2022年9月10日18:58に魚座の満月です
12ハウスで海王星と共にいるという、完全なる魚座の月。およそ2週間後に秋分ですが、夏からの3カ月の流れを閉じていく時期となるでしょう。
今年の夏至図は内向きで、気持ちが逸るものの、なかなか思うように進みにくいという葛藤が描かれていました。
8月20日に火星が双子座に移動してから、さまざまな滞りが流れ始めた感じがあります。今年の秋分は華やかな雰囲気で、忙しくなりそうですが、今回の満月はその前にさまざまなものを終わらせて、癒し、けじめをつけることで、それに備えていくようなときだと感じます。
最後の星座である魚座、そして最後のハウスである12ハウスは終わらせること、手放していくことを象徴しています。バタバタと物事が動き出して忙しい時期だと思いますが、同時にすこしゆっくりしたい、休みたい、何もしない時間がほしいと感じることがあるでしょう。
12ハウスは心身の滋養のために、あえて何もしないことを目的とした隠れ家や時間を持つことも表しています。忙しいからこそ、ゆとりや休息を確保したいときでもありますね。
そしてまた、古くなったもの、やり尽くしたもの、身が入らないもの、リニューアルが必要なもの、後回しにしてきたものなどを、終わらせるときでもあるでしょう。
これは物理的な事柄のみならず、癖や習慣、考え方、感情といった精神的・心理的なものにもいえること。終わらせたいもの、終わらせたいわけではないけれど成熟しきってしまったものなどを、新しくやってくる始まりのために形を変えるときです。
牡羊座と比較してみると、始めるには牡羊座が象徴する勢いやひらめき、決断力、勇気が必要であり、終わらせるためには魚座の象徴する慈愛ややさしさ、思いやり、信頼して手放すことが必要といえるでしょう。終わらせるには準備と儀式が必要です。卒業式や退社式やお葬式のように。
未来に向かって家を飛び出そうとする若者は、前だけを見て、うしろを振り返りもしないかもしれません。親はその姿が見えなくなるまで、寂しさと愛おしさの混ざった思いを噛みしめながら、笑顔で手を振って見送ります。
たくさんの思い出が去来するかもしれないし、未練や後悔もあるかもしれません。しかし、出発のときがきたら、どんな思いがあったとしても、信頼して手放すしかないのでしょう。
終わらせること、そのタイミングを見て、しっかりと手放すことは、始めることよりもずっと難しいものです。
飽きたり、忘れたり、断ち切ったり、自然の流れで消滅させたりすることは簡単です。
しかしきちんとけじめをつけて、感謝や慈しみと共に終わらせるには、自身との対話を重ねて、さまざまな思いを感じる必要がありますね。
それは時にしんどいものです。最後まで感じきるということは。怒りも憎しみも不安も悲しみも、ごまかすほうがよっぽど簡単です。苦しみや悲しみや怒りや絶望に、何もせず、ただ寄り添い続けるには、慈しみと信頼が必要でしょう。
深いところにあるものを静かに見つめて、信頼と共に見えなくなるまで見送るような、夏の終わりの愛あふれる満月です。