こんな新書を図書館から借りてきた。
山本進「落語の履歴書~語り継がれて400年~」(小学館 2012)
落語史の泰斗が描く、話芸400年の軌跡!
「落語ブーム」と言われはじめて7、8年。中堅・若手落語家のなかにも、将来が楽しみな逸材が目立つようになりました。落語の前途は安泰に見えますが、果たしてどうでしょうか。
落語は、演じ手だけで成り立つ芸ではありません。いつの時代も、落語には必ず聴き手がいて、聴き手の感覚が変わることで、落語そのものも変わってきました。落語には、「優れた聴き手」もまた、不可欠なのです。
本書では、芸能史研究60年という著者が、戦国末期から現代まで、約400年の落語の歩みを一望。豊富な資料をもとに、「落語のようなもの」の誕生と発展、圓朝による「近代落語」の成立などを平易に解き明かします。さらに、いつも話題を呼ぶ「真打制度」の変遷や、人情噺/滑稽噺の精確な区分、寄席の看板の種類と意味など、長年のファンにも興味深いコラムを満載。笑いを主体としながらも、ただ笑わせればいいというものでもない、伝統を背負った話芸の深みに触れることができます。
昨今のブームで落語にハマった人から、ホール落語の常連さんまで、すべての落語ファン必携、座右の落語史です。
<著者>
山本進(やまもとすすむ)
落語研究家・芸能研究家
横浜で育ち、東京大学へ入学。大学在学中は落語研究会に所属している。大学卒業後は日本放送協会に就職。勤務するかたわらで、熱心に落語の研究を続ける。日本放送協会退職後は、さらに精力的に研究活動を続け、落語にまつわる多くの作品の編集・執筆に参加している。現在も寄席に頻繁に顔を出し、落語家たちから一目置かれる存在でもある。著書に『えぴたふ六代目圓生』『落語ハンドブック改訂版』『図説 落語の歴史』 などがある。
1931年、兵庫県生まれ。諸芸懇話会会員。
<目次>
第一章 戦国末期~江戸時代 落語の始まり
第二章 明治維新とその後 「近代落語」の成立
第三章 大正時代~太平洋戦争 激動の落語界
第四章 戦後~平成 復活からブームへ
まさに落語通史である。
いろんな図版もあるし、個々の噺家の経歴も記載されているので、ハンドブック・事典のように使うこともできそうだ。
どちらかと言えば、江戸落語界が中心なので、私的には戦後の上方落語界のページが懐かしい!
・・・落語という話芸を成り立たせている、三つの要素、すなわち
・演目 Repertory
・演者 Performer
・観客 Audience
について考えてみよう。・・・(p.250)
この三つの要素は、例えばクラシック音楽についても当て嵌まるだろう。すなわち、曲目・演奏者・聴衆という具合だ。
著者も書いているとおり、昨今はマスメディア経由で愉しんでいる人が多いけど、やはり、醍醐味は寄席で聴くことだろう(音楽もCDなどのメディアだけでなく、コンサートに足を運んで愉しむのがベターかな)!