リョウクを側に置くようになって。ドンへ王子は、皇太子となって初めて。健やかな日々を過ごしていました。同衾することは、叶わぬまでも。愛しいひとと。目を見て。手をとって。声を聞いて。笑って。気がつけば。すっと傍に寄って。癒しを与えてくれるのです。日頃の激務の疲れも、吹きとんでしまいます
『待って居れ』
それでも。城内で近づくには、限度があります。久方ぶりに肌を合わせようと。リョウクを、先に別邸に下がらせ。後から向かう手筈を整えました。
人目につかぬように、城を抜け出そうと。しんと。冷えきった廊下を進んでいたときでした...ん?あのようなところで...何を...
城内で催しがあるときに、貴賓の控の間として使われている部屋の前に。ウニョク王女の侍女が、控えているのが目に入りました。それも。柱の影に、身を潜めるように...ここは,普段は。毎日、決まった時間に。掃除が入るだけのはず...
『何をしておる』
ひ...声を上げようとした、侍女の口を手で塞ぎ、鳩尾に拳をひと突き。くたっと力が抜けた身体を、壁にもたせかけました
誰ぞいるのか...耳をすませてみても。何も聞こえません。重いドアを。慎重に開けると。奥の扉の隙間から。光が漏れていました。吸い込まれるように。そこから部屋の中を覗くと...
え...
ゆらめくカーテン越しに、注ぐ日差しの中を。ひらりとよこぎった影
あれは...天使?
王子は目をごしごしと擦りました
あ...
そこには。透けるようドレスに身を包んで。裸足で、軽やかに舞う。ウニョク王女の姿がありました
《続》
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※画像お借りしましたm(_ _)m
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