【療養地でまさかの恋愛！？】仕事復帰～国内放浪記③

『2年生存率０％を生き抜いて』

28歳で腎臓の希少がんに罹患。

22年前の発病当時、

一番の希望は生の体験談でした

発病からの生還記録を綴っています。

少しでも生きる力となりますように。

抗がん剤治療の副作用で髪が抜け落ち、

まだ生えてきていないとき。

当時、写真を撮る心の余裕もなく、
退院後、友人の結婚式でのこの写真が
治療時に一番近いです。

前回はこちら

杉浦貴之『【体調は悪化の一途、転機になった言葉】仕事復帰～国内放浪記②』『2年生存率０％を生き抜いて』 28歳で腎臓の希少がんに罹患。22年前の発病当時、一番の希望は生の体験談でした発病からの生還記録を綴っています。少…

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【癒しの場所でトキメキ発動！】

1999年10月14日に、

左腎摘出手術。

2クールの化学療法を経て、

12月24日退院。経過観察に入る。

詳しい診断名は、

腎臓の未分化原始神経外胚葉性腫瘍、

現在はユーイング肉腫ファミリー腫瘍。

当時、２年後生存率0%でした。　　

退院後は

再発予防のための

治療法、養生法探し、

心と向き合う日々でした。

2000年4月、

早くも仕事復帰したものの、

体調悪化で療養地へ。

退院して約３か月での仕事復帰。

体調は悪化の一途

ある方の

「私が親なら仕事を辞めさせる！」

の言葉に、

会社に一週間の長期休暇を願い出て、
療養させてもらうことにしました。

向かった場所は「穂高養生園」。

穂高養生園は、
長野県安曇野市、
北アルプスの森の中にあり、
自然治癒力を高めるために、
心と体を整えるワークショップ、
食養生の指導などを行っている。

愛知県西尾市から
電車で約５時間かけて
穂高駅に到着。

電車を降りると、
清らかな空気が体に染み渡り、
壮大なアルプスが

目の前に広がっていました。

ここで体を立て直そう。

手術から１年、
ぼくは生きている・・・

が、

自分が想像していたよりも
体調は良くない。

手術後の自分のビジョンでは、
この頃には元の自分の体に戻って
バリバリ働いているはずでした。

それが仕事にはまったく付いていけず、
体調はどんどん悪くなり、
長期休暇を願い出ているあり様。

情けなくて、
はがゆくて、
下を向きそうになりましたが、

そびえ立つアルプスの山々を眺めながら、

「ここで復活するんだ！」

と自分を奮い立たせました。

穂高養生園に着くと、
そこはとても静かで
ゆったりとした時間が流れていました。

他の宿泊者とは、
同志のような感覚で

すぐに仲良くなれました。

ぼくのように療養目的で
滞在している人が多く、
皆それぞれ、心や体、
人間関係などに何か問題を抱えています。

夕食のときは、
皆初対面だというのに、
何か不思議な力で
心が解きほぐれるのか、
泣いたり、笑ったり、
とても温かな空間ができていました。

食事を終えても、
なお広間で皆としゃべっていると、
入り口のドアが開きます。

夜遅く到着する

宿泊者もいると聞いていました。

「あっ、若い女性だ！」

思わず、
ぼくは心の中で叫び、
目はその女性に釘付けとなってしまいました。

「こんなところに、若い女性が来るの？」

そこからぼくの自問自答が始まりました。
本当の自分との対話ということにします。

「お前はここに何しに来た？
　わかっているな！
　療養に来たんだぞ！
　体を立て直しに来たんだよな」

「わかってます。
　わかってますとも、キャプテン！
　でも、この胸のドキドキは
　どうしたらいいんでしょうか？」

「癒しに煩悩を持ち込むんじゃない！
他のことを考えろ！」

「他のことって言っても無理ですよ。
このときめきを止めるなんて不可能！
あなたがいちばんよく分かっているじゃないですか？」

「ドキドキも療養のプログラムに加えます。
ワクワクドキドキすることで、
きっと免疫力が上がるはずですし･･･
命の鼓動をコントロールするなんてできないっす！」

「確かにそうかもしれないな！」

現在の活動である、
『Messenger』を発行して
間もない2006年5月。

地元の愛知県西尾市で行われた
ぼくの講演会のことを、
地元のケーブルテレビが取り上げてくれました。

４分の放映時間のうち、
講演の場面で使われた言葉は、

「ぼくは女性のお尻を

　追っかけて元気になりました！」

なんと、ここだけではありませんか！

がんを乗り越え、
自分がどうやって元気になってきたか、
１時間半以上、一生懸命、
本気で伝えたのに･･･。

ショックのあまり固まってしまいました。

しかもそれが、
元気になった恩返しと
感謝の気持ちを込めた、
生まれ故郷・西尾市での
初めての講演会だったのです。

憤慨しながら知人にそのことを伝えると、

「あれが、あなたそのものよ」

えっ？（笑）。