+トトロの森大珍道中+
-第3話 ミッションインポッシブル!クロスケの家-
(第1話から読む方はこちら+トトロの森へ!大珍道中+)
「本日は終了致しました。」
「クロスケの家」を見るために、73分徒歩でやってきた我々の心に、氷山が突き刺さっていた。
すると、後ろにいた5・6人の人の群れが「こどもを理由にちょっと入っちゃえばどうですか?少しくらいなら大丈夫ですよ!ほらほら!」と、声援を送ってくる。
なんだ、なんなんだ!
この人たちは、社会人有志の応援部か何かか!?
応援部にエールを送られ、我々は彼らの言うとおり、「こら、こら勝手に入っちゃダメよ~!」と、息子の背中をぐいぐい押しながら、「クロスケの家」の門の中へ侵入。
なんとか、家のかまえだけは目にすることができたが、勤務まもなく終了とばかりに、従業員のおばさんがどんどこ扉を閉めている。
「クロスケの家に入りたいよ~!!!!!」
息子が泣き始める。
「クロスケの家もう閉まっちゃうんだってさ。」
「嫌だ、見たい見たい!!!」
泣きじゃくる息子。
今こそあの社会人有志の応援部にもう一度、エールを送られたい。
あと一度でいいから、「こら勝手に入っちゃダメ~!!」と言いながら、息子の背中を押させてくれ!
しかし、後ろには誰もおらず、前をむき直せば、嗚咽する息子と固く閉ざされたクロスケの家。
完敗した我々は、門の外に出た。
泣きわめく息子の声に、意識が朦朧となり始めていた私だが、横目にみたトトロの森MAPに、良い情報を発見し、いくらか頭が冴えてきた。
「見てごらん!今から、30分歩いたところに、トトロの木があるって!!」
「トトロの木!?」
興奮する息子に、私は希望の光を見いだし続ける。
「そう、クロスケの家を見損ねた代わりに、トトロの木を見に行こう!トトロの形をしている大きな木じゃないかな?」
「トトロの木、見に行く~!!!!」
元気を取り戻し、新たなる夢を抱いて、息子の目は、大きく見開いた。
(これまで徒歩、73分)+(これから徒歩30分)✕「抱っこ~!」のトトロの森コースを、新しい超上級者コースとしてあの地図に書き込んでやろうか。
「トトロの木」を目指すことになった、我ら夫婦の目は、大きく白目をむいていた。
-第4話へ続く。
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