天官賜福の中で、社交的で明るく、愛嬌ある性格が人気な風師。最後には悲しい結末を迎えてしまいます。個人的には黒水沈舟の結末もまた、とても哀しくて、切なくて、この2人にはどうしても胸が苦しくなります。

 

黒水沈舟と風師のその後について、同人文で続編のストーリーが上がっていて、内容が素敵だったので、あらすじを載せてみたいと思います。少し長いのであらすじ紹介に止まりますが、それでもボリュームがあるので数回(多分5回前後)に分けて更新したいと思います。

 

非公式のストーリーですが、公式では語られていない部分が補完されていたり、二人のその後について良い感じにまとめられているので、興味ある方がいれば是非読んでみてください照れ(天官赐福 同人文: 『双玄旅』作者:Freecia)

 

黒水沈舟と水師・風師のしがらみについてはこちらの記事↓

 

 

 

本編での二人の結末

水師(師無渡)の首を取り、復讐を果たした黒水沈舟は、長年親友として過ごした風師(師青玄)には情があって何も手を下すことはできず、法力を無くしてただの人間に戻して、人間界の皇城周辺に置き去りにします。その後謝憐と人間界で再会した際には風師は手足がすでに折れていて、風師は花城や謝憐達と、君吾が放った呪いから皇城を守るために奮闘し、黒水沈舟はその際に花城に化けて加勢し、風師扇を修理して風師に返して立ち去ります。

 

約1年後、謝憐は戻ってきた花城とともに、皇城を守った物乞い達に約束していたご飯をご馳走する食事会を開きます。師青玄は他の物乞い達も引き連れて参加し、黒水沈舟は姿を顕さずにご馳走を沢山平らげる描写があります。(二人の関係は元通りにはなれないし、お互い気まずいのでそれぞれの道を歩みながら、時折謝憐伝いでお互いの情報を少し知る、そんな未来が続くような描写だなと感じました。)

本編ではそれが二人の最後の姿なのですが、これから紹介するのは非公式のその後の二人のストーリーです。

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人間界の皇城に落とされた師青玄は、兄が目の前で惨殺された事実を受け入れることができず、呆然とあてもなく歩いていました。そして道で三人組にぶつかり、師青玄の身なりや持ち物を見るや否や因縁をつけて袋叩きにし、金目のものを全て奪い、抵抗する師青玄に数発蹴りを入れて立ち去ります。その蹴りによって、師青玄は腕と脚の骨が折れます。

 

それから数日、彼は身体の傷が原因で、高熱が出て昏睡状態に陥ります。呼吸も次第に弱くなり「もういよいよ命が尽きる頃か。そんなに苦しまずに死ねて、運が良かったのかも・・」と思ったときに、身体に冷たいものが流れ込んできて、次に目を覚ました時には熱は下がり、身体の痛みもなくなっていました。もしかしたら通りすがりの心優しい道士が、見かねて法力を注いでくれて助けてくれたんだろう、と彼は考えました。身体の痛みがなくなると次はお腹が空いてきました。「そういえば、明儀はいつもよく食べてたな・・」黒水沈舟のことを思い出し少し口元が綻びたものの、次の瞬間うつむきました。たった数日の間に、彼はたった一人の家族である兄も、長年の親友も無くしたのです。

 

しばらくしてから、元々明るい師青玄は「この場所でもう一度やり直そう」と思います。街で歩いていると物乞いがいるのに気がつき、その物乞いの隣に腰を下ろし、いろんなことを尋ねます。今いる場所はどこか、自分を襲った三人は誰か、お金がなくても住めるような場所はないか。彼は話す中でその物乞いが「阿牛」という名前だと知ります。そして、いろんな情報を教えてくれたお礼に、通りすがりの人から恵んでもらった小銭を阿牛に全て渡すと、阿牛は自分が寝泊まりしている廟に師青玄を案内しました。ボロボロで今にも倒れそうな廟の中で、老若男女何十人もの物乞いが所狭しと暮らしていました。最初は腕も脚も折れた師青玄を怪訝そうに見ていましたが、師青玄は持ち前の社交性でしばらくしたらみんなと打ち解けます。

 

廟の数十人の老若男女のために、師青玄は物乞い達に、毎日恵んでもらった小銭の一部を寄付してもらい、急ぎで必要な人のために使うことを提案します。毎日数十人が街で物乞いするので、一人当たりの寄付はわずかでも、集まれば多少のお金になります。そして、廟の横の空き地を使って、早く育ちよく売れる野菜を育て始めます。物乞いでもらってきた残飯は、成人であればありもので構わないが、廟にはたくさんの老人や子供、病気で体力がない人もいることを考えて、師青玄は野菜を売ったお金で粟(あわ)を買い、毎晩その人たちに粟粥を炊きます。

 

廟で寝泊まりするようになって数日たった頃、髭で顔の半分が覆われた「黒子」と名乗る背の高い人物が現れます。日中はほとんど見かけず夜だけ廟で寝泊まりし、ほとんど誰とも口を聞かず存在感も薄い人間でした。しかし畑仕事で人手が欲しい師青玄は彼に話しかけます。「どうしてここにやってきたの?」「家族みんな死んで、行くあてがなくてここに来た。」そう語る彼に、師青玄は自分と全く同じ境遇であることに驚きつつ親近感を持ち始めます。

 

彼の潔い食べっぷりを見て、日中は見かけないから大変な体力仕事をしているに違いないと師青玄は考えます。しばらく経つと、師青玄は持ち前の社交性で残飯を分けてくれるお店もいくつかできました。その中には、厨房の料理人と仲が良くなり、残飯ではなく、師青玄のためにわざわざ作ったものを持ち帰らせてくれる人もいました。師青玄は一日の終わりに貰ったおかずを持って帰ると、その全てを黒子をはじめ、他の物乞い達に分けました。そして自分自身は、粟粥をすすって、空腹を満たしていました。

 

元々話し上手な師青玄は、神官をしていた頃の天庭の話や、他の神官の話を時折廟のみんなに語りました。軽快な語り口調で内容もおもしろおかしく、みんな時間になると自然と周りに寄ってきて、毎日話を聞くのを楽しみにしていました。そんな様子を見て、師青玄は街で話を語ることでお金をもらう「説書」を思いつきます。

 

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できるだけ毎日更新したいと思っています。数回に分けての更新で申し訳ありませんが、宜しくお願いしますおやすみ