以下の記事は2024年1月に掲載した記事を、2024年2月に加筆したものです。

最新の情報はリンク先、あるいは行政サイトで確認ください。 (筆者)

 

 

 私のようなマネー系のブログを見ている方なら常識、基礎知識としてご存じの方も多そうですが、改めて住民税非課税世帯についてまとめてみようと思います。

 行政施策上、助成対象として対象者を絞るときによく使われるのが、生活保護世帯(準じる世帯を含む場合もあります。)、あるいは住民税非課税世帯です。逆に言いますと、住民税非課税世帯になるといろいろと行政サービスを受けられる機会が増えて得だということになるわけです。

 なので、これまでに住民税非課税について、いくつかのブログを書いてきました。

 

 

 そこで、コメント「非課税世帯とそうじゃない場合、支払う税金その他がずいぶん違うとどなたかのブログ記事で読みました」といただいたこともあるので、今回住民税非課税世帯の恩恵をまとめてみようと思った次第です。

 

 

  住民税非課税の基準

 既報でも紹介していますが、住民税の非課税基準について書いておきます。

 住民税は人頭税的な「均等割」と所得に応じてかかる「所得割」があります。住民税非課税世帯とはこのどちらも0円であることが必要です。通常「所得割」がかかる方は「均等割」がかかります。「均等割」を免除してもらう方がハードルが高いです。

 

均等割免除の基準は以下の通りになっています。

  1. 生活保護法の生活扶助を受けている
  2. 未成年者、寡婦、ひとり親、障がい者のいずれかで前年の合計所得が135万円以下である
  3. 前年の合計所得が区市町村の条例で定められた額以下である

 生活保護を受ける方は通常所得が小さいので、2または3の基準も満たしてしまいます。なので、ここでは2と3について記します。2も3も基準となるのは「合計所得金額」という指標です。

 

 合計所得金額とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、雑所得、総合課税の短期譲渡所得、一時所得及び総合課税の長期譲渡所得(2分の1後)の所得金額を合計した金額(純損失または雑損失などの繰越控除を適用する前の金額)のことをいいます。要は所得ほとんど全てを足したものということになります。

 それぞれの所得は経費(もしくはそれに相当する控除)を差し引いた後の金額になります。たとえば給与所得であれば、給与所得控除を差し引いた後の金額を用いて計算します。給与収入130万円の方は、給与所得控除が55万円あるので給与所得は75万円などということになります。

 

 3について、住民税非課税は本来は市町村の条例で決まるので一律では無いはずですが、総務省が基準を定めているのでほぼ全国同じになっています。(実際関西圏の一部自治体で基準が異なっているようです)、

 その基準は、生活保護の級地区分(→リンク)で異なるのですが、

 

合計所得金額 ≦ 35万円 ×乗数(1級地=1、2級地=0.9、3級地=0.8)× 世帯人員数 + 10万円 + 21万円

 

となっています。

 ある程度の主要都市、政令都市のような街では1級地になります。

 老後をイメージすると、収入は年金になろうかと思います。国民年金や厚生年金など公的年金を受給する場合は、公的年金等控除があり、差し引いて雑所得を計算します。年金収入は雑所得に分類されます。当年1月1日現在65才以上の場合は、年金収入だけの場合、夫婦の稼ぐ方で211万円、単身または夫婦の稼がない方で155万円が非課税世帯となる年金収入の限度額です。

 

  住民税非課税世帯になると得になることは?

  それでは、非課税世帯が課税世帯に比べて得になることを改めて整理していきたいと思います。
 

 住民税の均等割がかからなくなる。

 住民税非課税の定義そのものですが、年間5000円安くなります。

 介護保険料が安くなる。

 介護保険料は市町村によって異なりますが、課税区分で保険料が変わります。

 たとえば東京都足立区の場合、夫婦ともに課税の場合(課税で最も安い区分)と夫婦ともに非課税に場合(非課税で最も高い区分)の差は、2人分で年額48480円です。(→リンク

 

 

 

 介護保険における自己負担額

 非課税世帯の場合、1割負担になります。(→リンク(足立区の事例))

 ただし合計所得金額160万円未満は同じ1割です。合計所得金額は上記を参照願います。

 

 介護保険における施設サービス利用料負担額の軽減

 ここでいう施設サービスとは、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院のことです。

 課税世帯には軽減策はありません。非課税世帯にのみ軽減策があり、非課税に加えて、本人の預貯金等が500万円以下(配偶者がいる場合は夫婦合わせて1,500万円以下)の制限があります。非課税だけではだめなんですね。

 

 また所得等によって4分類されて軽減額が異なっています。

 例えば東京都足立区で(→リンク)、本人の合計所得金額と年金収入額の合計が120万円超となる第3段階2という分類の場合、従来型個室の利用の際にかかる利用料が基準額1日1668円に比べて、1310円となり、1日358円、1ヶ月で11000円程度軽減されます。

 食費は1日1445円のところが1日1360円になり、1日85円、1月で2500円程度の軽減になります。

 なお例示した分類よりも、もっと所得の少ない方は、軽減額が大きくなります。

 

 ここで、配偶者が別居であっても(市町村が異なっても)、配偶者も非課税である必要があります。

 

 また預貯金等には、預貯金等(定期預金も含む) 、 有価証券・投資信託、評価額が容易に把握できる貴金属(積立購入を含む) で、負債(借入金・住宅ローンなど)は控除できます。

 簡単に現金化しづらい資産は省かれています。具体的には、不動産とか生命保険ですかね。ぎりぎり境界ラインにある方は手だてを考えられそうです。

 
 

 

 

 介護保険における高額介護サービス費

 同じ月に利用した介護保険サービスが限度額を超える場合、高額介護サービス費として支給されます。この限度額が課税世帯の月44500円(以上)から24600円に軽減されます。(→リンク・足立区の場合)

 

 

 

 

 高額医療・高額介護合算制度

 高額医療・高額介護合算制度は、世帯内で、医療保険と介護保険の両方を合わせた自己負担が、限度額を500円以上超えた場合、申請すると超えた分を支給されるものです。ただし、同じ世帯でも、それぞれが異なる医療保険に加入している家族の場合は合算されません。

 

 非課税世帯となることで、この限度額が低減されます。

70歳未満の場合 年額60万円(以上)→34万円

70歳以上の場合 年額56万円(以上)→31万円(以下)

(→リンク・足立区の場合)

 

 家族介護慰労金

 重度の要介護認定者を主に家族で介護している方を対象として、家族介護慰労金を支給されるものです。ここでも非課税世帯が出てきます。

 以下は東京都足立区の場合ですが、多くの自治体でこの制度はあるようですが、支給額など子細が異なる場合があるようです。

 

次のすべてに当てはまる方を、在宅で主として介護している家族の方へ支給されます。

(1)1年間継続して要介護4または5に認定された方

(2)1年間継続して介護保険のサービスを利用していない方(ただし、7日以内のショートステイ、福祉用具購入、住宅改修の利用を除く)

(3)区民税非課税世帯の方(介護している家族の方も区民税非課税世帯であること)

(4)3ヶ月以上の長期入院をしていたときはその期間を除算し、在宅の期間が通算して12カ月あること。

(5)介護保険料を滞納していない方

支給額=年額10万円

 国民健康保険の自己負担額(上限)・入院時食費の低減

 非課税世帯になることで、国民健康保険の自己負担額が低減するほか、入院時の食事代も低減されます。

 

  高額療養が過去12カ月間に一つの世帯で3回目まで 月57600円(以上) → 35400円

  4回目以降 月44400円(以上) → 24600円

  食費90日まで 日440円 → 210円

  食費91日から 日440円 → 160円

 

 仮に1年間入院し続けると35万円ぐらい変わってきます。

(→リンク・足立区の場合)

 

 

 

 後期高齢者医療加入者の自己負担額

  • 住民税非課税世帯は1割負担になります。

 

 難病医療費助成の増額

 難病医療費の自己負担上限額が非課税世帯の場合、低減されます。

 東京都の場合は、月10000円→5000に自己負担が軽減します。(→リンク

 

 

 

 B型・C型ウイルス肝炎治療医療費助成制度

 

 医療費の自己負担上限額が非課税世帯の場合、低減されます。

 足立区の場合は、月10000円がに自己負担なしに軽減します。

 なおほかの自治体に同様の制度があるか確認はできていません。

https://www.city.adachi.tokyo.jp/hoken/fukushi-kenko/kenko/kanen.html

 

 

 

 児童保育室の保護者負担金

 このブログの主な対象としてる老後世帯には関係は薄いと思いますが、児童保育(学童保育)の利用料(保護者負担金)が安くなります。(足立区の場合)

 月5000円が月2000円になります。

 

 認証保育所保育料負担軽減

 このブログの主な対象としてる老後世帯には関係は薄いと思いますが、東京都認証保育所を利用の方を対象に、保育料の負担軽減があります(足立区の場合)。非課税世帯の場合、全てのケースではありませんが、課税世帯に比べて助成上限額がアップします。

  • 例えば、0歳児から2歳児の保育の必要性の認定があり、第1子の場合、課税世帯、月40000円→非課税世帯、月67000円

 

 0歳児から2歳児の幼児教育・保育の無償化

 住民税非課税世帯の0歳から2歳児クラスまでのお子さんの幼児教育・保育が無償化になります。
(3から5歳児は課税世帯も無償化の対象)(リンク→足立区の場合)

 他の区屋市町村の状況までは把握できていません。

 

 

 自立支援医療(精神通院)の自己負担額の提言

 住民税非課税世帯は「低所得1」もしくはて「低所得2」に分類され、月の医療費負担が2500円または5000円になります。

(→リンク)

 

 

 障害者のいる世帯のNHK受信料の減免

 住民税非課税世帯だけではダメで、加えて障害者がいることが条件です。(→リンク)

 

 

 その他

 見つかり次第適宜追記します。

 

  臨時の施策で住民税非課税世帯が基準とされたもの

 臨時の施策(大体は一回きり)の施策で住民税非課税世帯を基準とされたものです。全国に均一な基準で決まっているものもあれば、国としては交付金や補助金で処置して、実施は都道府県や市町村に任せたものも多いようで、市債は市町村によって異なっているものもあるようです。

 ホームページに資料が必ずのしも遺されていないものもあるので、報道ベースのものを根拠として記述したものもありますので、ご容赦ください。

 

 

 住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金

 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、様々な困難に直面した方々が、速やかに生活・暮らしの支援を受けられるよう、住民税非課税世帯等に対して、1世帯当たり10万円の現金給付を行ったもの。

 以下は足立区(→リンク)の事例です。

  • 実施時期 申請期限:令和4年9月30日
  • 対象1(令和4年度住民税非課税世帯) 

    以下の基準を満たす世帯

    • 令和3年12月10日時点で、いずれかの市区町村の住民基本台帳に記録されている世帯
    • 令和4年6月1日時点で、足立区の住民基本台帳に記録されている世帯
    • 世帯全員の令和4年度分の住民税均等割が非課税である世帯(生活保護世帯含む)
    • 世帯の全員が、住民税が課税されている他の親族等の扶養を受けていないこと
    • 既に令和3年度住民税非課税世帯・家計急変世帯として本給付金を受給した世帯または当該世帯の世帯主であった者を含む世帯は除く(未申請・辞退を含む)。

       ※同一世帯に、住民税が課税となる所得があるのに未申告である方がいる場合は、対象外

       ※租税条約による免除の適用を届け出ている方は、対象外

  • 対象2(令和3年度住民税非課税世帯)
    以下の基準を満たす世帯

    • 令和3年12月10日時点で、足立区の住民基本台帳に記録されている世帯
    • 世帯全員の令和3年度分の住民税均等割が非課税である世帯(生活保護世帯含む)
    • 世帯の全員が、住民税が課税されている他の親族等の扶養を受けていないこと
    •  ※租税条約による免除の適用を届け出ている方は、対象外

       

  • 対象3(家計急変世帯)
    以下の基準を満たす世帯

    • 令和3年12月10日時点で、いずれかの市区町村の住民基本台帳に記録されている世帯

    • 新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少していること

    • 令和4年1月から令和4年9月までのいずれか1か月の収入を12倍した額が、住民税非課税水準であること(世帯全員がそれぞれ住民税非課税水準)

    • 住民税非課税世帯向けの臨時特別給付金(10万円)の対象世帯または当該世帯の世帯主もしくは世帯員であったもののみで構成される世帯ではないこと

      • 令和4年6月1日以降の、同住所における親族の世帯分離は同一世帯とみなし、一方の世帯へのみ支給。

      • 原則、住民税が課税されている者の扶養親族のみからなる世帯は除きます。

  • 支給額 世帯あたり10万円

 物価高騰支援臨時給付金

 令和5年11月2日に総合経済対策が閣議決定され、11月29日には国会で関連の補正予算が成立したことに伴って支給されたもの。(リンク→足立区の場合)

  • 対象は令和5年度住民税非課税世帯
  • 支給額 1世帯あたり7万円

 物価高騰支援臨時給付金(追加分)

  • 上記の令和5年度住民税非課税世帯(A)に対する7万円給付に加え、新たに令和5年度住民税均等割のみ課税世帯(B)に対する10万円給付、並びに18歳以下の児童がいる(A)(B)の世帯に対しては、児童1人あたり5万円加算分の追加支給等を実施
  • 足立区独自の事業かまでは確認できていません。

 

 

 低所得妊婦に対する妊娠判定費用の助成

  • 妊娠判定に要する費用(初回の産科等受診費用)の一部を助成(→リンク)
  • 足立区独自の事業かまでは確認できていません。
  • 上限10,000円(一度の妊娠につき一回まで)

 

 気候変動適応対策エアコン購入費補助金の上限額アップ

  • 対象となる方の上限額が4万円から7万円に変わります。(→リンク)
  • 足立区独自の事業かまでは確認できていません。

 

 

 

 

  住民税非課税世帯とは別の基準で減免等があるもの

 以下のものは住民税非課税世帯で減免等が決まっておらず、別基準で決まっているものです。

 サイトによっては非課税だと・・・に分類されているものもありますが、調べた範囲では別の基準です。ただし、収入や所得に応じて基準が決まっていますので、減免の対象となる方は住民税非課税のケースが多いようではあります。

 

 

 国民健康保険の保険料

 

 

 後期高齢者医療保険の保険料