年金いつからもらいますか?

 ここでいう年金は老齢年金を指しています。障害年金とか遺族年金とか、いつからもらうかの選択権がないので。除外して考えてみます。特に、厚生年金をいつからもらうかが焦点かと思います。iDeCoをいつからもらうべきかを別記事(→リンク1リンク2)でかいていましたが、そんなのは全体の年金額からすれば小さな話で、ここでは本丸の国民年金、厚生年金の話を書いてみたい後思うのです。

 先輩のみなさん、みなさんはどうやって決められたのでしょうか?

 

  うちの親の場合

 ちなみにうちの親は2人とも繰り上げて受給しています。60歳ぴったりでは無いですが、それに近い年で、年金事務所に行けたときにそのまま繰り上げ受給していました。「もらえなかったら損」の単純な考えですが、両親ともに金回りは良くなかったので、月額を上げて、なんなら繰り下げて年金額を増額した方がいいのではとさえ思っていましたが、特に子ども(=私)にはなんの相談も無く、事後報告でした。別に私の年金で無いですからいいんですけど。

 結果的に父親は77で亡くなり、繰り上げ受給で得した口でした。母親は78歳存命中ですが、月々の受給額が小さいので住民税非課税の恩恵を受けています。さらに母親の老齢年金が小さくなったおかげで、非課税の遺族年金はその分多く受給できているわけで、繰り上げ受給したことは、今となっては理にかなっているとも思います。

 

  私の場合

 ぶっちゃけて私の場合ですが、、たとえば60歳の3月まで後10年。

 今のところに勤めるとすると、65歳からは年額2,598,160円もらえるらしいです。

  月平均で21万円少々。もちろんここから税金やら、社会保険料が引かれていきます。それでも他人様並みには年金がもらえる予定になっています。なお試算してもらったのは2年ぐらい前で、今計算すると若干変わるとは思います。
 
 ところで老後生活は比較的長期にわたります。ここで老後生活は年金が収入の土台となって、貯蓄額を切り崩しながら生活する期間と考えると、65歳ぐらいまではなんやかんやで少し勤労収入も得られて、と考えるといったいいつから年金をもらうといいのでしょうか。
 考えられる案としては、
  1. 59歳の3月でやめて、(失業保険ももらった後に)、60歳から繰り上げて年金をもらう。
  2. 60歳の3月(役職定年)で職場を辞めて、繰り上げて年金受給を始める。
  3. 60歳の3月(役職定年)で短時間雇用に移行して、繰り上げて受給を始める。
  4. 60歳の3月に役職定年となった後、そのまま勤務を続けて、65歳のに誕生日前で職場を辞めて、65歳となる月から年金受給を始める。
  5. 60歳の3月に役職定年となった後、そのまま勤務を続けて、65歳の3月(定年)で職場を退職して、年金受給を始める。

という感じになりそうなんですよね。

 

 今の職場は65歳の3月定年ですが、60歳の3月に役職定年があり、給与が下がります。ただ下がった給与で額面年収650万円ぐらいの見込です。年金を受給すると、おおよそ給与と年金の合計が年間550万円以上の場合、厚生年金額が支給停止(削減)されます。私の場合、給与だけで年間550万円を超えてしまい、支給停止額は毎月9万円ぐらいになり、年間で100万円を超えます。、そのため働きながら年金をもらうという選択肢がとれません。(仕組み的にはとれますが、もったいなくて選択できないです。)

 ここで正確には給与と年金は月単位で計算して、給与は厚生年金保険の総報酬月額相当額(=(その月の標準報酬月額)+(その月以前1年間の標準賞与額の合計)÷12)、年金は厚生年金保険の基本月額(=厚生年金額加給年金額を除いた老齢厚生(退職共済)年金(報酬比例部分)の月額)で計算されます。(→日本年金機構HP)

 

  年金の繰上繰下げ

 

 改めて、年金の受給につて簡単に記すと、通常の支給は65歳の誕生月翌月から死亡月までです。最大60ヶ月、60歳1ヶ月から、前倒しで60歳以降の任意の月から繰り上げ受給できます。また66歳から75歳までの任意の月から繰り下げ受給もできます。
(65歳から66歳の間の繰り下げはできないようです。)

 繰り上げると1月当たり0.4%減額、繰り上げると1月当たり0.7%増額になります。60才までめいっぱい繰り上げると24%減額されて、75才までめいっぱい繰り下げると84%増額となるのです。(なお収入の高い人は異なります)

 

 ではいつからもらうのか、考えないといけない点はたくさんあります。

老後が不安だとか、一方若い元気なうちにもらわないと使えないとか。

でもなんだかんだいって結局は、どれが得か。の1点に議論は絞られるのではないかと思うわけです。

しかしこれが難しい。

 

 

  いつまで生きるか、年金を受給できるかはわからない。

 

 年金の受給を考えるにあたって、はじめに、受給者各々の寿命は亡くなるまでわからないことです。一般に女性の方が男性より長生きします。標準の年金支給開始年齢である65才時点での平均余命は令和3年現在で、男性が19.85年、女性が24.73年です。一方、もらえる期間の期待値が違うのに、年金額は男女で同じです。よって、単純には、ほかの制度ののことを考えずに考えると、男性が早めに、つまり繰り上げて、女性が遅めに、繰り下げてもらった方が得ということになります。夫婦共稼ぎ、どちらもそれなりに稼いで、厚生年金もある。というダブルインカムの場合は、この通りです。特に遺族年金はもらえなくなるので、夫婦の給与差が無い場合、少ない場合が該当します。

 

 ところが、世間で多いのは夫が稼いで、妻が補助的に働く、あるいは専業で主婦をするというケースで、この場合は事情が違ってきます。ここでの着目は、厚生年金(老齢年金、遺族年金)の金額になります。

 先に書いたとおり、確率論的には男性が早くに亡くなります。未亡人となった配偶者には遺族厚生年金が支給されます。先に書いた平均余命の差から概ね5年間受給となると平均的は考えられます。(繰り返しですが、実際のケースは体調次第で、バラバラです。)

 この遺族厚生年金の支給額は、亡くなった配偶者の老齢厚生年金(の大部分を占める報酬比例部分、以下も同じです。)の4分の3から老齢厚生年金を引いた額、もしくは亡くなった未亡人の老齢厚生年金の2分の1と未亡人の老齢厚生年金の2分の1の合算額から老齢厚生年金を引いた額になります。(→日本年金機構

 

 ダブルインカムだと未亡人の老齢厚生年金が多額で、亡くなった配偶者の老齢厚生年金より大きければ遺族厚生年金はもらえませんし、未亡人の老齢厚生年金が小さくてもその差が少なければ、その差の2分の1しか遺族厚生年金はもらえないので、金額が小さく、遺族厚生年金云々の話は無視するというのも一つの考え方です。

 

 通常の場合、つまり夫婦間年金額の差があって、遺族厚生年金の対象となるような場合、老齢厚生年金は所得税や住民税では雑所得として課税対象ですが、遺族厚生年金は非課税です。遺族年金の計算においては亡くなった方が老齢年金で繰り上げようが繰り下げようが遺族年金の計算には反映されません。なので、遺族年金の計算では未亡人の老齢年金額を差し引くので、老齢年金額が小さく方が遺族年金額はその分大きくなります。合計額は額面上は変わりません。しかし遺族厚生年金は非課税なので、遺族厚生年金の割合が大きい方が、取られる税金(国民健康保険、後期高齢者医療保険の場合はその保険料も)は小さくなります。そうすると、繰り上げて自身の老齢年金額を小さくしておいた方が、遺族年金の額は大きくなるのです。

(面識の無い方のチャンネルですが、このyoutubeの解説(特に最後の部分)がわかりやすいです。→リンク)

 

 そうすると、一つの考え方にはなるのですが、年収が在職年金制度に係らない程度に、つまり厚生年金と給与合わせて年間550万ぐらい下がった時点で、できるだけ早く繰り上げ受給するという方法は選択になると思います。

 

 年間にもらえる年金が小さくなると、累進課税なので所得税が安くなります。公的年金控除は所得によりますがほぼ一定(所得税は当年12月31日現在、住民税は前年12月31日現在65才以上で年間110万円)なので、年金を早くもらうと生涯合計での公的年金控除も大きくなり、税金の累計も安くなります。

 連動して国民健康保険料や後期高齢者医療保険料が安くなります。さらに介護保険料も所得連動なので安くなります。というに所得が小さくなると、大幅に安くなります。医療保険でも限度額は前年所得で決まるので、自己負担が小さくなる可能性があります。

 

  結論としてはいつまで給料を稼げるか、あるいは稼ぐか。


 結局行き着くところはいつまで一定の年収を得る働き方をするか、あるいは受動的に働けるか。で決まると考えます。寿命もある中、厳しい選択です。

 私の場合まだ10年弱猶予がありそうなので、体調や財産を見ながら、もう少し考えてみたいと思います。