オンラインで「愛の予備校」という六回連続の講座が始まりました。人間関係で働いている、さまざまな占星術の惑星をひとつずつピックアップして、じっくりと探求し、自己理解を深めるという、なかなか面白い試みです。
第1回目は水星でした。「水星って、知識とか、コミュニケーションとか、情報でしょー」といえば、そうなのですが、なかなか奥が深いです。そもそも人間関係の誤解や行き違いは、ほぼコミュニケーションによって発生します。
同じ水星のタイプって、話が早いんですよね。あまり説明しなくてもツーカーで伝わるし、思考の傾向や、見ている方向が似ているので、多くをわかり合えます。
逆に水星のタイプが異なっていると、情報処理の方法や速度、物事の表現がズレるので、一生懸命に説明しているのに、なかなか通じ合わないということが起こります。
水星はおおまかに「大量の情報を一気に扱うことが得意なタイプ」と「正確に情報を精査することが得意なタイプ」とに分かれます。
前者は情報処理が非常に速いので、同時進行でいろいろな作業を進めたり、複数の会話を進めたりできるので、大勢でのパーティーの会話も楽しめます。むしろゆっくりと間延びして、行き交う情報量が少ないと退屈して、別の面白いものを求めて、よそに気が移ってしまいます。
後者はパパッと返答するのが苦手で、それがどういうことなのか、じっくりと自身の内側に落としこんで考えて、なるべく正確に応えたいので、少人数でひとつのテーマについて掘り下げることを好むでしょう。基本的にシングルタスクで、ぎゅっと集中して物事に取り組みます。
もちろん、必ずしもどちらかになるというわけではなく、エレメントやサインやハウスやアスペクトによって、さらに個性が細分化されますし、前者のタイプでも正確性を極めていけますし、後者のタイプでも作業に慣れると素早く同時にこなせるようにもなっていきます。
しかし大別すると、このふたつのタイプは「気が合いにくい」傾向にあります。前者にしてみると、後者は退屈でゆっくりで情報がなかなか出てこないから何を考えているのかよくわからないし、後者からしてみると、急かされることで尊重されていなかったり、ないがしろにされている感じがして、心地悪く、疎外感を感じることがあるかもしれません。
そんな差があるのだから、親子のタイプが異なると、お互いにわかり合える感じがせず、誤解が生まれたり、愛を感じられなかったり、話が通じなかったりすることが起きてしまいますね。
さらに「水星の逆行生まれ」という人もいるわけですが、これは「より深く狭い情報処理」となります。水星は一年に三回、三週間ずつ逆行するので、それなりに逆行の人も混ざります。
自分の内側にじっくりと落としこんで、深く感じながら考える逆行タイプの人は、自分の世界に入り込むので、独特の間があったり、その場でパパッと理解して答えるということができなかったりすることがあるでしょう。
特に水星期に該当する7~15歳は、親や教師や友人とのコミュニケーションで、しばしば齟齬が発生したり、理解されている感じがしなかったり、はっきり答えられないため「何も考えていない」と誤解されることが起きたりしたかもしれません。
私は水星が蠍座で逆行なので、ほんと、成人する頃までのコミュニケーションは大変でした。牡羊座水星の母親が、喋るのも、決めるのも、行動するのも速く、ポンポンまくしたてるのにいつも圧倒されて、こちらの話を聴いてもらえず、わかってもらえている感じがしないことが多かったです。
水星逆行生まれの良いところは、深く狭いので、専門家に向いているところでしょうか。学者や作家にも多いです。オタク体質ですね。
パートナーと大事な話し合いをするとき、テンポの速い会話が得意なタイプは、相手からの素早いレスポンスがないと「私のことは、どうでもいいの?」「私たちのことを何も考えてないの?」と誤解してしまうかもしれません。
逆にじっくりと話すことが得意なタイプは、どんどん話が進行していき、矢継ぎ早に質問されると、それについてしっかりと考えられなくなって、居心地が悪くなったり、口がはさめず黙り込んでしまって、尊重されていないような気分になることがあるでしょう。
そして、それぞれの水星の傾向の背後には、その人がコミュニケーションにおいて大切にしている、各自のニーズがあります。それは「つながりを感じること」だったり「思いやりを持つこと」だったり「流れがあること」だったり「自分の感覚につながること」だったり「誠実であること」だったりと、実に多彩です。
自分の水星の傾向を自身で理解することはもちろんですが、パートナーや子どもや仕事仲間など、人生のかなめとなっている相手が、どんな水星の傾向を持っているのかを理解することは、対人関係の相互信頼における第一歩かなと思います。