猫は、団地の1階の階段裏に、
ただうずくまって鳴いていました。
三毛の仔猫でした。
顔中を口にして、
にゃあにゃあ
甲高い声で鳴いています。
何かを、
訴えているようでもありました。
真冬の早朝のことです。
湿っぽくて
凍り付くように冷たい地べたに
小さな体を丸めています。
小学生だった僕は、
周囲を見渡しました。
薄暗く、少し怖いのもありました。
あたりには人気はないし、
津々とした冷気が
肌に感じられるだけです。
その暗がりに足を踏みいれて、
僕はとうとう
猫を抱きかかえました。
子猫は抵抗もなく、
僕の腕の中で鳴いていました。
どうしたらいいだろう、
まだ配達は途中でした。
僕は一度拾い上げた猫を、
さっきの地べたではなく、
そこに積まれていた古新聞に乗せ、
申し訳程度に
上からも新聞をかぶせてやり、
また配達へと駆け出していきました。
戻ってきて、またいたら、
そう考えていたのです。
はたして30分ほどして、
新聞がなくなり手ぶらで戻ると、
まだ猫はそこにいました。
かけていった新聞紙を取り除くと、
その下で
半分眠ったような顔をしています。
僕は猫を抱きかかえ、
団地の外に出ると、
そろそろ迎えに来るであろう
母を待ちました。
その日は曇っていて、
朝になっても
あまり明るくはありませんでした。
外気は痛いくらい冷たく、
雪でも降りそうな天気です。
手に抱えた猫の体温が感じられます。
子猫はもうあまり鳴かなくなって、
曇天の暗い雲のうねりを
僕とともに、
見ているようでした。
やがて、
周辺の戸建ての配達を終えた母が、
カブのエンジン音をたてて、
団地の片隅で待っている
僕のところにやってきました。
母は猫にはじめ気づいていなくて、
僕が片手でバイクの台車に
つかまっていると、
その不安定さに気づき、
一度バイクを止めました。
それで、僕が片手に
猫を抱えているのに気づいたのです。
母は最初曇った顔をしましたが、
猫をバイクの前かごにいれ、
ビニールのシートをかぶせると、
幾分スピードを遅めにして、
家までたどりつきました。
この猫は、
僕が大人になるまで
家に住んでいましたが、
僕が家を離れ数年したころには、
いなくなっていました。
よく猫を拾っては家に持って帰ってきました。
この新聞配達をしていた時にも、
そうしたことが
3度くらいあったかと思います。
プロジェクト398日目。
――――――――――――――――――――――――――――
<span style="color:#ff0000;"><strong>2019/8/11 398日目</strong></span>
■kindle 本日0冊 累計75冊 達成率0.71%
■文学賞公募作品の執筆状況 1作目半分くらい ※まだ賞は未定
■kindleアップのため『桜の闇』を推敲中
158ページ中50ページくらい了
――――――――――――――――――――――――――――
kindleでは「セノイピープル」「バスストップ」「悲しきウスバカゲロウ」が読めます→
https://www.amazon.co.jp/s/ref=dp_byline_sr_ebooks_1?ie=UTF8&text=%E8%8A%B1%E6%9D%91%E5%81%A5%E4%B8%80&search-alias=digital-text&field-author=%E8%8A%B1%E6%9D%91%E5%81%A5%E4%B8%80&sort=relevancerank
『僕を知らない君へ』オープニング 1日目
→https://ameblo.jp/levelbooks/entry-12445434453.html









