逆行中の水星と金星が、魚座で土星と重なっている影響か、関係の終わりを迎えたり、危機に陥ったりするカップルがここのところ、多い印象でした。
魚座の影響が強く働く時期は、ふだん無意識にやり過ごしている傷や哀しみにフォーカスが当たりやすくなります。そこで、ちょっとしたことをきっかけに、これまで蓄積された不満や憤りが溢れてくるのですね。
こういう時期に、しっかりとガス抜きすることは、とても大切です。
こうしたタイミングをうまく使って、心の奥にある痛みに触れ、それを癒し、手放していくことは、心地よい関係性を築くために欠かせない作業と言えます。
私たちは、自分の中にあるけれど、扱いきれない欲求や感情を、無意識のうちに、身近な他人に処理させようとする傾向を持ちます。
幼児は空腹を満たしたり、寂しくて泣きたいときに、母親を利用してそれを実行する本能を、携えていますね。これは子どもの健全な成長のために欠かせない能力です。
しかし、それをいつまでも無意識のうちに持ち続けていることが、関係を危機に陥らせてしまいます。
たとえば「私より年収の高い男性と結婚して、自分は仕事を辞めたい」と思っている女性がいたとすると、彼女は「自分を養う」という責任を無意識のうちに相手に担わせようとしているわけです。
これくらい、わかりやすければ良いのですが、実際には大半の人が自分自身の中にある欲求や感情ニーズに気づかず、無意識のうちに親しい相手にそれを処理させようと仕向けます。
それに気づかないと、子どもにとっては健全な心の働きだったものが、大人としての関係を破壊させるものになってしまうでしょう。
しかし、ちょっとしたコツをつかむことで、それもまた“成長の入り口”に変えることができます。
そのコツとは――誰かとの関係において、もやっとしたり、イラッとしたり、心が揺さぶられたときに、自分の心の内をちゃんと見つめること。そこにある感情を認知して、感じきることです。
ある人との関係の中で傷つけられたと感じたとき、よくあるのは「まあ、いいや」とさらっと流してしまうことや「もう、あの人とはもう付き合わない」と関係を終わらせて切り離すことや「あーもう、ムカつく!」と相手の文句を言って発散することですね。
でも、そのいずれも「自分の感情に触れること」を避けている反応です。
本当はとても傷ついていて、心が痛くて、つらくて、かなしいかもしれません。
でも、それを感じるのは痛いし、怖いから、気を逸らしてしまうことは多々あるでしょう。もう痛みを繰り返したくないから、原因となった相手を切り離すことも、典型的な防衛反応です。
相手のせいにして怒ることも、感情や痛みから目を逸らすための手段と言えるでしょう。怒って、相手の責任に問うことで、自分に触れなくて済むのです。
あの人があんな態度をしたとき、自分の心には何が起きたのか。どんな痛みを感じて、どんな感情が動いたのか。
自分で処理することのできない、痛みや悲しみ、傷つき、惨めさ、孤独感は、無意識のうちに、周囲の親しい人間関係を使って処理させる――そういう機能が、私たちの内には備わっているのです。
パートナーに何度も同じように傷つけられるとき、あるいは何度も同じように相手を責めるとき、私たちはお互いの処理できない感情を押し付け合っている可能性があるでしょう。
だから、あきらめて泣いたり、落ち込んたり、嘆いたりすることが必要なんですね。自分で処理しきれない感情を、お互いにぐるぐる回しあうのではなく、自分でしっかりと受け止めて、味わい尽くすことが、心と関係を健全に保つ秘訣です。