【八代目桃色装束】 | 監督のささやき戦術

 ただただ「派手!」「目がちかちかする!」という印象しか与えてないせいであろう。当スタジアムのわずか7年の歴史の中で、実は毎年毎年違うユニフォームを着用していることを知る人は少ない

 「新シーズンは新ユニフォームで迎えたい!」というイージーな発想の元で生まれた不経済極まりない伝統に則り、開場7周年を迎え、8年目のシーズンのスタートを切った昨日、着用を開始した、代を重ねてもう通算八代目、徳川家で言えば吉宗モデルとなる2020年バージョンの当スタジアム新ユニフォーム、通称『八代目桃色装束』を、ここに紹介させて頂く。

 

 

 長いこと当スタジアムに通って頂いているお客様でも多分知らない、というかまるっきり覚えていないであろう、2013年の初代から2019年の七代目までの、『歴代桃色装束』をまずは振り返ってみよう。

 店主の気まぐれさを見事に物語る、(色以外は)まるで一貫性のないデザインの変遷が一目瞭然であろう。

 古今東西の野球のユニフォームを愛してやまない当スタジアム。「どうせ新しく作るのならば、今まで試したことのない型やデザインを試したい」という思いの元、様々なチームのユニをパクって……もといリスペクトしているがゆえのことである。

 ありがたいことに、向こう何十年にわたって毎年新規で『桃色装束』作成を続けたとしても、「やりつくした!」とは言えそうもないほど、野球ユニフォームデザインの裾野は広く、奥が深い。それが魅力なのだが。

 

 

 さて、2020年モデルとなる8代目『桃色装束』である。過去の歴代モデル同様、発想やデザインのパクリ元……もとい下敷きがあるのだが、それは後回しにして、まずはモノを見て頂こう。

 「ユニフォームの型」という意味で、今回『桃色装束』に初採用したのは、「ラグランスリーブ」タイプと呼ばれる、袖の色が切り替えとなっているデザイン

 プロ野球のユニフォームで「ラグラン」デザインを説明するならば、かつて近鉄バファローズが1976年~1996年の長きにわたって採用していたユニが一番わかりやすいだろうか。「10・19」の時に着用していたアレ、と言えば、プロ野球ファンなら即座にピンと来て頂けるであろう。

 

 

 と言いながら、今回の八代目『桃色装束』がデザインの下敷きとしたのは、近鉄バファローズのユニではない。もうちょっと時代が新しい、こちらである。

 侍ジャパン、という呼称がまだなかった頃の日本代表の、『WBC2006』の際の着用モデルである。

 

 ご存じの通り、今年は東京五輪イヤー(『新型コロナ』による懸念どうこうは今は論じない)。

 一野球ファンとして、日本人として当然期待するのは、自国開催五輪での、公開競技だった1984年ロス大会以来の金メダル。世界とIOCの姿勢的に、今回が最後の「五輪野球」になりそうな気配が濃厚だからこそ、なおさらである。

 日本の野球金メダル、世界一に向けて、神田の場末から陰ながら応援しようと選んだのが、イチロー選手や松坂投手らの豪華メンツを王監督が率いて見事初代王者に輝いた、2006年の日本代表『WBC』着用モデルなのである。

 

 そんな理由なので、今回の八代目『桃色装束』のデザインには、今まで一度もなかったこんなものが入っている。

 デザインを決めて発注した頃には、完成時にこんな状況になっているとは想像だにしていなかったのだが、日本中が大変なことになっている今の状況下、「がんばれニッポン!」的意味合いも後付け的に込められて、結果的に良かった

 

 ちなみに反対袖には……

 当スタジアムの今季のロゴマークがどーんと入っている。

 毎年誰も気づかないうちにしれっとロゴマークを変えているので、この場をお借りしてちょっと説明させて頂くと、今季ロゴマークのベースは「8年目だから八角形」という短絡的な理由である。

 とか言って6周年の時は別に六角形なわけではなかったので、結局はその場の思い付きレベルで決めているのだが……。

 

 2020年モデルで最も気合を入れたのは、3年ぶりにフルモデルチェンジを果たしたキャップ

 初代、二代目の「L's」マーク、三代目から五代目の「LK」マーク、そして前作まで2年採用したエンブレムワッペンから、8代目は初めて「Lilies」のフルネームマークを、写真では伝わりにくいかもしれないが、重厚感のある二重の立体刺繍で採用。

 また、下敷きにした『WBC2006』ユニに倣って、初めてつばの色を変更したのも、当スタジアムユニ史上においては大きなトピックである。

 

 実は今回の八代目『桃色装束』のデザインは、元々『WBC2006』の日本代表ユニフォームを個人的に気に入っていたということもあって、3年くらい前から2020年の東京五輪イヤーにこれを採用しようと決めていたという、歴代の中でも無駄に構想期間が長いモデルなのである。

 無事に店が存続してたおかげで、日の目を見ることができて良かった……。

 

 

 そんなわけで、開場8年目にして既に八代目となる新ユニフォームで臨む、当スタジアムの8年目、2020シーズン。

 『八代目桃色装束』が廃業時に着用していたラストモデルとなった……、などということにならぬよう、2020シーズンもつぶれぬことを第1目標に、新ユニフォームで新たな歴史(できればいいやつ)を刻んでゆきたいと思う。 

 

 新ユニだろうが旧ユニだろうが、完全に着ている方の自己満足以外の何物でもなく、皆様には何ら関係がないっちゃないのだが、そんな新ユニフォーム見物がてらにでも、皆様の当スタジアムへのご来場を引き続きも心よりお待ちしております。