第六のみ使いがラッパを吹いた後に万の二万倍の数の騎兵隊が登場します。(啓示9:16)彼らは、大いなるバビロンとその同盟国を攻撃します。
これらの騎兵隊は、おそらく魂は不滅で死後もそのまま天国に行くという教えを信じています。この教えは、聖書にない教えです。(申命記30:15新共同訳)
アダムは肉体の人間として地上で若さを保って生き続ける見込みがありました。しかし、アダムが神に背いたために、彼もその子孫も死んで滅びてしまう状況になってしまいました。(詩編49:11新共同訳)
しかし、エホバ神はエデンの園以降、キリスト以前の神の僕たちのこの地上でとこしえに住み続けるという希望を差し伸べられました。(詩編37:29新共同訳)それで、アブラハムなどは、自分の子孫によって将来地上に復活して祝福を受けるという希望を抱いていました。(創世記3:15;22:17,18新共同訳)
そして、イエス・キリストが到来して後、初めて、人類に天の政府に入るという見込みは差し伸べられました。今回はその点について説明したいと思います。
(1)旧約時代には天の神の国という概念はなかったか少なくとも強調されていなかった
人間が創造された最初からずっとあったのは、この地上で住み続けるという見込みだったのです。(詩編37:29新共同訳)イエス・キリストの到来とともに、初めて神の国に入って天からこの地上を統治する統治者になるという機会が差し伸べられました。
でも、「天の王国」すなわち、復活させられる霊者でなる「王国」という概念は、旧約時代の神の僕たちは持っていませんでした。(マタイ26:52)新約聖書のマタイによる書の中で「天の王国」という言葉をイエスが初めて使っておられます。(マタイ5:19,20回復訳)
イエスが初めて天の王国に入るという新しい希望を人類に差し伸べられた
新共同訳の場合は、マタイによる書の中に、32回、「天の国」という語が出てきます。さらに、「神の国」という語も、新共同訳では、新約聖書の中にだけに出てきます。しかし、この語は、旧約聖書の中には見られない言葉です。
ですから、天の「神の王国」、すなわち天の政府という概念は、旧約聖書時代にはなかったか、少なくとも強調されていなかったのです。それで、一世紀のクリスチャンたちも最初は地上の王国のことしか頭にありませんでした。
イエスの弟子たちは、イエスが、ご自分を王とする地上の王国を作って、支配を拡大すると考えていたのです。使徒たちがイエスの復活後、イエスに対して、「主よ、あなたがイスラエルの王国を復興されるのは、この時ですか？」 と尋ねたことが記されています。(使徒1:6回復訳)
イエスの弟子たちは神の王国は地上に設立される王国だと誤解していた
一世紀の弟子たちは、最初はイエスから「天の王国」という言葉を聞いていても、天の政府が作られるというような理解はなかったのです。 弟子たちは、復活したイエスが、地上でローマ帝国を倒して昔のソロモンの支配のような王国を復興すると考えていたのでしょう。
(2)イエスが登場して初めて天の神の王国に入るという機会が差し伸べられた
イエスは、バプテスマのヨハネが神の王国に入らないと言われました。バプテスマのヨハネが「大いなる者」であることを認められましたが、神の国の成員は「洗礼者のヨハネ」よりは偉大だと言われました。(ルカ7:20新共同訳)
イエスは、「およそ女から生まれた者のうち、ヨハネより偉大な者はいない。しかし、神の国で最も小さな者でも、彼よりは偉大である。」と述べられています。 (ルカ7:28新共同訳)すなわち、バプテスマのヨハネは、神の王国の成員とならないと言われました。
イエスはバプテスマのヨハネが偉大だと認められたがそれでも神の国の成員にならないと言われた
ですから、キリストが到来した後に、初めて「神の王国」に入る機会が差し伸べられました。すなわち、天の神の王国という概念は、キリストが初めて差し伸べた希望だったのです。
さらに、わたしたちはノアやアブラハムやヨブやダニエルは偉大な人だと思うかもしれませんが、イエスの言葉によると、彼らよりもバプテスマのヨハネの方が「偉大な者」です。(ルカ7:28新共同訳)その当時人類史上最も「偉大な者」であるバプテスマのヨハネが「神の王国」の成員とはならないのですから、立派な信仰の人々であってもキリスト以前の神の僕たちは誰も、神の王国には入らないのです。
アブラハムも偉大で正しい信仰の人ですがバプテストのヨハネよりは小さいので神の国には入りません
ですから、聖書は神の義の基準に従う努力をする信仰の人々が必ずしも、皆天に行くとは言っていません。エゼキエル書では、ノアやヨブやダニエルが「正しい」者であることが認められています。(エゼキエル14:14新共同訳)それでも、過去の義人であった信仰の人々も天には行かないのです。
いずれにしても、イエスが到来する前のすべての神の僕が抱いていた希望は、天の神の王国に入るという機会ではなく、将来復活してこの地で永遠に住み続けるという希望だけです。しかしながら、神がキリスト以前の神の僕に差し伸べられていた希望もすばらしい希望です。
(3)キリストの主の記念式に出席してキリストの贖いに感謝を示すことができる
キリストの死の記念式が近づいています。2019年のキリストの死の記念式は、4月16日(金)の日没後になっています。神の王国に入る希望が神から与えられていると考えるクリスチャンたちは、イエスの体を表すパンとイエスの血を表すぶどう酒の表象物にあずかり、自分たちがその希望を持っていることを表明することが求められます。(ルカ22:19。一コリント11:24,25回復訳)
神の国に入る希望が神から与えられていると考えるクリスチャンはイエス・キリストの記念式にパンとぶどう酒にあずかりましょう
一方、自分が神から与えられている希望はこの地でとこしえに住み続けるという希望であると考えるクリスチャンたちは、神の王国に入る希望を持つクリスチャンたちが表象物にあずかるのを見守ることができます。そのようにして、地的な希望のクリスチャンたちも、贖いの犠牲に対する感謝を表明することができます。