キロンの季節 | ***Walk on the light side

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銀河に煌く星たちのように

2022年が明けて1週間が経とうとしていますが、いかがお過ごしでしょうか?

 

冬至図の雰囲気から、この冬の三か月はまた感染症が増えそうだな…と思っていたのですが、にわかに急増しつつありますね。

 

木星が魚座に入り、海王星に向かっている、このしばらくのあいだは混沌が深まる時期でもあります。

 

感染症の拡大と共に普段は無意識の領域にしまいこんでいる、さまざまな感情があふれてきやすいときでもありますね。

 

それらの感情をハートのなかに招き入れて、共に過ごすことが、大いなる癒しと慈悲にもつながる時期ですから、健康に留意しつつ、ご自身の心と共にお過ごしください。

 

また、先日は山羊座の新月でしたが、依然として山羊座に太陽・金星・冥王星が通過している影響で、寒々しい感情や生々しい痛みを感じやすいときでもあります。

 

実にセンシティブな冬だな~と思います。ザビエが年末のライブのときに、この配置を「ラブ・イン・ウィンター」と表現していたのですが、山羊座の月を出生で持っている私は、この感覚が嫌いではありません。

 

内側を静かな孤独が駆け巡るような、世界の温かくてやさしい場所からぽつんと切り離されてしまったかのような、どうしようもない自然の厳しさを前に成すすべもなく立ち尽くしているような。

 

ちょうど小惑星の講座があるので資料をまとめていたのですが、小惑星キロンがぴったりの季節だな~と思いました。

 

 

傷ついたヒーラーとして知られる賢者キロンですが、彼の苦悩は毒矢を受けたときではなく、出生に起因しています。

 

クロノス(土星)から、牝馬に化けて逃げ隠れていた精霊のフィーリア。しかしクロノスに見つかってしまったうえ、馬に変身した彼に犯されてしまいます。

 

クロノスは生まれた我が子を食い尽くしてしまうため、フィーリアはそんなクロノスの子を産むことに耐えられず、神々に懇願してみずからを樹に変えてもらいました。

 

クロノスはいつか自分を殺すことになるであろう、息子のゼウスを探しに行ってしまいます。

 

そうして誰にも望まれないまま生まれ、母も父もいなくなってしまった、キロンは赤ちゃんのまま、ひとりで放り出されたのでした。

 

彼はその後、アポロ(光)という名の羊飼いに養育されて、賢者となりますが、やがて弟子のヘラクレスの毒矢を誤って受けてしまい、治すことも死ぬこともできずに苦しみます。


彼にできたことは唯一、苦しみを受け入れて、その苦しみと共にいることだけでした。

 

この物語を見るとき、ヘラクレスの毒矢は、もともとキロンの中にあった出生の傷…世界から見捨てられたところから始まり、彼の決して消えることのない痛みを浮き彫りにしたのだろうと思います。

 

キロンはヒーラーとなって、多くの英雄たちを助けたけれど、決して治すことのできない、みずからの内にある傷を、ただその痛みと苦しみと共にいることで、真のヒーラーになったのではないかと感じるのです。


ラブ・イン・ ウィンター。


冬の季節にキロンの傷と痛みを思いながら、過ごしています。