イベント用やレディースなど、今や各球団とも毎年新しいユニフォームを発表するのが当たり前になっているが、毎年毎年ホームユニフォームを変更し続けているチームがあるのをご存知だろうか?
ご存知なわけあるまい。当スタジアムだ。
なんせ野球ユニフォームが好きなもので、好きが高じて拗らせて「自分のところで着るモノでいろいろ試したい!」という欲求が抑えられなかった結果生まれた、「新シーズンは新しいユニフォームで迎える」という不経済極まりない当スタジアムの伝統。
11年目のシーズンとなった今季もその伝統に則って、通算10回目のお色直しをプロ野球開幕日に行い、デビューを果たした通称『桃色装束』こと当スタジアムのユニフォームの、11代目2023モデルをここに紹介させていただく。
ド派手な色味のインパクトが強すぎて、細かな意匠の違いなどがかすむのであろう。当スタジアムのユニフォームが毎年違うことに気付いている方は少ない。
毎度「言われてみれば……」よりも「言われたとて分からん!」というお声が多数を占めるので、論より証拠でまずは歴代の桃色装束を振り返ってみることにしよう。
こうしてずらりと並べてみると、なるほど別のものだということと、確かに印象は変わらないの両方にご納得いただけるであろう。
写真の発色だとどうしても赤っぽく見えるのだが、いずれもベースは当スタジアムカラーであり、勝手に『リリーズピンク』と称している濃い桃色である。
色以外に通底するテーマのようなものは見受けられず、無節操にデザインを変え続けているように思われるかもしれないが、その通りだ。
前述したように、愛してやまない野球ユニフォームの百花繚乱のデザインを下敷きに、それを自分のところで再現したい、という欲求ゆえである。
向こう何十年にわたって毎年新規で『桃色装束』作成を続けたとしても、「もうネタがない……」などという事態に陥ることは絶対ないと言い切れるくらい、野球ユニフォームデザインの裾野は広く奥が深く、そして魅力的であり、それが毎年モデルチェンジに駆り立てられる源泉でもある。
過去10代をご覧いただいたところで、すでに目がちかちかしてるかもしれないが、あらかじめお伝えしておくと次も色味はまるっきり同じものが登場する。
代を重ねて11代目となる2023シーズンの『桃色装束』がこちら。
過去10代、形は違えど必ず胸にあった「LILIES」をはじめて外し、左胸に「L's」のみとしたのが一番大きな変更点。その結果、胸番号も右側へ移動。
このタイプのユニフォームデザインといえば、MLBならヤンキース、日本ではマリーンズがパッと浮かぶだろう。
以前から「いつか採用したいデザイン」リストに入っていたが、改めて「このスタイル、カッコいいな……」と思い、今季の『桃色装束』のデザインの方向性を決定づけるに至ったユニというのが……
マリーンズはマリーンズでも、ストライプのないシンプルなデザインに、グレーベースにブラックとホワイトという抑えめのカラーが渋くてスタイリッシュな、昨季リニューアルされた『ALL FOR CHIBA』ユニフォームである。
その下敷きをどうなぞったとしても、当スタジアムバージョンでは「渋くてスタイリッシュ」にはなりっこないのだが、今までにないシンプルデザインとなった今モデル。
昇華プリントでどんなデザインでも表現できる(そしてその方が安上がり)今の時代だが、個人的に「ユニフォームのワッペンは刺繍たれ!」という強固な思想の持ち主ゆえ、今回も胸マーク、胸番号、背番号はすべて縁取り刺繍加工となっている。
しかし新しいユニに袖を通してみて驚いたのは、せいぜい10グラム程度の差しかなかろうに、「LILIES」から「L's」に文字数が減ったことにより、つまり刺繍部分が減ったことによって、思わず「軽っ!」と声が出るほど、体感的に重さが違うのだ。
選手着用ユニが昇華プリントに置き換わりつつあるのも、正直うなづける。それでも個人的刺繍信仰は不変だが。
デザインのお手本にした『ALL FOR CHIBA』ユニに倣い、ラインは袖のフチのみ。
そして「LILIES」の名称を示すのは袖に入ったロゴマークのみ。
背面もいたってシンプル。
「1」と「0」というわりと没個性気味のサンプルなのでぱっと見分からないかもしれないが、実は数字のフォントも毎年変わっている。
キャップは昨年の10thモデルと同じものを今季も着用。
どうせやるならキャップと胸マークが同じヤンキーススタイル(マリーンズもそうだが)にしようと考えてのことである。
はなはだ簡単にではあるが、当スタジアムが11年目の2023シーズンを戦う、色味は相変わらず派手、なれどデザインはミニマム&シンプルな11代目『桃色装束』を紹介させていただいた。
直近3年の8代~10代目は、のちに振り返った時には必ず「コロナ禍中の暗黒期の着用モデル」という思い出がついて回ることになると思うが、この11代目は「脱コロナの中でV字回復を遂げた復興を象徴するモデル」というポジティブな思い出とともに当スタジアムのユニフォーム史に名を刻めるよう、1日1日を懸命に戦ってゆきたい。
それが何代目でどんな思惑があろうが、完全に着ているこちらの自己満足。皆様からすれば知ったこっちゃないことだろうが、毎年こうしてユニフォームをモデルチェンジすることは、停滞することなく常に変化し続けて行こう!という当スタジアムの決意表明だと思って、生温かく見守っていただければ幸いである。
そんなわけで11代目となる新ユニフォームで気分も新たに臨む当スタジアムの11年目、2023シーズンも皆様の当スタジアムへのご来場を引き続きも心よりお待ちしております。