「君たちはどう生きるか?」について、もうひとつだけ書きます。
先日、宮崎駿監督のチャートには地と火のエレメントしかない、ということを書きました。
なので、宮崎監督の作品には非常によく、火と地の葛藤が象徴として登場しますよね。
ナウシカvsクシャナ、サンvsエボシに象徴されるような、自然至上主義vs近代合理主義でもありますね。
物語の中で、対立している彼らは激しくぶつかり合います。そしてやがて、それぞれの成長の中で、自身の信じる正義を貫きながらも、相手の信じているものを認めていくようにもなるでしょう。
この過程こそが、自身の影を認めるプロセスであり、異なるふたつのものがバランスをとりながら成熟していく道でもありますね。
そして、その葛藤ある世界で、主人公は生きていく決意を固めるというものが、必ず主題として登場しますが、これこそが宮崎監督の太陽でもある山羊座の神髄だなと感じます。
世界は葛藤だらけで、生きることは時に苦しい。だけれども、主人公たちは葛藤のない理想郷に生きるのではなく、苦しい現実に戻ることを選ぶのですね。生きろ(もののけ姫)、生きねば(風立ちぬ)、生きる力を呼び覚ませ(千と千尋の神隠し)、なわけです。
山羊座を支配する土星というのは、この葛藤ばかりの生々しい現実から逃げることなく、適応することを助けてくれる星ですね。
それは土星が厳しい星だからでしょうか?
いいえ、もともとこの世界が厳しいところなんですよね。
土星は私たちがそこで生きることができるように、適応させるのです。
宮崎監督の牡牛座の天王星と獅子座の月がゆるいスクエアの角度をとっていますが、この夏から秋にかけて、トランジットの牡牛座の天王星と、獅子座の金星とが、ほぼここに重なる形で角度を作ります。
なので、宮崎アニメに出現する火と地の葛藤と同じものを、私たちも体験しやすいときだといえるんですね。
私たちは生き延びる必要があり、同時に自分自身であらねばなりません。
生きるためには、時に自分を失くしたほうがうまくいくことも多いでしょう。好き嫌いとか、やりたいかやりたくないか、ではなく、生きねばならないのです。
しかし、そのように生きていると、生きている実感そのもの、自分そのものを失っていくことになります。
だからといって、好きなことだけをしていては生きることができません。
どうしたら、自分らしさを失わないまま、生き抜くことができるのか。
私たちのひとりひとりが、この葛藤と向き合うことが、特にこの時期に起こりやすいのだろうなと思います。