火星の話の続きです。
現在、火星と冥王星がぴったりと180度(オポジション)を形成しており、そこに太陽がスクエアで介入することで、三すくみの緊張関係ができています。
火星と冥王星のコンビネーションは、非常に強い力を生み出します。それは限界を突破する力でもあり「内なるブロックを乗り越える」ことを助けてくれるもの。
占星術における天体の動きは、私たちの心の内側に起きていることを、外側の現実の世界に反映させます。
現実の中で思いきって新しい局面に身を投じるためには、まず「心の中で自分を縛っているもの」を解き放つ必要があるわけですね。
火星と冥王星が象徴するのは、私たちの中にある本能の中でも、最も強烈なもの。それはときに暴力的で、他者を支配し、思い通りにコントロールしたいという衝動として現れるでしょう。
多くの人が、この強烈なパワーに対して、恐れを抱きます。神話の世界でも、アレス(火星)は嫌われ者で、ハデス(冥王星)は信仰されることがありません。
けれども、人間に備わっているパワーはすべて必要だから存在しています。
では、これらの強く激しいエネルギーは、なぜ私たちに備わっているのでしょうか?
それは、もちろん、私たちが動物として「弱肉強食の世界」を生き抜くためですね。
あらゆる動物がそうであるように――他の種を押しのけてでも、自分の種を生き延びさせようとする本能が、この火星や冥王星の表すパワーです。
けれども、この力を野生のまま、野放しにすると、社会全体を脅かす危険なものになってしまいます。パワハラ、モラハラ、セクハラ、カスハラ……社会にあふれるハラスメントの多くは、この火星・冥王星的なエネルギーが未熟な形で噴き出しているものだといえるでしょう。あらゆる対立や戦争もそうです。
とはいえ「危険だから、このエネルギーは隠して封じ込めよう」としてしまうと、今度はそれが内側で強烈に抑圧される形で表現されてしまい、それはとても危険です。
うつ、無気力、自信の喪失といったメンタル不調の原因になったり、大きな病を引き起こすトリガーになってしまうこともあります。
このような大きなパワーは、ブルドーザーのように意欲的に活かして、バリバリと目的を持って動くのが健全です。
冥王星を含む土星以遠のトラサタ天体は、集合天体ですから、社会の中で、個人的にではなく、集団のためにおおいに力をふるうことが、最も安全かつ、有意義な活かし方だといえるでしょう。過去から持ち越された問題や限界を超えていくことを、この強い星が助けてくれるはずです。