天官賜福には何度か読んで初めて気がつく細かい伏線がたくさん隠れています。ネタバレを含むので、まだ最後まで視聴していない方はご注意ください。

 

今回は黒水沈舟(賀玄)水師(師無渡)風師(師青玄)にまつわる伏線です。

①黒水沈舟(賀玄)が師青玄達を風水殿に呼び寄せた時に、風師(師青玄)の像は腕と脚が取れていて、水師(師無渡)の像は頭が取れていた描写がありますが、これは後の風師と水師の結末を示しています。(しかし風師の腕と脚は、黒水沈舟によるものではありません。)

 

②賀玄(明儀になりすましている)は何度かにわたって、風師(師青玄)に選択の機会を与えますが、風師は兄思いで、ことごとくお兄さんを選びます。

 

一回目:博古镇に着いて、風水殿の破壊された像を見てうろたえた時、明儀は風師に「大丈夫?無理なら離れよう」と言います。

 

二回目:風師が白話真人にさらわれて、謝憐が通霊陣でお兄さんに通報しようとした時、お兄さんに心配をかけたくないと風師は嫌がった。その時、明儀は “好。好!”(もう勝手にしろ!)と怒っています。

 

三回目:裴茗将軍が風師を東海にいるお兄さんのところに連れて行こうとした時、明儀は「行くな」と前に立って遮ります。

 

人生に「もし」はないけれど、もしどこかのタイミングで風師がお兄さんを選ばない選択をしたなら、きっと賀玄は風師を巻き込まずに、水師だけを始末したのではないか、と思います。

 

でも風師はお兄さん思いでそれができなかったのです。そして、お兄さんも最後は命をかけて弟を守ります。この兄弟愛がやはりため息が出ます。

 

こちらの記事はお兄さんの視点で書いています。良かったら合わせてご覧ください。

 

③白話真人は謝憐に「助けに来てくれる人はあなたの目の前で死ぬことになる。」と予言し、それは実際、この後の花城の死を言い当てています。(ハッピーエンドなので、大丈夫!)

 

その予言で謝憐を脅した時、花城は明義を殴りますが、初見では、その場で八つ当たりできるのは明儀だけだから殴っているように見えますが、よく読むと、この時花城はすでに明儀が黒水沈舟であり、白話真人もその分身だとわかっているので、’’よくぞ大事な人を脅してくれたな!’’という意味の殴打になります。

 

④賀玄は水師によって運命を入れ替えられずに、順調に神官になっていたら、きっととても成功した神官になっていた可能性が高いのです。

 

地師に扮して情報収集していただけなのに、祈福灯は前十名以内に入っているし、縮地千里の呪文の書き方もとても規則正しく丁寧に描かれています。

⑤謝憐が白話真人を撃退したエピソードを面白おかしく話した時、風師だけが笑って聞いて、他の誰も笑えませんでした。

 

花城は、謝憐の境遇に心を痛めて笑えないのは自然で、賀玄が扮する明儀も喜怒哀楽の表情をあまり出さないのもありますが、おそらく自分が生きていた時の人生と謝憐のエピソードが似ていたため、笑えなかったと思われます。

 

何もいいことやめでたいことがなく、打撃続きの人生だったので、自分に重ねていたのではないか...。

 

⑥花城はこの時に、白話真人に知り合いが会ったことがある、と話していますが、この知り合いは黒水沈舟のことです。

 

⑦花城は黒水沈舟も戚容が嫌いだと言っていますが、明儀と風師が謝憐のところに来た時に、明儀(黒水沈舟)はこことぞばかりに戚容を殴打しています。

 

⑧この話をしている時、菩荠観には四つの「絶」の鬼が集結していることになります。花城、名儀(黒水沈舟)、郎蛍(白無相)、戚容。謝憐はやっぱり世界の中心ですね。

 

⑨花城、謝憐、師青玄、地師が四人で風水廟にいた時に、師青玄が「“明兄,你暂时还是不要做我最好的朋友了。等我打死这鬼东西(白话真仙)你再做回来吧。」(明兄さん、しばらくの間親友になるのをやめよう。あの鬼(白話真仙)を倒してからまた親友に戻ろう。)と言いますが、その返しが“那是谁,我本来就不是。”(それ誰?元々違うし。)

 

俺は''地師''じゃないよ、という意味でもあり、元々友達じゃないし、という意味でもあります。黒水のこのあたりの会話は、二重の意味にとれるものが多く、吟味すると楽しいです。