張睿家vs張翰?!『濁流』(2017年・台湾) | 今天有空嗎?

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台湾・公視のテレビ映画『最後的詩句』↓↓↓が見たくてポチッたDVD。

 

 

 

 

↑何気にもう1つ、『濁流』という作品と2本立て&DVDとBDの両方が同梱されている、という超豪華版で、まあ、お値段もそれなりにしたわけなのですが、久しぶりに凝りに凝ったパッケージとポスター付きということで、個人的に満足しています。

 

で、『最後的詩句』を見る前に、収録されているもう1本の『濁流』を見てみたら、まあこちらも何気に『人面魚』やドラマ『次の被害者(誰是被害者』の莊絢維が監督、そして主演が張睿家、張翰と豪華で、ストーリーもとてもよくできていた!のでご紹介。

 

…というわけで、まずは予告編から。

 

[ストーリー]

1998年、萬河市は中湾石油化学工業の工場を誘致したおかげで財政が潤い、次第に都市として発展していった。だが、それは市の真ん中を流れる川の南岸だけ。川の北岸は午後になると汚染物質を含んだ南岸からの風が吹き込み、この10年余りですっかり荒れ果ててしまい、その結果若者は南岸に移り住み、土地にしがみつくしかない老人だけが残された過疎地となっていた。

 

そんな中、萬河市長選挙が近づき、北岸出身者による環境保護を求めるシュプレヒコールが上がる。中湾石油化学工業グループは長年支援してきた現職の郭文翰市長を再選させるために巨額の金をつぎ込み票集めに奔走するが、戦局はいまいち思わしくない。そこで同情票を集めるために、中湾石油化学工業の顧問、莊桑は市長の誘拐事件を起こすことに。誘拐犯を命じられたのは北岸出身で、莊桑の経営するクラブで働く石頭だった。

石頭は郭市長を誘拐すると、故郷である北岸の廃工場に幽閉する。そこはかつて石頭の実家が経営していた工場で、環境汚染により廃業に追い込まれたのだった。市長の誘拐事件はトップニュースとなり、連日メディアで取り上げられる。そんなある日、何も知らない石頭の父は不審な車が廃工場に入っていくのを見かけて後を追う。やがて建屋内に拘束された郭市長とそれを見張る息子・石頭がいることを知り…。

 

ロケハン中に彰化県の濁水川のほとりで牧羊する老婦人と出会い、なぜこの汚染された土地を離れないのかと尋ねたところ、「お金があれば他所に引っ越すでしょう。でも子供と同居するとなると、彼らに経済的な負担をかけてしまうことになります。人はどうせ死ぬのですから」と答えたとか。それを聞き、救いようのない無力感を覚えた監督は、無力な人々のために救いの道をせめてフィクションの中でも…との思いを込めて製作したのが本作のようでした。ラスト、恋人と共に萬河市を後にする石頭の晴れ晴れとした姿には希望を感じることができ、とても印象的でした。

 

多額のギャラと引き換えに狂言誘拐の実行犯に抜擢され、運命を翻弄される若者・石頭を演じるのは張睿家。相変わらずのイケメンでございます!そして財界と癒着しているがために、市長であり続けなければならない郭文翰を演じるのは張翰。すっかり中年オヤジっぷりが板について、いい味出てました。そして大企業の顧問でありフィクサー役の莊桑を演じるのは羅北安。人の好いおっちゃんも、腹黒い悪役も、どちらも演じられる名バイプレイヤーです。ほかにも石頭の父役の喜翔や票の動向を握るヤクザの親分役の吳朋奉、それに石頭の恋人役の林映唯、市長夫人役の曾珮瑜などなど実力派揃いの配役で、細部まで抜かりない、な一本でございました!