3つめはこのカリスマ指揮者の登場である!
ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」全曲
カルロス・クライバー(指揮)、シュターツカペレ・ドレスデン、ライプツィヒ放送合唱団
マーガレット・プライス(S)、ルネ・コロ(T)、ブリギッテ・ファスベンダー(Ms)、クルト・モル(Bs)、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、アントン・デルモータ(T)他
【録音】
1980~82年
1980~82年デジタル録音。天才カルロス・クライバーによって100%その実力を引き出されたシュターツカペレ・ドレスデンの驚愕すべき凄絶演奏に圧倒される一組。炎のように熱く水のようにしなやか、異常な熱狂と浄化された美感という相反する要素がここでは奇跡的に同居しています。マーガレット・プライスの清廉なイゾルデ役、終幕の絶唱が凄いコロのトリスタン役と、キャストも高水準です。OIBPリマスター
カルロス・クライバー(1930-2004)
なお、手元にはバイロイト・ライヴもあるので紹介しておこう。
ワーグナー:楽劇「トリスタンとイゾルデ」
カルロス・クライバー&バイロイト祝祭管&合唱団
録音:1974年7月25日(ライヴ)
イゾルデ:カタリーナ・リゲンツァ
トリスタン:ヘルゲ・ブリリオート
ブランゲーネ:イヴォンヌ・ミントン
マルケ王:クルト・モル
バイロイト祝祭合唱団
クライバーによるスタジオ録音は、まさにビロードの肌触りを思わせるような音色に心が・・・もちろんライヴの昂揚感はないものの、彼が意図した「トリスタン」の究極の姿が全身を貫くのだ(^^)
ちなみに、これまで何度も書いているように、クライバーのオペラ実演には2度接しているわ!
この2つの録音では、どんな配役が起用されているのか、対照を見てみよう。
<1974バイロイト・ライヴ> <1980スタジオ録音>
オーケストラ バイロイト祝祭管 シュターツカペレ・ドレスデン
トリスタン ヘルゲ・ブリリオート ルネ・コロ
イゾルデ カタリーナ・リゲンツァ マーガレット・プライス
マルケ王 クルト・モル クルト・モル
ブランゲーネ イヴォンヌ・ミントン ブリギッテ・ファスベンダー
クルヴェナール ドナルド・マッキンタイア D・フィッシャ-=ディスカウ
このラインアップを見てると、クルト・モル(マルケ王)以外は、随分と異なる歌手が起用されている。
おそらくバイロイト・ライヴの数年後にスタジオ録音された時には、指揮者クライバー好みのメンバーが集められているのかなと思う(時代の変遷も窺えるかな)。
王様バス役といえば、「ローエングリン」のハインリッヒ王と「トリスタンとイゾルデ」のマルケ王。マルケ王は好感の持てるキャラクターです。
クルト・モル(1938-2017)
1938年4月11日生まれ、独・ケルン近郊ブイル出身のオペラ歌手。ケルン音楽大学でチェロを学ぶも、声楽へ転向。61年にアーヘンの市立劇場にてロッシーニ『オテロ』でデビュー。バス歌手として国内の歌劇場でキャリアを重ね、69年にハンブルク国立歌劇場でデビュー。以降、ミラノ・スカラ座、パリ・オペラ座、ザルツブルク音楽祭などにてモーツァルトやワーグナーのオペラで高い評価を獲得。91年にはグラミーを受賞。2006年7月のバイエルン州立劇場の『ニュルンベルクのマイスタージンガー』で引退。その後は長く闘病生活を送っていたが、2017年3月5日にケルンで死去。78歳没。
なお、クルト・モルと私は同じ誕生日の4月11日生まれだわ!
<ワーグナーを聴く・・・!>・・・15