パリ マニアへ。パリの美しいアパルトマン、オスマニアン建築とは? | 西方見聞録(旧パリレポート)

西方見聞録(旧パリレポート)

2015〜2020年パリ、2020年4月に本帰国しました。帰国後も”これは!”と思うものを探し、レポートしています!!

パリが好き!

と言う方はもちろんご存知だと
思うのですが、

パリの街には独特の景観があります。

それは、
“白亜の美しい建物が
きれーーーに統一されて建っている”
ということ。

美しいか否かは
人の好みによりますが
個人的な感覚ではパリの建物は
めちゃめちゃ美しいです。
このような建物がビシーーーッと統一されて建ってます

ではパリはもともと
このように美しい街並みだったのか。

パリは2000年の歴史がありますが
その2000年間、少しずつ
綺麗な建物が建てられ続けて
今日に至っているのか。

答えはNo!です。

上のような美しい建物は
ある皇帝の命令で、今から150年ほど前
同じフォーマットで一斉に建てられました。

その一斉に行った大工事を
《パリ改造》と言います。

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パリはつい150年ほど前まで
《パリ改造》以前、
今とは全く違う雰囲気でした。

確かに王族や貴族たちが残した
宮殿などは、美しかったですが

それ以外は今のマレ地区に建ってる
ような建物が街中に広がっていました。
150年ほど前のパリ(Paris- la révolution Haussmann より)

このような建物は、マレ地区に行くと
まだ見つけることができます。
(見た目は綺麗になってますが)
こちらは今のマレの写真

こちらはサン・ドニ通り。その雰囲気はまだ残ってます

簡単に言うと、
道幅は狭く、
くねくねしていて、

建物も低層で美しいデコレーションは
施されていません。

上のマレ地区は
かつての貴族が住むエリアなので
まだ綺麗ですが、

ほかのエリアではスラムのような
街も広がっていたわけです。

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パリは《パリ改造》以前の
特に近代化以前は
(→詳細はこちら

●道は狭くてごちゃごちゃ
●上水、下水は機能せず
●異臭漂い不潔極まりない

とスラム化したエリアが
多く存在し、
近代化前のパリ。道に排泄物を捨ててたのですごい匂いだったそうです

浮浪者も街に溢れていたとのこと(今でもたくさんいますが)

スラム街は
当時の政府にとって
反対勢力のアジトとしての
脅威があり、

度々暴動が起きて、
すぐバリケートを築かれ

なかなか鎮圧できない、
という悩みがありました。

——————————
1800年代半ばになって
ようやくパリの街を近代的にする
動きを見せ始め、

近代化の先端を行っていた
ロンドンの街並みを手本にする形で
《パリ大改造》を開始。

元々は政府に反対する勢力を
すぐ鎮圧できるように

スラム街だらけで
すぐバリケードが築かれる
パリの街を

まっすぐ、太く、
放射線状に改造。

こうすれば
反対派がバリケードを築きにくく、

さらにまとまった軍隊が、
一気に現場に向かうことができ
反乱を速やかに鎮圧できる、
そんなメリットがありました。
この辺りの話が好きな方は、『アルスナル建築博物館』がおススメです

こちらの博物館では、パリの街がいかにして改造されたか、模型とともに展開されてます

パリの近代化について知りたい方は、ぜひオススメ!

改造したのは
ナポレオン3世という皇帝。
(当時のセーヌ県知事ジョルジュ・オスマンが指揮)

ナポレオン3世の目的は
軍事的、政治的でしたが、

そのように道を太く、まっすぐすることで
物資の輸送も容易になる→
→産業を活性化できる→
→遅れをとった近代化を推進
(輸送路が悪いと産業は発達しない)

さらにパリの街を
美しいビルディングで
作り上げることで、
世界に美しく生まれ変わったパリを
アピールできる
(そのついでに、上下水道の整備)
※しばしばこの要素が強調される

そんな狙いもくっついて来て、
パリ改造が大々的に行われ、
今の美しいパリの街並みが
出来上がりました。
赤い部分が主に大改造した道

このように、真っ直ぐな道を多く設けました

上の赤い道以外も、
ほとんどの道はきれいに整備されました。

なので、
いわゆる今の美しいパリの街並みは
比較的最近、
19世紀に完成したばかりのものです。
まだ車がない時代のパリの風景。道が異様に太いのが分かります

ちなみにパリ改造の特徴は
その太く、まっすぐな道、
というものの他に、

例の白亜の統一された建物、
“オスマニアン建築” が
統一されたデザインで建てられた
ことが挙げられます。
このデザインの建物です

パリと言えばこのデザイン。

この美しいデザインの建物を
一気に建てたわけですが、

基本的にオスマニアン建築は
建てるのにお金が相当かかります。

では誰が建てたか。

国が建てたか。

国にそんなお金はありません。

そのカラクリはこうです。

国はまず
その土地に住んでいた人々を追い出し、
その土地にオスマニアン建築を建てる権利を
資本家に与えます。

その資本家はただで土地を手に入れる代わりに
オスマニアン建物は自分のお金
建てなくてはなりません。

しかし、一度建てれば、
その中に入る人に貸す賃料は
自分が摂取する権利を獲得。

国はただで美しい建物を建てることができ、
資本家はただで土地を手に入れ
建物のオーナーとして
不動産で儲けることができる。

国と資本家がタッグを組んで
今日のパリの統一感ある美しい街並みは
生み出されました。

ではもともと住んでいた人たちは?

彼らは
家賃が高騰したパリの中心部から追い出され
パリ北部や東部地区に集中するように。

それが先日書いた
パリの地域格差を生み出す
原因の一つになりました。
パリの地域別所得分布。数字は区。赤くなるほどに世帯所得が高いことを示しています

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オスマニアン建築には
決まったフォーマットがあり、

高さ、色、材質、デザインは
厳しく統一されました。

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まず建物の色は白亜。
これはパリの街の下にある石が
その色だから。

オスマニアン建築は
自らの街の地面の石を切り出して
建物に使っています。
(Lutetian Limestone リュテシアン石灰岩)
※それまでは木造かレンガが材質で、表面に漆喰を塗っていた


高さは街路幅に応じて統一。
(広い街路の建物は20m)
※現在は歴史地区では最高31mに

デザインのベースは
パリの”オペラ・ガルニエ”。

つまり、
〈古典様式〉と〈バロック様式〉を
取り入れたデザインですが、
オペラ座。古典と誇張が激しいバロックを取り入れたデザイン

さらに原点を探ると、17世紀の建築家
ル・ヴォーのデザインにあります。
(ヴォーは、ベルサイユ宮殿の建築家)

ヴォーは貴族に依頼され
サンルイ島にある多くの館を設計。
このようなデザイン

館からセーヌ川を見られるよう、
それまでの内側(中庭)向きメインの
デザインから、

外側(通り側)向きメインの
デザインへ。
(主人のサロンを外側に持ってきた)

その船の行き来を眺める
楽しみのためのバルコニーに
黒い鉄のバルコニーを設置。

バルコニーが美しい
パリの原風景はここからきています。
このようなバルコニーデザイン

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さらに、ここからちょっと
マニアックになるので
興味がない方は読み飛ばしていただきたい
のですが、

オスマニアン建築は
以下の共通プランに沿って建てられました。
(以下、階数表記は日本式で)

《床は耐力壁構造》

《1階》店が事務所が入る
(中二階が1階の中にある)

《3階》「高貴な階」。裕福な者が住む。
天井が高く、広く精巧なバルコニーが付いている。窓の周りには、美しく掘られた石細工がある。最も広く、快適なフロア。

《4、5階は》3階に次いで裕福な者が住む。
3階同様にバルコニーや石細工があるが、3階ほど豪華ではない。

《6階》4、5階に次ぐフロア。バルコニーの装飾はさらに簡素に

《最上階》通常、天井が45度削られていて、屋根窓が付いている。元々は貧しい人が住む部屋だったが、その後使用人部屋に。現在は学生に貸し出されることが多い。

『アルスナル建築博物館』にあった
オスマニアン建築の住民の様子が
めっちゃ面白かったので添付します。

《オスマニアン建築に住む人々》
イラストは2階から描いてあります

《中二階、2階》
間取りは狭い。3階の富裕層のキッチンなども

《3階》
最も豪華な階。金持ちが住む

《4階》
3階に次ぐ金持ちが住む

《5階》
間取りが小さくなる。どんどん簡素に

《最上階》
屋根裏部屋。売れないアーティスト、貧しい人たちが住む

特に窓のない屋根裏部屋!
貧乏過ぎだろ!

と、このように、
同じ建物の中でも、貧富の差が
かなりあるのも特徴。

屋根裏部屋は使用人などの
部屋なので、
部屋に上る階段は
別になっています。

※金持ちは貧乏人と同じ階段を使わない

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このような《パリ大改造》によって
劇的に生まれ変わったパリの街並み。

話がかなり長くなってしまったので
今回はこの辺で!

では皆様、
良い週末をお過ごしください!

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