火星という非常にアグレッシブな星は、取り扱いに注意が必要だけど、自分の真実を勇気を出して表現することを助けてくれると、牡羊座木星入りのときに書きました。
火星を象徴するのは戦争の神アレスですから、外の世界で力を奮って激しく戦うことが必要なとき……競走の世界で勝利のために頑張り、自分を打ち出す力をもたらしてくれます。そして同時にこれは自分自身を守る力でもありますね。
誰かに攻撃されたとき、支配されたとき、侵入されたとき、尊厳が傷つけられたときに「ノー!!」といって自身を守る力。
私たちは通常、金星と火星というふたつの星の表現によって、人間関係を創り出しています。金星は相手と調和すること、そのバランス、共にいることの心地よさ、楽しさ、憧れや愛を求めて。火星は気になる相手の気を惹き、アプローチをかけてその気にさせたり、意志を主張したり、時に抗議したり、戦ったりですね。
この調和と主張のバランスが、対人関係のカギでもあるし、これから1年の牡羊座木星時代の大事なテーマでもあると思います。
普段あまり主張しない人や主張が苦手な人でも、木星が牡羊座にやってくると、いつもより自分の意志や本心が感じやすくなるかもしれません。ましてや普段から意志がはっきりしている人は、いつもに増して「私はこう!」というのが、力強く、クリアになるでしょう。
いつもより主張もしやすくなると思いますが、そこで金星も一緒に使っていかないと、みんながそれぞれ自分勝手に意見をワーワーと述べるカオスにもなりますね。わが家は旅行やお出かけで疲れてくると、この状態に陥って、みんなが各々言いたいことだけを言って、誰も聞かなくなるという…(笑)
勝手に喋りたいことを喋っているぐらいでは、たいして害もないので、まあいいかもしれませんが、ひとりの主張が全体を圧倒するワンマン状態になりやすい、というのも火星にはあります。カオスを生み出して、パワーで圧倒して制圧するというのは、まさに戦争の神の力そのものですね。
それに対して、本当は嫌だ、心地悪い、同意していないと感じるのであれば、自身の火星を使って対抗する必要があるでしょう。それは何も相手に直接伝えるだけとは限りません。時には離れたほうがいいかもしれないし、相手に対する扱いを変えたほうがいいかもしれないし、抵抗を見せたほうがいいかもしれません。
やり方はそのときに最も効果的かつ有効なものをチョイスするとして、ともかく、自身の火星を使って、自分の意志を示すことが大事だということですね。
自分の力を示すことや、他者とぶつかるかもしれないということ、怒りを表現することに嫌悪感や苦手意識、恐れなどがあると、自分の火星を隠してしまうかもしれません。
でも、私たちは無意識においたものは、投影を通して体験することになります。火星を隠すと他者に怒られるか、怒らなきゃいけないような状況が発生するか、トラブルやカオスを体験するか……何かしらの形で結局のところ、火星のエネルギーに触れていくことになるでしょう。
私は出生のチャートに牡羊座の火星と180度に天王星という、なかなかアグレッシブな配置をもっています。
ですから幼少期から20半ば頃まで、自分で火星をうまく表現できなかった頃は、兄から暴力でボコボコにされたり、恐ろしい剣幕で母から怒られ続けたり、中学で絶望的にいじめられたり、ストーカーに何度も遭ったり、バイクで事故ったり、怖いお客さんに怒鳴られたりといったことばかりが起きていました。
それがサターン・リターンを超えたあたりから、ジムに通って身体を鍛え始めて、夫婦喧嘩で言いたいことをガンガン主張し、仕事でも理不尽なことや不正なことにはしっかりと意見をして……といったことができるようになったら、誰にもいじめられないし、怒鳴られないし、事故にもトラブルにも遭わなくなりました。火星の強い力が私の人格のなかに統合されていき、人生が平和になったわけですね。
対人トラブルに見舞われやすいという人は、内なる火星をどのように使っているのかということを、しっかりと見てみるのもいいかもしれないですね。