フランスでゴーン(日産)の件は、どう報道されているのか? | 西方見聞録(旧パリレポート)

西方見聞録(旧パリレポート)

2015〜2020年パリ、2020年4月に本帰国しました。帰国後も”これは!”と思うものを探し、レポートしています!!

南米の旅行記、
書いている途中ですが

実はもうパリに
戻っています。
(行ったのは年末年始です)

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と言うわけで今パリにおり、

今日は朝からテレビをずっと付けて
色々やっていましたが、

フランスのテレビをずっと付けていて
気になることが2点ありました。

付けていたのは
ニュース番組が中心。
(BFM、CNEWS、LCI、franceinfo)

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まず1点目。

基本的に
黄色いベスト運動のことばかり
ずーーっと黄色いベスト運動の事やってます

しかも、
その中でかなり多くの時間を割いて

先週土曜日のデモで
セーヌ川の橋の上でデモ隊と鎮圧隊が
衝突した時、

デモ隊の一人が鎮圧隊にふるった暴力が
ずーーーっとクローズアップされていました。
このデモ参加者が鎮圧隊を殴っています

実はこの人はプロボクサーだったのですが、
それが大問題とのことで
それについて
あーだこーだ、ずーーーっとやってる
わけです。

終いには、
ボクサー本人が顔を出して
コメントする映像まで流れ、、、
右のガタイのいい方です。ボクサーが仮抑留されてる、と伝えてます

いやー、
フランスのテレビ、
かなりの偏見報道だと、、、

黄色いベスト運動は
フランス全土で繰り広げられていて
何万人というフランス人がデモに参加し

そりゃ、色々なところで
デモ隊と鎮圧隊がぶつかったりする事も
あるわけです。

もちろん暴力は良くないし、
ましてやプロボクサーが暴力を振るうことは
最悪ですが、

それにしてもそこにクローズアップし過ぎ
という感は否めません。

報道は《暴力》にフォーカスを
ずーーーーっと当てており

完全に黄色いベスト運動の
本質から脱して
議論が繰り広げられています。

本当に情報操作とは
恐ろしいものです。

きちんと情報を自分から探して
取りに行かないと
このようなテレビの情報操作に
引っかかって

権力側の都合のいい情報を
鵜呑みにする形になるので
注意が必要です。

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フランスの地上波テレビは、
現在全て資本家たちの手に握られていて、
資本家サイドの都合のいい情報しか流れません。

なので、
きちんと情報を得ようとする人たちは
デモに参加して
情報交換したり

政府や企業側の力がかかっていない
インターネットのテレビ番組、
レポートサイトから
情報を得ています。

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そして2点目。

それは日本にも関係がありますが
カルロス・ゴーンについての
ニュースです。

日本では、
どれぐらいカルロス・ゴーン関係の
ニュースが流れていますでしょうか?

カルロス・ゴーンのニュースは
もちろん日本サイドだけの
問題ではありません。

本質は、恐らくは
アメリカの強い力によるものと
私は思っているのですが

同時に
フランスは非常に深く
この問題に絡んでいるわけです。

ゴーン氏は
フランス企業ルノーの会長。

ルノーはフランスの
元国営企業で、今でも
政府の関与が強い会社です。

フランスにとっては
とても大事なニュースのはずです。

では、このカルロス・ゴーンの問題、
フランスでどれぐらいニュースで
取り上げられているでしょうか?

朝からずーっと
昼過ぎまでニュース番組を
流していて

何と何と、
6時間見ていて、
私が見たのはたったの2回!!

しかも、1回の時間は
たったの1分ほど!!!

ずーーーーっと
黄色いベスト運動(暴力について)を
あーだこーだ言っていて

日産問題はたったの
2分ほど(私が見た時間)。

ゴーンのことやってないかなーと
チャンネルを一覧にしたりし、
かなり意識を払っていたのに

たったの2回です!!

そのニュース、
どう取り上げられているか
動画を貼り付けておきます。
(フランス語です。内容は動画の下に記しています)

ゴーンの事件が日本で大騒ぎ、
的な内容です。

街でインタビューしていますが、
その内容は、

今回の検察側はやり過ぎ、とか
ゴーンは日産を立て直したカリスマで
セレブだから

などと答えていて、

ゴーンは検察によって
100%有罪判決を受け、

刑務所から出ても
日本の裁判が終わる日は遠いでしょう

とレポートしています。

そして、この報道ですが、
フランスのテレビ局の
質問の仕方が誘導的。

二人目の男性は、
回答の冒頭で
「そうゆう事もあり得るんじゃないですかね」
と答えています。

それに続いて言ったのが
“日本の検察がやり過ぎ”という内容のもの。

つまり、これはフランスのテレビが
「検察が強引に逮捕に踏み切った可能性はありますか?」
などと質問し、

そこから
「そうゆう事もあり得る」
「日本の検察はやりすぎ」と
いうコメントを引き出しているように
感じます。

完全に
結論ありきの作りです。

フランス人は日本語が
分からないから、
そんなVTRの作りでも大丈夫だろう、
ということでしょうか?

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先日フランス人の友人に
ゴーンについてどう思う?

と聞いたところ
フランス時代の華々しい経歴、
日本で日産を立て直した、
そして日本で捕まった、

ということは知っているけど、
今回の逮捕劇の詳細は
知らないとのこと。

というのも、やはり報道で
あまり見ないかららしく、

ではなぜフランスでは
そんなに報道が少ないのか? と聞くと、
「フランスは黄色いベスト運動で忙しいから、それどころではない」
との意見。

しかし”なぜゴーンは逮捕されたと思う?”
と聞くと、
「多分、ゼネラルモーダーズの力が
働いてるんじゃないかな」
とのこと。

おー、
鋭い、、、

フランスではこんなに薄っすらしか
ゴーンについて報道されてないのに
アメリカが後ろから働きかけてると
分析する鋭さ。

やはり日頃からTVや新聞からだけでなく
自分で情報を探して考察しているから
そのように考えられるのだなと。

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一方、
日本での報道はどうでしょうか?

昨日、たまたまYouTubeを見ていたら
情報番組「ミヤネ屋」がアップされていて
見たのですが

30分以上かけて
詳しくゴーンの事件の件について
取り上げていました。
(詳しくは33分)

30分以上って、、、

「ミヤネ屋」は昼間の高視聴率番組
ですよね?

そこで30分以上取り上げるとは、、、
すごいですね、日本のメディアの
ゴーン報道は。

そしてそこで報道されていたのは
ゴーンの罪状に関することばかり。

そしてこの事件は
日産の社内闘争の話なのだと。
「逮捕の背景に日産社内の権力闘争があったとの見方」とテロップにも書かれています

さらに
ルノーはフランス政府の
強力なコントロール下にあり

フランス政府主導によって
日本企業がフランスに奪われる
という話も少しはしていましたが、

こうゆう事件は
枝葉の部分を顕微鏡を見るように
取り上げるのではなく

森の部分を見なければ
意味がないと思うんですけど、、、

と言っても、
そう考察させないためのメディア、
なのかも知れませんが、、、

今回の事件を
“社内闘争の話” で終わらせてしまったら
視聴者には
「あ、自分と関係ない話だ」
「ゴーンは私腹肥やして酷いな」
「フランスめー、日本の企業を
乗っ取ろうしやがって!」
「日本の経営陣、クーデターうまくいったな」

という印象だけで終わってしまいます。

それでは、
今度の事件で日産をフランスの手に
渡したくなかったのは
本当は誰なのか、

が全く見えなくなります。

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フランスのメディアはプロパガンダ的な
傾向が非常に強く、

ニュースばかり見てると
権力者側、資本家側にとって
都合のいい人間に成り下がりますが

日本のメディアはフランスほど酷くない、
民衆のための報道をしている、
と信じているので、

テレビや新聞には
特捜を動かした本当の力、
について突っ込んで報道してほしいと
願うばかりです。