『2年生存率０％を生き抜いて』
28歳で腎臓の希少がんに罹患。
22年前の発病当時、
一番の希望は生の体験談でした
発病からの生還記録を綴っています。
少しでも生きる力となりますように。
抗がん剤治療の副作用で髪が抜け落ち、
まだ生えてきていないとき。
当時、写真を撮る心の余裕もなく、
退院後、友人の結婚式でのこの写真が
治療時に一番近いです。
1999年10月14日に、
左腎摘出手術。
2クールの化学療法を経て、
12月24日退院。経過観察に入る。
詳しい診断名は、
腎臓の未分化原始神経外胚葉性腫瘍、
現在はユーイング肉腫ファミリー腫瘍。
当時、２年後生存率0%。
2000年10月、
早くも仕事復帰したものの、
体調悪化で退職を決意。
その後は
国内外で養生生活を送り、
2002年12月、
宮崎へ移住。
ここで元気になっていくはずが、
宮崎で腸閉塞を繰り返す。
NPOを応援するNPO。
ぼくは代表になりました。
これで療養生活に終止符を打ち、
親を安心させられる。
これから“良いこと”をしながら、
日本を変えていく。
しかし体調はどんどん悪化。
その様子は前回↓↓↓
あなたのことを信じるよ
2004年6月、
人生を変える出会いが訪れたのです。
ＮＰＯの代表として
活動を始めたもの、
体調は急降下、
人が自分からどんどん離れていっていきました。
それでも前を向こうと、
NPOの賛同者を増やす目的で、
経営コンサルタントの
Uさんの勉強会に参加しました。
勉強会のテーマは
「フリーペーパー」。
フリーペーパーが
どのように経営として
成り立っていくかということを
わかり易く教えてくれました。
ぼくは自分のNPOにどう生かそうか、
そんな視点からUさんの話を聴いていました。
この「フリーペーパー」の話が、
何となく、心から離れませんでした。
勝手にイメージした
フリーペーパーの映像が、
頭の中に浮かんでは消え、
また浮かんでは消えて･･･。
勉強会終了後懇親会で、
ぼくは講師のUさんに、
いつものように
NPOへの協力をお願いしました。
「いろんなところから話は聞くけど、
問題が多すぎて、
ハッキリ言ってそのNPOは賛同できない」
「そ、そうですか。
とても残念です
」
「だけどね、杉浦くん。
あなた個人としてなら応援するよ。
杉浦くんならできる気がするんだよ。
あなたは人にできない何かを持ってるよ」
ぼくならできる？
自分にしかできないことがある？
いろんな感情が、
思考が、頭を駆け巡りました。
「自分でやるんですか？一人で？」
「そうだ、
もう誰かに寄りかかるんじゃなくて、
ちゃんと自分の足で立ってやれよ！
絶対できるよ！
なんでもっと自分を信じないんだ！」
「オレは杉浦くんを
信じることができるよ！」
真剣な眼差しで語るUさんの言葉は、
ぼくの心に深く突き刺さりました。
居酒屋でたくさんの人に
囲まれていましたが、
ぼくは憚らず大粒の涙をこぼしました。
「杉浦くんを信じるよ」
この言葉が自分の中で
何度もリフレインされて、
涙がとめどなくあふれ出てしまいました
「あなたを信じる」
この言葉ほど、
人を勇気付ける言葉はありません。
他人が信じてくれているのに、
自分で自分を信じないわけにはいかなくなる。
もっと、自分を信じよう。
もっと、自分を頼ろう。
ちゃんと、自分の足で立とう。
その器も力もないのに、
「NPOの代表」になり、
そこに寄りかかっていた自分がいました。
利用されていたかもしれませんが、
自分も「NPOの代表」の肩書きを
利用していたのです。
親を安心させるため、
他人の評価のために、
自分の虚栄心を満たすために、
本当の自分の声に背け続け、
到るところから痛みを
発していた体も限界ギリギリでした。
しかし、
最後はやはり人に助けられました。
「頼るべきは
“他の何もの”でなく、
この“自分自身”」
何度痛い思いをしても、
堂々巡りを繰り返してきましたが、
いつもより、深く、深く、
腹に落ちた気がしました。
ぼくは自分を
思いきり抱きしめました。
「もう離さない。
今度こそ、自分を信じよう」
つづく。
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