先日オンラインでオーラソーマ・ティーチャーのまりちゃんとコラボで『冥王星から受け継がれた愛』というワークショップを開催しました。
昨年オーラソーマ社から誕生した【プルトン(冥王星)】のボトルにスポットをあてながら、占星術の星の動きも絡めて、いまの私たちが直面しているテーマを掘り下げていくワークです。
ちょうど金星・火星・冥王星が山羊座で重なるタイミングでしたが、2008年から山羊座に滞在している冥王星周期の終盤となるのが2022年です。
冥王星はそこに触れたものを抜本から変容させていきますが、その意味において16年かけて山羊座を変容させてきたといえますし、それは私たちの社会を土台から根こそぎ変えていく期間だったといえるでしょう。
現実の社会が強く激しく変容する時期だったとすると、個人にとっての土台の変容とは、なんでしょうか?
ということで、山羊座の支配星である土星と、この土星の働きによって生み出される反射のパターンを掘り下げていきました。
土星は私たちが「いま、ここ」にいることを助けてくれる惑星です。どんな状況であろうと、居心地が悪かろうと、私たちはここから逃げることはできません。
土星はここにいることを助けるがゆえに、心地悪い状況に陥ったときに、補償をします。ある種それは、ここにいるための防衛本能といえるでしょう。
たとえば、幼少期の私たちは母親からの愛と庇護とケアを求めますが、親がいつでも100%私たちのニーズに応えられるはずはなく、満たされないことがたびたび起こります。それは私たちにとって「心地悪い状況」ですから、そこから補償が始まるでしょう。
お母さんに声が届くように、大声で泣き始めるかもしれないし、あるいは「心地悪いこと」をなるべく感じないようにするかもしれません。いずれも土星がこの状況に適応するための補償です。
母親が忙しくて、イライラする日もあるでしょう。そのとき、母のお手伝いをして、いい子になって、もっと愛されるようにふるまうかもしれないし、あるいは小さく息をひそめて、母の邪魔をしないように、余計なことをしないでおこうとするかもしれません。これも補償ですね。
そのように私たちは何か心地悪くなったり、緊張したり、不安になったりするような状況に出くわして、身体がきゅっと萎縮すると、それでもその場に適応できるように、土星がはからうのです。
そして、そのようにして身につけたパターンを、似た状況がやってくると、私たちはほとんど反射的に繰り返してしまいます。
機嫌の悪い上司や彼氏を目の前にすると、つい母とのパターンを思い出して、相手が心地よくなるように、彼らの求めているものを無意識に演じてしまうか、あるいは黙ってなるべく刺激しないようにしよう…と小さく引っ込んでしまうかといった、当時の同じような行動を再現してしまうということですね。
私たちはこういったパターンを、さまざまな傷ついたり、居心地悪かったりした経験から、無数に作り出していて、それらが複雑に無意識のうちに働き、現在進行形のさまざまな状況や関係性のなかで、心地悪い雰囲気を感じた瞬間に、あるいは心地悪さを感じないように事前に、ほとんど反射的にそれらを再現しています。
個人にとっての土台の変容とは、この無意識に身につけてしまった構造の変容です。人格構造を作り替えることでもあるので、そう簡単にはいきません。それこそ、冥王星の一星座に滞在する周期…今回であれば16年ぐらいかかるでしょう。
まずはパターンに気づく必要があるのですが、そのためにまず自分が落ち着いた状態にあって「自身をしっかり見ること」から始まります。
山羊座土星の向かいには、蟹座の月がありますが、それは私たちの感じる器であり、命を育む母体です。
緊張して、不安になって、萎縮して、ぎゅっとなってしまった感情を受け止める心。感情が揺れたとき「おかあさん~」と甘えて、抱きしめてもらうと、安心して、泣いてぐずることができたように、そして、そうすることで頑なぎゅっとしていたものがほどけて、ふーっと深呼吸できるようになったように、私たちは蟹座の月で自分の心を抱きしめることができます。
まずはそこにあるものを受け止めて、しっかりと感じて、感情を味わい尽くすことで、私たちは自分自身の源である母船に触れることができるのでしょう。
その母船は愛の源、力の源であり、豊かさの源、好奇心の源です。私たちは自分の内側に還ることで、母船に帰還し、そことのつながりを感じることができます。
誰かを愛おしいと感じたとき、私たちは自分の内にある愛に触れています。豊かで美しいものを見たとき、私たちは自分の内にある豊かさと美に触れています。
私たちは外にあるものに反射させて、内にあるものを感じます。月は外なるものに反映させることによって、中心にある太陽の光を覗き込むのです。
しっかりと自分の中心にくつろいで、愛や力や豊かなものが満ちていることを感じるとき、古くからのパターンで反射的に対応することから一拍おいて、新しいやり方でつながることができるかもしれません。
安心して、愛と信頼が満ちているときは、外側で起きていることや、目の前にいる人に対しても、ずっとやさしくなれるでしょう。
それは自分が何を持っているかとか、いないかではなく、何ができるかとか、できないでもなく、ただ自分自身とのつながりを深く感じていることから起こります。
山羊座冥王星期の終盤に、私たちはいま、自分の作り上げた構造を変えて、新しい時代に臨むことができるときかもしれないなと感じます。