映画『售命』(2022年・台湾) | 今天有空嗎?

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2022年の台湾映画『售命』をDVDにて鑑賞。

これはB級映画か?それとも…

まずは予告編

 

 

[ストーリー]

27歳の保険会社員・阿良(傅孟柏)は「死」に憑りつかれていた。彼にとって生きるとは、ただただ時計の針を進めるだけのこと。そんなある日、阿良は偶然にも三島由紀夫の小説『命売ります』を手にし、こう考えた…どうせ死ぬなら最後に自分の命を売りに出そう!

 

こうしてオークションサイトに自分の「命」を出品した阿良だったが、世間からの反応はほとんどなかった。イライラが募る中、隣に住む陳瑜真(曾之喬)の中学生になる息子が心臓移植を必要としていることを知り、阿良は自分の心臓を提供しようかどうか悩むが、そこに謎の美人会社経営者の裁沈晶(蔡淑臻)が現れ、ある人体実験のために彼の命を法外な値段で買いたいと色仕掛けで迫ってくる。一方でギャングのボス(蔡明修)が阿良のもとに殺し屋(李銘忠)を差し向け、両親の命と引き換えに阿良の命を差し出すように迫る。無価値に思われた自分の命に群がる謎の人々に対し阿良は…。

 

 

面白い設定に、テンポよく展開するストーリー。全体的にスタイリッシュだし、何より役者ぞろい…なのに、台湾での評価が低かった本作。確かに荒唐無稽すぎな感じはするし、かなり血しぶきも飛ぶし、これまでの台湾映画では見かけないタイプの作品ではあるけど、まあ映画だから、このくらい思い切って振り切ってもいいんじゃない?と個人的にはめちゃくちゃ楽しめました。鑑賞後に三島由紀夫の長編小説『命売ります』の解説をウィキペディアでざっくり読んで、あああ、なるほど、となった部分も。それもそのはず、本作が長編1作目の鄧仲謀監督は件の小説にインスピレーションを得て脚本を書いたそう。途中で一度命を落としかけた阿良は、思いがけずに不死身の身体を手に入れてしまうのだけど、あれほど死に憑りつかれていた人物が…というブラックさ、それにラストの描き方も良かったんだけどなぁ。。