2022年は春分図の天頂に天秤座があり、予想できないことが次々と起こる可能性のある日々のなかで、バランスをとることの重要さを感じています。
天秤は「正確に釣り合いをとるための道具」ですから「適当に」とか「曖昧に」となってしまいやすいところを超えていくことがテーマでもありますね。
天秤座を支配する金星はご存知のように「愛すること、愛されること、楽しむこと、社交すること、飾ること、美的感覚等」を司ります。
それに対して私たちが体験する極は「華美が過ぎる・贅沢過ぎる・浪費し過ぎる・無駄が過ぎる・欲しがり過ぎる・尽くし過ぎる・ワガママ過ぎる」といったものがあり、もう一方では「出し惜しむ・自分を隠す・無駄を省く・対話を避ける・化粧っ気がない・ケチ」といった感じですね。
そのあいだのベストバランスを見つけ出すことが、天秤の作用であり、統合への道なわけです。お金の使い方、人との付き合い方、自分の魅せ方、ワークライフバランス。そういったものの釣り合いを探る、二極の調和でもありますね。
天秤座はアートやファッションとも関係しますが、これらの分野はまさに華美過ぎても、地味すぎても、時代を先取りし過ぎても、遅すぎてもダメで、時流にのるには、まさにベストマッチのバランスが求められるでしょう。
さらに人間の求める普遍的な真理にうったえる作品は、何世紀もの時代を超えて、残っていくことになります。これはちょっと海王星(集合意識)なども含まれているともいえますね。
天秤座はパートナーシップとも関係するサインですが、 ある人との関係において、お互いの本質が最も活かされ合うバランスを見つけ出すのは、とてもむずかしく、長い時間をかけての調整が必要です。
関係性はどちらかが我慢しても、コントロールしてもうまくいかず、お互いが正直に心をひらいて自身を表現し合い、その足りない部分、合わない部分をどのように補完していくことができるのか、共に協力し、創造していくことが大切ですね。それを怠ると、わかり合えない、不満足な関係となってしまいます。
そう考えると、自身のなかの天秤座を磨き、バランスを見出していくということは、果てしない作業ともいえます。対話をあきらめずに続けていくことよりも、適当なところで、相手に迎合してしまうほうがよっぽどうまくやれる感じがするかもしれませんが、でもそれは真の調和ではないですよね。
私たちが外側の世界で起きていることに合わせていけるのも、天秤の力ですが、合わせ過ぎると今度は自分がどうしたいのか、自身を見失ってしまいます。
そういうときは天秤座の向かいにある牡羊座・火星を通して自分を感じる必要があるでしょう。火星は自身の中心から立ち昇る意志の力、湧き起こる力の感覚を呼び覚ましてくれます。
しかし、それを押し出し過ぎ、自分ばっかりアピールしすぎると、まわりとの調和を失ってしまうでしょう。
牡羊座の司る自我感覚を鍛えるには演劇やバンドが良いとされるのですが、それは全員で呼吸を合わせて、それぞれのパートを打ち出しながらも調和する必要があるからですね。
外で起きていることに対して、感じている内側の反応を、どんな風に表現していくのか。またその表現したものに対して外で起こった反響を、どう受け取っていくのか。
そこでの「折り合いをつける」作業は、いかに自分自身と折り合いをつけていくのかという、葛藤と調和のバランスを見出すことでもあるのでしょう。
春分図の天頂に天秤座があるということは、そのことにいつも意識的でいたい2022年ということでもありますね。内と外で起きていることに気づいていること。そしてうわべだけではない真の調和を、葛藤を繰り返しながら、見出していくときなのだと思います。