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聖アントニウス(アントニヌス、アントニーとも)は251年にエジプトに生まれ、キリスト教徒として生きた聖人で、20歳の頃両親と死別し、隠遁者として砂漠で瞑想と苦行に身を投じた。苦行中に悪魔が現れ、彼をどうにか堕落させようと豊満な女性の幻覚を見せたり、掴みかかって恐喝したりしたが、アントニウスはそれでも悪魔に屈せずにキリストを信じ、人々に信仰を伝え続けた。こうした逸話が広がりに広がって、多くの画家に描かれることになったのである。
古くは15世紀から、新しくは20世紀のマックス・エルンストまで、この題材は描かれ続けた。
http://www.kusa.ac.jp/~kambara/bos/07.pdf
もちろん、銅版画家ジャック・カロもそうだ!
「聖アントニウスの誘惑」 1634年版
なお、カロによる「聖アントニウスの誘惑」は、1617年版もある。
ボスやグリューネヴァルトによる<祭壇画>から、フランスの文豪フローベールが影響を受けたブリューゲルによる作品なども含め多くの名画が残されている。
北嶋廣敏「聖アントニウスの誘惑」(雪華社 1984)には、有名無名を含めて170点を超える図版が掲載されている(この分厚い書物については、また紹介しよう!)
ブリューゲル「聖アントニウスの誘惑」 1556年
ちなみに、20世紀の奇人画家は・・・
サルバドール・ダリ「聖アントニウスの誘惑」 1946年
https://www.artpedia.jp/dali-the-temptation-of-st.-anthony/
こんな連作を書いた画家もいた。
オディロン・ルドン「聖アントニウスの誘惑」 連作のうち
フローベールの作品を読んで想を得たルドンの連作画を追うだけでも興味深いかもしれない(これは、別項で紹介予定)!