ホントは船乗りになりたかったドビュッシー・・・<沈める寺> | マンボウのブログ

マンボウのブログ

フラヌールの視界から、さまざまな事象に遊ぶ

<「交響詩」 海>と<「夜想曲」 シレーヌ>という海のモティーフを聴いてきたが、もう一つ是非とも取り上げたい作品がコレだわ!チョキ

 

   ルンルン「前奏曲第1巻」(1910)から・・・

 

ベル<第10曲 沈める寺 - La cathédrale engloutie>

不信心ゆえに海に沈んだ大聖堂(教会、カテドラル)が海上に浮かび上がらせるというフランス・ブルターニュ地方からのケルト族の伝説による曲で、神秘的な4度・5度の和音の連なりから3和音による大聖堂の出現へと高揚、聖歌も響くが、やがて再び沈んでいく。冒頭から「柔らかく響く霧の中で」→「少しずつ霧の中から現れるように」→「だんだん音量を上げて(速くせずに)」と目まぐるしく指示が変わり、幻の大聖堂が霧の中から徐々に現れ、再びまた沈んでいく様に、本曲集の中でも最も芸術性の高い作品となっている。

 

   第10曲「沈める寺」の再現部。

 

 

ディスクは、この4種を聴いてみたい!

 

   1)ギーゼキング(1954)

   2)ヴェデルニコフ(1989)

   3)クロスリー(1992)

   4)ポミエ(1988-91)

 

Complete Piano Works : Gieseking (4SACD Hybrid)

     EMI Signature Series「ドビュッシー:ピアノ曲全集」
            ワルター・ギーゼキング

 

メモ楽譜の正確な解釈と陰影豊かで格調高い演奏によるドビュッシー。あくまで作品を知的に読みとり、余情を挟むことなく、絶妙にコントロールされた表現に徹しているものの、その内容は決して無味乾燥にはなっていないところはさすが名匠ギーゼキング。こまやかなニュアンスを駆使した、純度の高い至芸が聴けます。レコード芸術推薦盤、仏ACC、ADFディスク大賞、仏ディアパゾン・ドール、仏 de Repertoire。2011年にアビーロードスタジオでリマスターされた音源を使用したハイブリッド・タイプのSACDです。限定盤。

 

「ヴェデルニコフ ドビュッシー vol.5」の画像検索結果

  ヴェデルニコフの芸術--5

 

メモニコラーエワと並ぶバッハ弾きと評されたヴェデルニコフだが,ドビュッシーもなかなか興味深い。89年録音の①の方が,62年録音の②よりも明らかに「枯れてる」のがよくわかる。①は能面のように抑えた所に滲みでる表情がすごく渋い。
-- 内容(「CDジャーナル」データベースより)

 

 

4種の録音を聴き較べてみて、モノラル録音のギーゼキング盤とヴェデルニコフ盤との響きの印象と、クロスリー盤およびポミエ盤との違いが微妙に感じられたなあ・・・びっくり

前2者では音がしっかり響いてくるのに対して、後2者では軽めの音になっていて、海の深さまでが異なってくるようなイメージだ。もちろん明るさまでが違う。照れ

 

ドビュッシーの把握していた海の深さと明るさ・暗さが、時代を経るにしたがって変わってくるようなエルニーニョ現象?とも思える演奏・録音は、まさに時代を反映した文化遺産だろう!OK

 

 

 

      <ドビュッシー没後100周年に寄せて>・・・9