茜色が徐々に濃くなって、
濃い紫色にくるまれたみたいだった。
小さな羽虫のようなのが、
さかんに飛び交っていて、
俺たちはそれを払いながら、
暗くなっていく川辺の前で
話し続けていたんだ。

「おせんべい屋、やっぱやりたいの?」
繭子ちゃんが聞いてきた。
俺は、
なんかいろいろ話しても
いい気になっちゃって、
「実はさ、ここで働いてんのも、
ちょっとした修行のつもりで、
こんなこと言ったら、怒られちゃうかな」
そう口にすると、
彼女は首を振って、
「ううん、そんなことない」
「そっか、よかった。
俺さ、親父がやってたこと知らなかったから、
亡くなってから、
いろいろ思うとこもあったんだよね
なんで少しでも関わらなかったんだろう、
って、今はすっごい思うんだよね、
親父が、どんな気持ちで
せんべい作ってたかっていうか、
結局工場たたんでから、
どんな思いだったのかって、
最近になって、考えるようになって、」

もう、表情がよくわかんないくらい、
周囲は暗くなってきていた。
それでも、2人して、
なかなかその場を離れる感じじゃなかった。

俺は続けて、
「思えば、全然目標とかもたずに、
仕事とか、転々としてたからね、
それでふと思いついちゃって、」
「すごいね、」
「そう…かな、」

俺、ふと繭子ちゃん見て、
それで、
「そういえば、今、ここで働いてるの?」
たぶん、あんまり意味わからなかったと思う。
俺は彼女に、
社長の工場で
どうして働いているのって聞きたかったんだけど、
繭子ちゃんのこと、
まだなんて呼んでいいかわかんなかったし、
そしたら彼女、
「私も似てるかも…、
私ね、大学出てから、
一回就職して、それでやめて、
お父さんのとこ手伝ってるだけだからね~、
工場だって、
いつまでやってけるかわかんないし、
お父さんも、年とっていっちゃうしね、」

なんか、
しんみりしながらも、
俺はするりと、
もっと彼女の心に

深入りしたい気持ちが、
もうどうにも

我慢できなくなってたんだ。

「旦那さんとか、なんて言ってるの?」
こういう聞き方しか、

できなかった。
ところが、
繭子ちゃんは、

きょとんとした顔して、
「だんなさん?」

 

プロジェクト389日目。

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<span style="color:#ff0000;"><strong>2019/8/2 389日目</strong></span>
■kindle 本日0冊 累計75冊 達成率0.71% 
■文学賞公募作品の執筆状況 1作目半分くらい ※まだ賞は未定
■kindleアップのため『桜の闇』を推敲中
 158ページ中50ページくらい了
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『僕を知らない君へ』オープニング 1日目
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