【幕張の初代女王決定戦 ~桃色行脚'22~】 | 監督のささやき戦術

 プロ野球のポストシーズン閉幕から2週間。とあるリーグで日本一を決める試合が開催されると聞きつけ、東京湾岸を東進してきた11月13日(日)の休場日の話をさせていただく。

 

 

 夢と魔法の国をスルーしてやって来たのは、東京湾岸のこの球場。

 今季二度目のZOZOマリンスタジアムである。

 

 普段の主マリーンズ不在のこの球場で開催されたのは……

 新リーグとして今春スタートをきった女子ソフトボールトップリーグ『ニトリJDリーグ』

 16チームが東西8チームずつに分かれ、それぞれ29試合のレギュラーシーズンを戦い、その上位チームが日本一を賭けて戦うプレーオフである『ダイヤモンドシリーズ』のファイナル、つまりJDリーグ今季最終戦にして日本一決定戦を観戦にやって来たのだ。

 

 ちなみに、今春誕生した『ニトリJDリーグ』の記念すべきリーグ開幕戦が行われたのも、ここZOZOマリンスタジアムであり……

 実はその試合も観戦に足を運んでいたので、期せずして『ニトリJDリーグ』初年度の初戦と最終戦に立ち会うことになった

 

 本拠地をお借りしているご縁もあって、3月の開幕戦の始球式はマリーンズOBの黒木知宏さんで……

 このファイナルは初芝清さんと清水直行さんが登場。

 写真はしっかり打ちに行ったにもかかわらず前に飛ばなかった初芝さんの姿。

 

 13時プレイボールの『ダイヤモンドシリーズ』ファイナル。

 初代女王の座をかけて激突するのは、東地区1位の勢いそのままに勝ち上がったビックカメラ高崎ビークイーンと、西地区2位から前日のセミファイナルで同1位のトヨタ自動車を撃破して決勝の舞台に立った豊田自動織機シャイニングベガ

 

 近所にもあってよく存じ上げているビックカメラに対し、織機にも紡機にも無縁の人生を送ってきたため、まるで馴染みのない豊田自動織機。

 豊田佐吉さんが興したトヨタグループの祖業、くらいの漠然とした知識しか持ち合わせていなかったので、今回調べてみて驚いた。年間売上高でいうとビックカメラの3倍超、2.7兆円を誇る超大企業だということに……。

 

 

 ビッグカメラ高崎のマウンドは、3月のZOZOマリンの試合で栄えある開幕投手を務めた、ご当地千葉出身の濱村ゆかり投手

 ユニフォームが4種類あるというビックカメラ高崎。開幕戦は赤だったが、この試合はオレンジ色のシャツに黒パンツ。

 

 一方の豊田自動織機は、白地にネイビーとイエローのラインのユニフォーム。

 先発はタテもヨコもチームの誰よりもデカくて目立っていた、アメリカ出身182センチの長身右腕エスコベド投手

 見た目通りのパワフルで迫力のあるピッチングを見せた。

 

 

 3月の『ニトリJDリーグ』開幕戦8月の『日米対抗ソフトボール2022』に続き、これが今年三度目のソフトボール観戦だったのだが、過去2試合ともスコアは1-0。

 どちらもスピード感があって堅守が光る非常に締まった投手戦で、ワンチャンスをものにした方が勝利という痺れる試合は、ソフトボールの魅力が詰まった好ゲームではあったが、次はもうちょっと点が入る展開も見てみたい、できればホームランなんかも見てみたいなぁ、なんて思いながら臨んだこの試合。その願いはわりと叶えられることに。

 

 先制点を奪ったのは2回のビックカメラ高崎。

 東京五輪日本代表の一員でもある5番ショート工藤環奈選手のソロホームランによってもたらされる。

 

 その後膠着した試合が動いたのは、またしてもホームラン。

 終盤6回に飛び出した、こちらも東京五輪メンバーの4番藤田倭選手のソロホームラン

 

 ホームランは豊田自動織機打線からも生まれた。

 昭和のプロ野球の助っ人のようなすごいクラウチングスタイルで、いかにも打ちそうな雰囲気を醸していたので序盤から注目していた4番グッドエーカー選手が……

 最終7回に、それまでゼロ行進を続けてきた濱村投手からソロアーチを放つ。

 なおこのホームランは……

 フェンスを恐れずダイビングし、あわやホームランキャッチというレフト片岡美結選手のエキサイティングで素晴らしいプレイのおまけ付きだった。

 

 そんなわけで直近の観戦2試合でゼロだったホームランが3本も見られ、ソフトボールの空中戦の魅力も味わうことができたこの試合だったが、終わってみれば全得点がホームランで、すべてソロ。ということは……

 2-1でビックカメラ高崎が勝利し、見事『ニトリJDリーグ』初代女王に輝く

 セミファイナル、ファイナルの2連戦のマウンドを一人で守り抜き、2日連続完投勝利を挙げた濱村投手がシリーズMVPに。

 長いシーズンを戦い抜いて勝ち取った日本一の歓喜の輪は、開幕戦と最終戦しか見ていないにわかもいいところのJDリーグファンにとっても、感動的な場面であった。

 

 

 たまたまた今年、3試合も見る機会があったことで改めて知った、野球と似ているようでまた違った魅力と面白さがあるソフトボール。

 千葉市が市を挙げて女子ソフトボールを後押ししてゆくと宣言しているので、きっと来季以降もここZOZOマリンスタジアムでの開催もあるだろうから、ぜひまた観戦に足を運びたいと思う。

 

 そして当スタジアムへも、野球ファンとシンクロ率も高いであろうソフトボールファンの皆様のご来場を心よりお待ちしております。