指導から同意の時代へ | いちどのじんせいタノシク・ジユウに

【ブログを更新しました】

 

イギリス研修で今回一つの言葉を学んできました。

 

Concordance (コンコーダンス)

 

という言葉です。

 

意味は「調和」「一致」などと調べると出てきます。

 

今日の日本において、患者の服薬状況を把握する言葉として

 

compliance 

 

 

adherence

 

という言葉が使用されているかと思います。

 

私が医療業界に入った時に感じた違和感の一つにこの「compliance」という言葉がありました。

 

「compliance」の意味として一番理解されているのは「法令順守」ではないでしょうか。

 

単語の意味としては

 

「(要求・命令に)応じる」「応諾」「追従」

 

そんな意味があります。

法律に対し応じる「法令順守」や、薬を飲むという指導に対して応じる「服薬順守」は間違っていません。

しかしこの「順守」という言葉がどうにも強い!そんな風に思っていました。

 

「順守」・・・言いつけ・きまり・法律などにそむかず、それをよく守ること。

 

ですね。

そういうことを考えている人がほかにもいたらしく、次にadherenceという言葉が出てきました。

 

adherence・・・「固守」「執着」「忠実」

 

ですね。

近年ではこのadherenceが頻繁に使われています。

 

このcomplianceからadherenceへの変化はWHO(世界保健機関)で定義され各国で使われている言葉だといわれています。

 

しかしながら、

 

「固守」・・・かたくなに守る

「執着」・・・一つのことに心をとらわれて、そこから離れられないこと

「忠実」・・・少しの違いもなく、その通りにすること

 

という意味の言葉です。

これもやはり強いですよね。

 

何が強いのか。

 

これら二つの言葉には「主」と「従」が存在するのではないでしょうか。

 

医療者と患者との「主従関係」です。

 

そこに出てきた新しい概念が

 

Concordance (コンコーダンス)

 

になります。

 

先述の通り意味は「一致」「調和」です。

 

各種の文献を読んでいるとこの「調和」を「involve patients as partners」(患者をパートナーとして巻き込む)と記載されている項目がよく見受けられます。

 

http://www.netscc.ac.uk/hsdr/files/project/SDO_FR_08-1412-076_V01.pdf

 

その重要な要素として

 

  1. Patients have enough knowledgs to participate as partners
     患者がパートナーとして参加する上で十分な知識をもつ
  2. Prescribing consultations involve patients as partners
     処方の際のコンサルテーションに患者がパートナーとして参加する
  3. Patients are supported in taking medicines
     患者による薬の使用を支援する

が挙げられています。

 

http://www.pharmaceutical-journal.com/learning/learning-article/what-is-concordance/10988929.article

 

(英語のため、まだまだ部分でしか訳せていませんが・・・)

 

complianceやadherenceが「主」と「従」の関係だったのに対し、Concordanceは「同等」(パートナー)という関係を求めています。

 

原理原則として、プロフェッショナルな医師の指示に対し「順守」するということは大事なことです。

しかし現実として多くの薬が順守されることなく「残薬」として残っていたり、服薬されることなく病気が改善されないということがあると思います。結果論として大事に至っていないケースも多々あると思います。

 

薬を飲ませるという仕事から、近年在宅医療の普及もあり「薬を飲ませるのも、減らすことが出来るのも薬剤師の仕事」という考えが普及してきました。

 

「患者と一緒に薬について考える」

 

まさしくこの考え方が「調和」であり、患者さんとのパートナーシップ「Concordance」なのではないでしょうか。

 

言葉ってその単語が持つ意味がすごい大事だと思っています。

 

complianceでもadherenceでもConcordanceでも結果やることは同じであると言ってしまえばそれまでですが、そこに含められている意味をしっかりと理解し行動に起こすということが大事だと思っています。

 

かかりつけ薬剤師と言われる中、これから目指すべきところは指導という主従の関係ではなく、患者にも知識と理解を持ってもらい参加してもらう「パートナー」の関係なのではないでしょうか。

 

 

※今回のブログを書くにあたって協力をしてくれたイギリスの薬剤師であるTakeuchi Daisukeさん有難うございます。

 

 

Aguantamos, que siempre hay esperanzas, y leventámonos.
(希望は常にある、乗り越え、立ちあがろう!)

 

コツコツ更新中☆
読んでくれる皆様に感謝感謝☆
こちらもお願いします↓↓↓

薬剤師 ブログランキングへ