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リンデンバウムのブログ

小さな香房からお香の魅力を伝えていきます。日本に生れたことに感謝!

身体が融けだしそうな酷暑続きの中、出先で思わず空を見上げた時にふと思い出した言葉がありました。

 

 

それは「陰翳礼讃」という言葉。1939年に出版された文豪谷崎潤一郎の随筆の表題です。戦前に書かれた本で私が読んだのも半世紀くらい前なのですが、何故か突然読み返したくなり、青空文庫で読んでみました。

簡単なご紹介はこちら

陰翳礼讃 - Wikipedia

 

青空文庫はこちら

谷崎潤一郎 陰翳礼讃 (aozora.gr.jp)

 

動画ではこちら

玄侑宗久チャンネル 今を語る!陰翳礼讃 - YouTube

 

玄侑宗久チャンネル 今を語る!陽気と陰気 (youtube.com)

 

教科書的解説はこちら

陰翳礼讃【文学国語・現代文B】教科書あらすじ&解説&漢字〈谷崎 潤一郎〉 (youtube.com)

 

「陰翳礼讃」のあらすじ紹介&物語の意味を解説【谷崎潤一郎】 (youtube.com)

 

 

 

何というか、凄く腑に落ちました。この世界は陰陽のバランスで成り立っている、と言われていますが現実はそうなっていない。敗戦からずっとアメリカの影響もあるのでしょうが、陽の面ばかりを追い求めてきたように思われます。終戦後には陽の力が絶対的に必要でしたが、精神的にも陽を善とし、陰を軽んじ、忌むべきものとしてきました。建前はともかく、現実はそうなっていると思えます。その証拠に全国の教育現場で起きているいじめも、標的にされた生徒は暗いとか陰気という言葉を投げかけられています。

一見陽が陰を押し潰しているように見えますが、いじめや様々なハラスメントの背景にあるものは、ねじ曲がって先鋭化した陰の気があることが多いような気がします。

 

陰気という言葉の響きはとかくネガティブな言葉として通用していますが本来は絶対に必要な要素や資質を表わす言葉なのです。

 

それが、存在してはいけないような忌み言葉のように世の中に浸透していくことを私は恐れます。

 

陰気と思われないように元々は陰の気が強い素質の人であっても、陽気に振る舞わなければ生き難い世の中になっています。子供から高齢者にいたるまで。

 

この世をより良く生きるためにポジティブであることは大切ですが、必ずしもネガティブであることは忌むべきことばかりだとは思いません。危機管理や兵法、あるいはお役所仕事などもネガティブな思考が必要な場合が多いと思います。

 

私は専門家ではないので詳しくは語れませんが、いじめに象徴されるような陰気を無き者として、撲滅しようとすような風潮が高まってくると、押さえ込まれた陰のエネルギーが暴走しそうな気がして、やはりこれは自然なことではないと思うようになりました。

そんな時に「陰翳礼讃」を思い出したのでした。

 

今、ネットで怪談や都市伝説系の動画が人気なのも人々の心の中に陰陽のバランスをどこかで戻そうとする無意識な渇望があるような気がしてなりません。

 

 

 

 

今年の大河ドラマには殆どお香が登場しませんが、過去の大河ドラマでは度々登場しています。なかでも印象に残っているシーンを思い出して書いてみようと思います。2011年放送の「江~姫たちの戦国~(原作・脚本 田淵久美子)」から。

 

「「江〜姫たちの戦国~」で鈴木保奈美さん演じるお市の方が、落城の折3人の娘たちを城の外に逃がし別れを告げる際に、それぞれの好みの帯地で作られた小さな袋に各々が日頃聞香の時に好んでいたという香木を納め、お守りとして渡します。茶々には「浮島」、初には「空蝉」、江には「東大寺」という香木だったと記憶しています。

 

 

これが歴史的事実であったかどうかは分かりませんが、見事な演出であったと感嘆しましたし、今でも鮮明に思い出されるほどです。

そのせいか歴代のお市の方を演じられた女優さんの中でも鈴木保奈美さんのお市の方が1番好きです。

 

この回は東日本大震災の後3月13日放送予定でしたが20日に延期されました。タイトルは「わかれ」。不思議な偶然を感じます。日本中がたくさんのわかれの悲しみに覆われていた時でしたから、尚更心に響いたのかもしれません。

 

この3種の名香は3人の姫たちの未来を暗示しているように思われます。

宮沢りえさん演じる茶々が受け取った「浮島」という香木は百二十種名香の伽羅で、薫くとどこか汐や磯の香りがすることから「浮島」と名付けられた由来があるそうです。伽羅や沈香は熱帯の密林で採取されますので、磯の香りとはどこか神秘的ですね。この伽羅は茶々の父浅井長政が好んだ香木だったそうですが、数奇な運命の波に翻弄された茶々ー淀君の生涯が思い出されます。

 

水川あさみさん演じる初の「空蝉」も百二十種名香で、南北朝時代のバサラ大名佐々木道誉が銘をつけた羅国です。香木の虫払いの際の包み紙の入れ間違いから、源氏物語の「空蝉」の巻に依って名付けられたそうです。

源氏物語の空蝉は光源氏の求愛を拒んだ女性として知られています。自分の置かれた立場を理解し、感情に溺れない私欲の少ない女性のように私には思われます。初もそのような女性だったのではないでしょうか?

お市の方が「空蝉」を手渡しながら初にかけた最後の言葉は「姉妹をつなぐ絆となれ」というものでした。後年これは現実のこととなります。

 

最後に上野樹里さん演じる江に手渡された香木は「東大寺」別名「蘭奢待」です。六十一種名香の伽羅で、おそらく織田信長から譲られたものではないでしょうか。

「蘭奢待」は天下一の名香として広く知られていますが、江のその後の人生は苦労はありましたが華やかなものでした。二代将軍徳川秀忠の正室となり、三代将軍家光を産み、娘の和子(まさこ)は後水尾天皇の皇后であり明正天皇の母ともなって東福門院と呼ばれます。

 

長々と書いてきましたが、匂い袋や香袋と言われるものは古来より手渡す相手の幸福と厄除けを祈念して作られ、用いられてきました。もちろん自分のためにも作りました。香木を入れたのも香木が強い霊力を持ち、持つ人を守護すると信じられてきたからだと思います。

 

香木を買えない庶民でもお札や薬草、大切な人の形見の品などをいれた袋を作り、お守りとしてきました。この習慣は現在にも引き継がれています。

 

匂い袋や香袋を作る時、私は度々上記のドラマのシーンが心に浮かびますので、思い切って書いてみました。

 

香木の「浮島」、「空蝉」、「東大寺」については下記のご著書を参考にさせていただきました。

 

荻須昭大著「香の本」平成28年 雄山閣刊 p267,p356,p314 参照

 

私の拙い説明では申し訳ありませんので、詳しくお知りになりたい方はぜひこちらをお読み下さい。

 

お読みいただき有り難うございました。

 

 

 

 

昨年10月から月2回のマンツーマンの体験講座を始め、ご好評をいただいております。期間についてどうするか考えていたのですが、もうしばらく続けることに致しましたので再度ご案内させていただきます。複数講座も受講可能ですし、ご希望でしたら同じ講座を何度でも受講していただけます。前回と多少変更した点もございます。

完全予約制ですが、同じ月内での日時変更も可能です。

詳細は以下になります。

 

 

月に2回、マンツーマンでのお香作り体験講座を開催致します。

お忙しい方、複数人での講座が苦手な方など、ご都合に合わせて開催致します。時間は午後2時開始、2時間半から3時間ほど。土、日、祝日も対応可。

体験可能なのは、匂い袋、練香、お線香、塗香のいずれかです。

 

匂い袋、練香、お線香、塗香は100%天然の香原料を使用致します。

 

 

費用は材料費、資料代、お茶、お茶菓子代込みで 4,500円です(香原料等の値上がりに伴い、2024年10月からは4,500円に変更させていただきました)

 

 

 

 

練香、お線香には上質な沈香を使用致します。

 

またご希望の方には私の愛蔵の香木をお聞きいただけます。

 

個人レッスンは月2回、各回1名様 

 

 

講座内容

○匂い袋・・・老山白檀を主体とした香原料、天然の麝香チンキか霊猫香(シベット)チンキを使用。匂い袋(袋は選べます)3個、文香5個、お香ミスト1ボトルを作成致します。

 

○塗香(ずこう)・・・こちらも老山白檀、新山白檀を主体とした2種類の塗香と塗香パウダー計4つ、塗香文香を各3個、塗香ミスト1ボトルを作成。本来ご祈祷や寺社への参拝時に心身を浄めるために使用されてきましたが、近年はボディパウダーとしても使われるなど人気のお香になっています。

 

○お線香・・・稀少なシャム沈香かタニ沈香を主体に、100%天然の高級線香1種類をご自分でお作りいただけます。お持ち帰りケース、携帯用線香筒付。2時間半から3時間弱かかります。お盆やお彼岸、ご命日などに亡くなられたご家族や大切な方々にお心の籠った手作りのお線香を手向けて差し上げて下さい。きっと喜ばれると思います。申し訳ございませんが、こちらの講座はリピーター様限定の講座とさせていただきます。

 

○練香(ねりこう )・・・こちらもシャム沈香かタニ沈香をふんだんに使用し、薫物として平安時代から愛されてきた雅で幽玄な香りをお楽しみいただけます。本来は温めた香炉で聞きますが、香炉や電子香炉をお持ちでない方でもご自宅ですぐに香りを聞いていただけるようにベープマットセット(初回のみ)をお持ち帰りいただきます。ベープマットは安全で就寝時に使用すると適度な温度で香り続け、沈香の鎮静作用のせいかよく眠れると好評です。もちろんお部屋香として、あるいは聞香用としてもお使いいただけます。沈香、白檀ベース各1種類。1部梅やお抹茶等を配合してアレンジも出来ます。

追記   煉香は変換し易いように表記を練香に変更致しました。

 

追記2  練香の保存方法ですが、比較的短期に使い切る場合は密閉容器に入れて冷蔵庫保存をお勧めしています。長期保存される場合には高温多湿を避けて冷暗所で常温保存して下さい。

 

 

お香作り初心者の方も大歓迎。ただ月に4名様限定ですので、お申し込み時に予約が埋まっている場合は翌月以降の予約になりますことをご了承下さいませ。

ご病気等による緊急のご事情には柔軟に対応致します。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

お申し込みは   lindenbaum213@yahoo.co.jp

 まで。

 

匂い袋の一部と練香と乳鉢。

 

講座が始まる前の様子。

 

 

香木と香原料の一部です。

 

 

匂い袋と塗香の講座ではこのようなお香ミストも作ります。

老山白檀を主体に調合した100%天然のミストで、精油との相性も良く、プレゼントとしても喜ばれています。