イギリスから「分業」の意味を考える | いちどのじんせいタノシク・ジユウに
【ブログ更新しました】


引き続きイギリスの医療について書いてみたいと思います。

今回は「分業」です。

いま日本では医薬分業そして、来年度改定に向けた議論が行われています。

日本以外の先進国の多く(ほぼ)が「完全分業」です。

今回見てきたイギリスの医療制度、そして学んだことから「医薬分業」について考えてみたいと思います。


「分業」

分業(ぶんぎょう、英:division of labor)とは、複数の人員が役割を分担して財(モノ)の生産を行うことである。もともとは経済学の用語であったが、現代では幅広く社会関係全般に適用して使われている。

引用 - Wikipedia



イギリスの「薬」事情を見てみたいと思います。

イギリスでは完全分業な成り立ち、GPまたは病院から処方せんが発行され、薬局では処方せんに基づき投薬が行われます。

原理原則はこうなります。





ちょっと薬局事情を見てみたいのですが、イギリスでは多くの薬局を「コミュニティファーマシー」と呼びます。

この言葉から日本で呼ばれる「門前」という形式ではなく「面対応型」の薬局を指していることがわかります。

薬局では処方せんに書かれている薬剤1つにつき8.2£(約1,600円)が請求されます。

1剤 = 8.2£
2剤 =16.4£
3剤 =24.6£

日本で言う技術料の様なものはありません。

私達が行ったときの£(ポンド)のレートは1£=200円、3種類の薬が出たときの患者負担は約5000円弱となります。

これは全て薬局ではなく、国に戻るお金ということですが、いかがでしょうか。
日本の薬局での支払いを考えると「高い」と感じるのではないでしょうか。

イギリスの面白い考えとして、「高い」っと感じるから薬局ではOTCを薬局が進めることが多いようです。

「処方せんだと○○円、こっちの薬だと△△円ですよ!」

イギリスでは風邪などの病気になったら病院にいく!っという考えはもちろんですが、ファーストチョイスとして「薬局にいく」と考える国民が多いということです。

その原因としては、前回のブログにある通り、医療のファーストポイントは登録しているGP(家庭医)となります。

一つのGPに登録されている患者数は数千となり、全てが予約制。季節の変わり目などの時期には予約が1週間後となることもざらにあるようです。

そんなこともあってか、まずは「薬を買って自分で治す」こういう考え方が広まっています。

日本でいうところの「セルフメディケーション」ですね。

一般薬で様子を見て、それでもダメなら医者にかかる。
そんな国民意識が広まっています。

そんな予約の取れないGPですから、忙しいことは言うまでもありません。

ここで講義をして頂いた佐々江龍一郎先生の言葉を考えてみたいと思います。

「GPは登録している全ての患者さんの情報を把握し、処理をおこなう。扱う患者は軽度のものから重度のものまでさまざまである。私達の行うことは医療であり、薬については専門家である薬剤師にお願いすればいい

この言葉に「分業」の本来の意味があらわされている様に思うのですが如何でしょうか。


佐々江龍一郎先生は、日本で小学生まで過ごされ、親御さんの仕事の関係でその後海外で過ごし、そして現在はイギリスで家庭医をしている経歴となっています。

海外の医療を長く見てきた佐々江先生から見ると日本の意志がなぜ処方権や薬に関わるのかはイギリスでは考えられないっとの事です。

日本における分業の本来の理由も、佐々江先生の言葉と同じ本質があると思います。

しかしながら「分業元年」と言われることから急激に進んだ医薬分業。

本来とは異なる分業の意味になってきたのではないでしょうか。

「医療における利益追求」

薬漬けの防止や重複相互作用の防止など色々な理由が挙げられていて、そこに対する否定はありませんが、分業元年以降の意味は違うのではないでしょうか。

現在も中医協の流れから「処方権は医師にある」という言葉の通り多剤投与や重複相互作用に対する対策がきちんと出来ているとは言い難いのが日本の分業です。

いうなれば「医療も薬も医師に主導権がある」ということです。


今回は深く振れませんがイギリスには「独立処方(Independent Prescription)」というものがあります。簡単にいうなら薬剤師が処方権をもつことが出来るということです。

これは現地で驚きのことだったのですが「Pharmacy Clinic」というものもあります。
訳すと「薬剤師診療所!?」ここについては時間があれば触れてみたいと思います。


ちょっと色々と飛びながら書いてきましたが、イギリスにおいて医薬分業というのは“本来の意味”のもとに行われ、薬剤師の職能が広がっていることが分かるかと思います。

現在行われている中医協に「医薬分業」の本来の意味を見ることは残念ながら見ることは出来ません。そしてそれを問わない国や管轄省庁があれば、薬剤師会がいます。

制度が違うと言ってしまえば元も子もないですが、完全分業が見せる薬剤師の将来に「日本だったらもっとこうできる!」というニューワールドを見ずにはいられません。


最後に佐々江先生にこう応援を頂きした。

「各国の医療において良し悪しはあるので日本が悪いとも言えないが、現状のままではなにも変わらない。若い人たちが今から学び、行動する事によって変えることが出来るのではないでしょうか」






Aguantamos, que siempre hay esperanzas, y leventámonos.
(希望は常にある、乗り越え、立ちあがろう!)

「こまがたこうだいのぜんこく薬局放浪記」はじめました!vol.9
ロンドン~ロンドン~楽しいロンドン編







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