理解し行動に起こすということが大事だと思っています。

 

かかりつけ薬剤師と言われる中、これから目指すべきところは指導という主従の関係ではなく、患者にも知識と理解を持ってもらい参加してもらう「パートナー」の関係なのではないでしょうか。

 

 

※今回のブログを書くにあたって協力をしてくれたイギリスの薬剤師であるTakeuchi Daisukeさん有難うございます。

 

 

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イギリスと日本の医療を比較した際に、よく言われるのが「医療へのアクセス」です。

 

GPを一度経由することが求められるイギリスの制度と、フリーアクセスで行われる日本の医療制度です。

 

現地での話を聞くと「日本のフリーアクセス」は素晴らしい!っということに気が付きます。

 

イギリスでは家庭医であるGPを経由しなくては2次医療を受けることはできません。

 

GPは予約制になっており、早くても数週間後でないと受診が出来ないといわれています。

 

なんだか、「日本の医療って素晴らしい」そう思いませんか?

 

 

果たしてそうなのでしょうか。

 

いま日本の抱える問題として「医療費の増大」が言えます。

 

その大きな要因として頻回受診や必要ない医薬品の提供が行われているのではないでしょうか。

 

現地ガイドをしていた方(非医療職)の方が言われていたことです。

 

「風邪などの病気は、医者にかからなくても治る」

 

「薬局に行けば必要な薬を帰る」

 

ということです。

 

この考えっていまの日本に求められている考え方なのではないでしょうか。

 

日本と同種の国民医療サービスが提供されているイギリスの原則は、

 

「すべての国民に無償で医療サービスを提供する」

 

この原則を維持するためには莫大なお金がかかることが推測できます。

 

そう考えると、

 

医療サービスを維持するためには、すべての人に(とりあえず)最低限度の医療を提供するっということが大事になるのではないでしょうか。

 

多くの場合は、ひとまず予約を入れ、OTCで治れば予約をキャンセル。

治らなければ受診を行うそうです。

 

本当に、緊急を伴う場合はもちろん「救急」が行われます。(あちらではA&Eといわれます)

 

医療分野において、そこに「受診」の必要があるかどうかの判断は難しいところです。

でも一理ある考えだと思います。

 

日本のように、行きたいときに行ける、少しでも不安を感じたら受診ができる環境は素晴らしいと思いますが、果たしてこれで社会保障制度は維持できるのでしょうか。

 

イギリスに行けば、医療というものはもちろんですが、「社会保障制度としての医療」という考え方を強く感じることが出来ます。

 

「あれも」「これも」の欲張りではどこかにほころびが出来ます。

 

支出が多ければ、収入を増やせばいい。

 

社会保障の収入とは何なのだろうか。

 

それは「税金」である。

 

医療人こそ、増税の有無について考える必要があるのではないだろうか。

 

 

 

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