こんにちは!
今日はスタバでクラブハウスサンドとアイスコーヒーのKenです。
クラブハウスサンドウィッチ
スタバでCambly英会話をした後、この記事を書いています。
前回まで「戦略」について全体像を解説しましたが、いよいよ個別の「戦術」に移っていきます。
本日は「基礎→受容スキル→産出スキル」のうちの「受容スキル」のトレーニング法についてです。
つまり「リスニング」と「リーディング」の鍛え方になります。
<ワーキングメモリ>
受容スキルの解説の時に覚えておくと良いのが「ワーキングメモリ」という概念です。これはパソコンのメモリのようなもので、脳が作業をする時にこれを使っているとされています。
例えばリスニングの時は下記のように使っています。
音声知覚→内容理解→短期記憶
上記の流れです。
つまり最初に「音を捉える」という音声知覚作業を行なったあと、
「音の意味を理解する」という理解のプロセスがあり、
「理解した情報を保存しておく」という短期記憶があります。
この時英語が習得できていない状態では、「音声知覚」と「内容理解」に多くの認知資源(リソース)が割かれます。
そしてリソースは有限であまり多くないので、これらに使ってしまうと「短期記憶」にリソースを十分に割くことができずに、
「聞いているだけで精一杯」
「音は聞こえるけど、理解が追いつかない」
「理解はできたけど、後で思い出せない」
といった状態になります。
英語学習ではこうならないように、「音声知覚」「内容理解」の二つの自動化を狙います。
つまりリソースをほぼこの二つには割かないで、短期記憶に回せる状態にするわけですね^_^
この時音声知覚を自動化させたいのか、内容理解を自動化させたいのか、その両方なのかによって方法が変わってきます。
多くの学習者は「リスニング力アップさせよう」という、ざっくりとした解像度で考えてしまいますが、実際はさらにこのように細分化して考えると効率が良くなるのです。
ちなみにリーディングの場合は最初の「音声知覚」が「ディコーディング」に変わります。ディコーディングは「文字→音」に変換する作業のことです。
入り口が音か文字かで違うだけで、そのあとは「内容理解→短期記憶」で一緒です。*厳密にはもっと違いはあるのですが、学習者が意識する必要はないので同じと考えてOK。
つまり、整理すると下記です。
【物理の処理→情報の処理→情報の保持】
リスニングの場合:
音声知覚(音キャッチ)→内容理解(意味キャッチ)→短期記憶
リーディングの場合:
ディコーディング(文字→音)→内容理解(意味キャッチ)→短期記憶
そのため受容スキルを鍛える時は大きく分けると3種類になります。
・音声知覚の強化
・ディコーディングの強化
・内容理解の強化
短期記憶を鍛える必要はない(母語が使えている)ので、
基本的には入り口である「音の処理」「文字→音の処理」か、
その後の「理解の処理」を鍛えるわけですね。
ここまでが「受容スキル」の変数分解ですが、次にこの3つを鍛える方法を紹介していきます。
<音声知覚の強化法>
結論「ディクテーション」と「シャドーイング」です。
どちらも「聞いた後に何かをする」トレーニングだからです。
【ディクテーション】
ディクテーションとは「聞いた音を書きとる」トレーニングです。
綺麗にな文字じゃなくても良いですし、カタカナでも良いです。とにかく「聞いたまま書く」ことが重要になります。
これをやらなくても、アクティブリスニングと言って集中して音声を聞くだけでも、実は音声知覚は強化できます。ただし、やってるとわかりますがいつの間にか別のことを考えたりしてしまいます。
そこで「聞いた音を書きとる」という行為をすることで「自分が集中しているかどうかわかる」わけです。書けていないのは「聞いていない」か「聞こえていないか」のどちらかで、瞬時に自分でわかるわけですね。
「聞こえていない」場合は、そこが自分の課題なので、改善する必要があるわけですがこれは基本的に「スペルと音が脳内で一致していない」ことが原因です。
そしてこれもフォニックスというアルファベットごとの音を理解できていないパターンと音声変化のルールが理解できていないパターンに分かれますが、どちらも解決策は同じで「オーバーラッピング」になります。
*音声変化とは
want toをウォント・トゥーと読まずにウォントゥーと読んだり、
what aboutをホワット・アバウトと読まずにワラバウッと読むやつ
オーバーラッピングとは音声と一緒に「ハモる」ことです。ハモるということは「音声を聞いてから読む」のではなく「音声と同時に話す」必要があるため、これは文字をみながら行います。
「発音できる音=聞こえる音」になるので、ハモれるようにすることで聞き取れるようにする、というわけです。
ちなみに聞こえる音が全て発音できる音ではない点は注意してください。ここをごちゃ混ぜにして教えている英語コーチが多いですが、発音できなくても聞こえる音はあります。
ただ「発音できる音は間違いなく聞こえる」ということです。つまり大は小を兼ねるということ。
ここではリスニング力強化を狙っているため、発音できるようにすることで聞き取り力アップを狙っています。
【シャドーイング】
わかりやすくシャドーイングと書きましたが、正式には「プロソディーシャドーイング」です。これは「音声のモノマネ」で、「聞いた後にそのまま発音する」というトレーニングになります。
音声の意味内容はあまり意識せず、とにかく聞こえた音をそのまま口から出すことを狙ってください。
これもディクテーションと同じで、ただ聞くよりも「言えたかどうか」で「聞いていない」または「聞こえていない」ことがわかります。聞いていない場合はちゃんと聞くようにし、聞こえていない場合はそこが課題なので何度も発音練習をします。
この時何度も詰まるところがあれば、そこだけまずは「オーバーラッピング」してください。
シャドーイングの理想は「文字をみないで聞いた音を口から出す」行為ですが、負荷が強すぎる場合は「文字を見ながらシャドーイング」して負荷を調節してください。
それでも負荷が強い場合はまず文字を音読してスムーズに発音できるようにし、その後オーバーラッピングでさらに発音を鍛えた上で最後の仕上げで文字なしでシャドーイングすると良いです。
あと「モノマネ」という点も非常に重要です。
よく私はクライアントさんに「キムタクさんではなくジョニーデップさんで」とお伝えしています^_^
キムタクさんはどのドラマでもイケメンなキムタクさんですが、ジョニーデップさんの場合は映画によって完全な別人です。海賊の時もあればチョコレート工場の人の時も魔法使いの時もあります。シャドーイングで目指したいのはジョニーデップさんのように、スクリプトごとに別人になることなのです。
そもそも、シャドーイングで狙っているのは「リスニング力向上」です。スピーキング力向上ではありません(間接的には伸びますが)。
だからこそ「自分がどう話すか」というのは一旦置いておいて、「スクリプトの話者になりきる」というのが非常に重要なのです。
自分流に話していたら自分流の音のキャッチは得意ですが、自分と離れた情報のキャッチは大変になるわけです。
あえて色々な話し方をしてシャドーイング練習をすることで、キャッチできる音の幅を増やすわけですね^ ^
長くなりましたがここまでがまず3つのうちの1つ「音声知覚」の鍛え方です。
(まとめ)
・音声知覚(音キャッチ)はディクテーションとシャドーイングで。
・ディクテーションは「聞いた音をそのまま書く」
・プロソディーシャドーイングは「聞いた音をそのまま言う」
・聞こえない音は「オーバーラッピング」や音読で負荷を減らす。
・シャドーイングは「モノマネ」を意識する。
<ディコーディングの強化法>
文字→音の変換を強化する方法は「音読」です。文字を目で追いながらそれを声に出して読むという作業ですね。
これは顕在化した形でディコーディングする行為です。
(眼球停留→単語認知→音韻符号化→メンタルレキシコン参照)
「音読」の方が「黙読」よりも負荷が高いので、音読がスムーズにできるということは黙読は当然もっとスムーズにできるということになるのでトレーニングになるわけです。
この時ポイントは「意味内容をイメージしながら」音読するということです。ここが先ほどのトレーニングと違う部分ですね。
ただ読むだけでもディコーディングのトレーニングになることはなるのですが、それだとあまり負荷がかからないのでここは一気に「イメージ」まで狙います。
そして実はこれは「内容の理解」のトレーニングにも自動的になります。リーディングの場合は「ディコーディング→内容理解」まで一気に強化を狙っちゃうわけです^_^
音読については内容理解とも重なるので次のセクションで詳しく解説しますが、
・目でしっかりと文字を追う
・意味内容をリアルにイメージする
を意識すると良いです。
(まとめ)
・ディコーディング(文字→音の脳内変換)は音読で強化する。
・英語学習時の音読は「意味内容をイメージ」した音読。
・しっかりと文字を目で追って「意味・スペル・音」を脳内で結びつける。
<内容理解の強化法>
もう出ましたが内容理解は「音読」が有効なのと、シャドーイングも「コンテンツシャドーイング」までやると内容理解のプロセスのトーれニングになります。まず音読から解説していきます。
【音読】
音読のコツは「五感+感情」を使ってイメージすることです。ここをあまり踏み込んで話す英語コーチは少ないかと思いますが解説していきます。
なぜかこれが有効かというと「臨場感が高まる」からです。五感と言った時多くの場合は視覚情報がメインになりますが、とにかく複数のモーダルチャンネル(脳の入出力チャンネル)を利用してイメージを生成することで情報量が増えます。
情報量が増えた結果臨場感が高まり、臨場感が高まると脳にとって「リアル」になります。そうなると、少ない反復回数でも長期記憶への転送が期待できます。これは色々なエビデンスや研究がありますが、普通に考えても実感はあるかと思います。
例えば人は実際に「経験したこと」の方がよく人は記憶に残りますが、臨場感を上げて脳にとって「リアル」にしたこともそれと同じくらいに覚えているかと思います。映画とかアニメのシーンはスクリーンの中の世界ですが現実で体感したのと同じくらい記憶に残ることがあるはずです。
そもそもどこまで音読をすれば良いかというと「暗唱するまで」が望ましいですが、ただ読むよりもなるべく脳内で臨場感を高めた方が記憶しやすいのです。
ただのテキストファイルよりも画像ファイル、画像ファイルよりも動画ファイルの方が容量が大きいです。動画も4K、8Kと解像度が増してリアルになるほど情報量は増えます。
「情報量が増える=臨場感が高まる」なので、五感や感情を使ってイメージをしたり、空間ごと「今自分がその空間にいる」かのように想像した方が良いわけです。
そしてここまで行くと、スピーキングまで鍛えられます。CMソングのようにいつの間にか暗唱してしまいますが、ここまでやれば「文章ごと」おぼえてしまうので、単語単位でインプットするよりもはるかに英会話場面で役に立ちます。
覚えた文章の単語だけ入れ替えるだけで完璧な英作文にもなりますし、この時いちいち文法を意識しなくても「ペラペラ」話すことができます。
ネイティブも単語単位で文を作って発話しているわけではなく、チャンクと呼ばれる意味の塊のストックが大量にあり、それをつぎはぎして話しているわけですがそれと同じことを狙うわけです。
全体像のところで、基礎→受容スキル→産出スキルと解説しましたが、受容スキルのトレーニングではあるものの、こういったトレーニングで間接的にスピーキングやライティング能力も向上するので、やはりこの順番は効率が良いことがわかります。
【コンテンツシャドーイング】
これはプロソディーシャドーイングが十分できるようになって初めてやるトレーニングですが、同じスクリプトを使って今度は「意味内容をイメージ」しながらのシャドーイングまで狙います。
プロソディーシャドーイングができない状態でコンテンツシャドーイングは不可能なので、順番としては下記のような流れになるかと思います。
(音読 or オーバーラッピング)
→プロソディーシャドーイング
→コンテンツシャドーイング
最初に「どう言うか」にフォーカスし、
ある程度完璧になったら「何を言うか」にフォーカスするわけです。
この時もやはり音読同様に「五感や感情を使ったイメージ」を行ってください。
ちなみに思い浮かべる内容は「自分が想像するイメージ」でOKです。シャドーイングはモノマネなので、本来は話者と同じような脳内イメージが生成できれば一番なのですが、それは言語を超えた領域であり不可能なことなので、「自分が想像できるイメージ」でやるしかありません。
自分が体感している「赤」と他人が見ている「赤」が本当に同じかどうかは誰にもわからないです。だから自分ができるイメージで良いのです。
もっとも、海外ドラマや映画使う場合は目の前にイメージがあるのでそれを使っても良いですが、そうでない場合は「自分が考えうる意味内容のイメージ」をするしかないですし、それだけでも十分です。
「音」や「文字」といった言語情報は正解不正解があるのでできるだけモノマネしないといけないですが、イメージは自由ということです。
これも「結果として暗唱してしまう」というレベルまで狙ってください。こうすると逆にイメージから英文を引っ張ってアウトプットすることもできるようになります。スペルと音と意味が脳内で結びつくからです。
ここまで行くと「日本語を介在させる」暇がないですし、
そうしなくても非言語イメージから英語に言語化することがラクになります。
(まとめ)
・「意味内容の理解」のプロセスはイメージを用いた音読とコンテンツシャドーイングで鍛える。
・イメージは「五感や感情」を用いて空間ごと生成すると臨場感が高まる。
・臨場感が高まった方が、少ない反復回数で暗唱まで到達できる。
・スピーキング場面等でも「イメージ」から英文を引っ張ってアウトプットすることができる。
終わりに
今日の記事はかなりガッツリ解説しました。
いきなり音読やシャドーイングという学習法の選択をするのではなく、「何を鍛えたいか」から考えて学習法を選択することで、効果的な学習設計が可能になりますので、今回の記事は何度か読み返しながら、ご自身の英語学習に応用していってください。
質問があれば回答可能ですので、お気軽にコメント等もくださいね!
今回の内容は以上になります。これからも英語学習法の解説記事は書きますが、直接会って伝えた方が早いので、ショートカットしたい場合はお茶会にご参加ください。
それでは今日も、レベルアップしていきましょう!