野球観戦はもちろんだが、野球場や球場内の変わった席種も愛してやまない『桃色行脚』。
まだ見ぬ未踏の球場や新席種を求めて、ここ半月ばかり西へ北へと遠征が続いていたが、遠出を必要としない未踏球場の存在をふと思い出し、久々に都内で野球観戦をしてきた昨日の休場日の話をさせて頂く。
絶好のデイゲーム日和の青空の下、向かった先は毎年二桁は訪れているお馴染みの球場、……の隣のこの球場。
明治神宮野球場の真隣に建っている明治神宮第二球場、通称『神宮第二』である。
神宮に通いだした頃からもちろん存在は認知していたものの、機会がなかったことと、「まあ近いしいつでも行けるから……」と考えて、ずっと未踏であったこの球場。
それが東京五輪以降の神宮外苑周辺再開発に伴い、2021年に解体されるという報道を受け、こいつは「いつでも行ける」などとのんきに構えてる場合じゃないと、あわててやって来たのである。
そんなわけで、目の前は何度となく通り過ぎていながら、足を踏み入れるのはこの日が初となった神宮第二球場。
行われていたのは、東京都の高校野球春季大会の、順々決勝2試合であった。
OBでも父兄でもないので応援に行くわけではなく、単に球場に行きたかっただけというモチベーションだったので、第2試合の開始時刻に合わせてのんびりと到着。
チケット800円を購入して、スタンドに入場すると……
まだ第1試合の真っ最中、というか終盤のめちゃくちゃいい場面であった。
初めて間近で見る神宮第二のスコアボードの、手書き&手回しという『ドカベン』的昭和感にワクワクさせされる。
到着してすぐに、国士館高校が逃げ切って第1試合終了。第2試合までの30分ほどの入れ替え時間の間に、球場内散策に出る。
2層になっているメインスタンドの、下段のスタンドの一番端からの眺め。
写真では分かりにくいが、このエリアは背もたれなしの独立席が並んでいる。
こちらが上階のスタンドの眺め。
こちらは椅子はなく、コンクリ打ちっぱなしの段々に直接座るという原始的なスタンドである。ご覧の通り、日陰も一切ない。
収容人員数は5600名とのことで、見た目は狭いがなかなかの収容力を誇っている。
上段スタンドの三塁側の一番端から外を眺めると……
着々と工事が進む、新国立競技場が目の前に見える。
反対側、一塁側の一番端はというと……
隣の神宮球場が覗けるようになっていて、この日はちょうど同時刻で東京六大学野球が行われていたため、入れ替え中の暇な時間にそれを眺めている観客がそこそこいた。
バックネット裏から見た、フィールドの全景。
両翼91メートル中堅116メートルのサイズは、現代の野球場としてはかなり狭隘である。
目を引くのはセンターからライトにかけての人工芝の黒い部分。下地がむき出しとなったために生まれたこの光景は、「劣化」などという簡単な一言では片付けられないような、見たことのない傷み方である。
その人工芝を痛めつけていると思われる要因の一つがこれ。
一塁側で威容を誇る3階建ての打席は、野球で使用しない日にはゴルフ練習場となっているこの球場ならではの珍しい光景。
ここが客席として使えれば、あと1000人くらいは入れられそうである。
完成は1926年10月と、お隣の明治神宮野球場と同時なのだが、当初は相撲場であったというここ神宮第二球場。
野球場に改築されたのは1961年だそうなので、建物自体は築93年、野球場歴のみでも58年と、かなりのベテラン球場なわけだが、それも大いにうなずける年季の入り方、というか有体に言えばオンボロさであった。
その分随所に歴史が感じられ、なかなか味わい深かったこの球場。なくなる前に足を運べて良かった。
球場に行くことが主目的だったため、第2試合の日大三高VS東海大菅生の試合をある程度観戦したところで目的は果たしたと退出。東京六大学野球が行われていたお隣の神宮球場へと移動。
毎年1~2試合は観戦に足を運んでいる東京六大学野球だが、どういうわけだかこの大学だけは今まで一度も見たことがなかったので、ちょうどいい機会とやって来たのである。
唯一見ていなかったというのは、淡青のユニフォームの東京大学。
当たり前だが、アナウンスされる選手の出身高校が野球では聞いたことのない進学校ばかりだったのが、なかなか新鮮であった。
対戦相手は、強豪校出身者だらけの早稲田大学。早稲田と言えば……
今季から指揮を執るのは、マリーンズやベイスターズで活躍された早大OB、小宮山悟監督。
2年前のサッカースタジアム以来、久々にお目にかかった。ちなみにスタンドには、同じく今季就任した田中浩康コーチの姿もあった。
ぎゅうぎゅうだった神宮第二球場から一転、空いていて快適だった神宮球場で、東大VS早大の試合を最後まで楽しみ……
のんびりとアマチュア野球三昧の一日を過ごしたのだった。
プロアマ問わず各地で様々な野球が開催されており、いい意味で行き先選びに困るシーズン中の幸せを噛みしめつつ、今後もカテゴリを問わずせっせとあちこちに出没して回りたいと思う。
間もなく突入する10連休期間中、東京遠征ついでの皆様の当スタジアムへのご来場を、引き続き心よりお待ちしております。