客と店員、どっちが上? in フランス | 西方見聞録(旧パリレポート)

西方見聞録(旧パリレポート)

2015〜2020年パリ、2020年4月に本帰国しました。帰国後も”これは!”と思うものを探し、レポートしています!!

3年前、フランスに来て
結構早い段階に気がついた事。

それは、店員の態度が
日本のそれとはかなり違う、
ということ。

というより、
考え方自体が違う、ということ。

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私は学生時代、学校近くのコンビニで
アルバイトをしていましたが

そこはフランチャイズではなく、
そのコンビニ(ロー●ン)本部の
直営店だったのですが、

その時徹底的に教育されたのが
お客さんが入って来たら必ず
「いらっしゃいませ!」
と元気よく言うこと。

さらに、お客さんが店を出るときには
「ありがとうございました、
またお越しくださいませ!」
と、客が何も買わなくても言う
ということ。

だいたいこんな感じでした。

《日本の場合》
-客が店に入る-
店員(私):「(元気よく)いらっしゃいませー!」
客:(軽く会釈、もしくは何も言わずに商品を見始める)

-何も買わない場合-
客:(何も言わずに店を出るケースも)
店員:「ありがとうございました! またお越しくださいませ!」

-客が購入する場合、レジにて-
客:(商品をレジに”お願いします” 程度に言って出す。もしくは黙って出す)
店員:「いらっしゃいませ! (レジ)ありがとうございました! またお越しくださいませ!」

もちろんいいお客さんも
たくさんいましたが、

中にはムスッとしながら
ドン! と商品をレジに置き、
“早くレジ打ってよ”的な感じの客も。

明らかに客の方が
立場が上で、
店員はあくまで下、
そんな印象を抱かせる客が
たまにいたのは事実です。

他にも、喫茶店でも
バイトしてましたが、
そこでも基本は同じ。
-客が店に入る-
店員(私):「(すぐに)いらっしゃいませ! 何名ですか?」
客:(人数を言う)
店員:「お好きな席へどうぞ!」
「こちらの席へどうぞ!」

-客がオーダーする-
客:(手を上げて)すいませーん!
店員:「はい! ただいま!」
「ご注文を伺います」

-客が会計する-
客:(レジへ)
店員:(急いでレジへ)→会計

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と、私の場合はこんな感じでしたし、
実際客として店に行った場合も
上のようにしていました。

ではフランスの場合、
どうでしょう。

《フランスの場合》
まず店の場合。

-客が店に入る-
客:「Bonjour (こんにちは)」
店員:「こんにちは」
(そして客は商品を見始める)

-何も買わない場合-
客:(店を出るときに)「Merci(ありがとう)」
店員:「ありがとう 」

--客が購入する場合、レジにて-
客:「こんにちは」(商品を出す)
店員:「こんにちは」(レジを打つ)

-店を出るとき-
客:「ありがとう、Bon journée. Au revoir (良い一日を。ではまた)」
店員:「ありがとう。良い一日を、ではまた


そしてカフェの場合。

-客が店に入る-
客:「こんにちは」と言いながら、店員が来るのを待つ
店員:「J’arrive (すぐ対応するからちょっと待って)」

(たまに2分ぐらい待たされる)
(すぐ席に通されることも、もちろんある)


-客がオーダーをする-
客:(手を上げて店員を呼ばない)
(店員が来るのを話をしたりしながら待つ)
店員:(自分のペースでやって来て)
「Alors, je vous écoute (何にしますか?)」


-客が会計する-
客:(手を上げて店員を呼ばない)
(店員が来るのを待つ、もしくは店員と目を合わせてアイコンタクト。もしくは軽くジェスチャー)
店員:(自分のペースでやって来て、レシートを机に置く)
客:(カフェ程度なら、机にお金を置いて店を後にする)
(店員が来るのを待ってテーブルで会計)


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と、だらだら書いちゃいましたが
だいたいこんな感じです。

何が言いたいかと言うと、
日本は客のペースで店員が動く。

フランスは店員のペースで客が動く。

ということ。
全てに当てはまるわけではないですが、
基本的にフランスでは
「お客様は神さま」というような
お客至上主義ではなく、

「客と店員はイーブン」

という考えがある気がします。

基本的に客は店に入るときは
「あなたのお店にお邪魔してもいいですか?」
という雰囲気があり、

ゆえに入店するときには
客の方から「Bonjour(こんにちは)」と
挨拶するのが一般的です。

黙って店に入って
商品を見始めるのは
感じの良くない行為、
と思われる傾向にあります。

会計するときも同じです。
「商品にお金を払うのだから、
客が立場が上」
という考え方はなく、

あくまで”商品(サービス)を与える側”
と”対価を支払う側”のやり取りなので
客と店員に上下はありません。

いや、むしろ店員によっては
店員の方が偉そう、
というケースすらあります。

(客がきょどると、相対的に店員が上に見えるため)

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フランスに来た当初は
「なんて感じの悪い店員なんだ」
「客を客と思ってない!」
などとプンプンすることも
ありましたが、

なるほど、
奴らのやり方、考え方も
一理あるな、
と最近思うように。

個人的にはそれでもやはり
日本のおもてなしの心が最高だと
もちろん思っていますが、

“客が上”と思っていて
店員にひどい態度をとったり
過度なサービスを求めるモンスターが
出るようだと、

フランスの考え方を
客側も持ってもいいのではないか、
と思うようになりました。

店員側はこれまで通り、
お客に誠意を持って対処する、

客側は店員に感謝して
サービスを受ける。

もちろん、そのように
店員さんに接している方が
ほとんどだと思いますが、
たまたま下のビデオを見て

あー、やっぱりそうだよなーぶー
と思ったため書いた次第です。
(すいません、影響されやすくて、、、汗)

ユニークなYouTubeです!

そのことは、
会社側と社員の関係でも言えるかもしれません。

会社に尽くしすぎる、
いわゆる ”社畜” 化するマインドの
ベースには、

お金を支払う側(会社側)が上、
サービスを提供する側(社員)が下、

という図式が
同じようにあるように感じます。

なので、フランスでは
ちょっとやり過ぎ? なほど
サービスを提供する側が
ドライに仕事をしています。

《日本》
はー、またサービス残業だ、、、
有給? そんなの全部取れないよ。

《フランス》
サービス残業? あり得ない。
バカンス? そりゃ2週間はきっちり頂きます。

最近は働き方改革が進んでる、
と聞くので、状況はだいぶ変わった、
と思いますが、

3年ぐらい前は
ひどい状況をザラに聞きました。

(そして、この関係は取引先との関係でもあるかもしれません)

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そう言えば、
まだ奥さんと結婚する前、
付き合いたての頃、

池袋の喫茶店で
まっっったく注文取りに来ず、
来た挙句に注文間違える店員がいて

多分人生で初めて、かつ
以来やったことないですが、

店員に怒ったことがあって、

その時奥さんは
「こわっ、この人と付き合って大丈夫かな」
と真剣に思ったそうです。

そして、10年以上経った今でも
「あれは酷かった」と
ネチネチネチネチ言われ続けています。


フランスは欠陥だらけの国ですが、
こうゆういい面は取り入れていければ
日本はもっと良くなるかも、
なんて思う今日この頃です。

では皆さん、良い週末をお過ごしください!