Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 ! -12ページ目

Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

Jポップスの黄金時代は80年代から始まった。

そんな時代を活写した幻の音楽雑誌『MUSIC STEADY』をネットで再現します。

吉原聖洋がスーパーバイザーとライターを務めた『佐野元春The Circle of Innocence』(ぴあ)と、山本智志が佐野元春with THE HEARTLANDの最後のツアー「ザ・サークル・ツアー」に同行し、執筆した航海日誌とでもいうべきルポルタージュ『ワン・フォー・ザ・ロード』(大栄出版)、そして吉原聖洋が佐野元春and THE HOBO KING BANDのアルバム『THE SUN』の制作過程を4年半に渡って追いかけ、書き上げた『佐野元春 完全版 地図のない旅』(カミングスター エムズファクトリー音楽出版)をこのところ、改めて読み返している。書籍の内容については詳述しないが、新しい気づきと学びがありつつ、英知と気品、機知と洒脱が溢れる文章に心打たれる。吉原聖洋の新しい文章をもう読めないことを思うと、残念でならない。彼の真似は誰も出来ないが、その言葉は繋いでいくべきと、新たに心に誓う。

 

 

佐野元春がこの夏の佐野元春&THE COYOTE BAND「2024年初夏、Zepp Tourで逢いましょう」に続き、この秋に佐野元春 & THE HOBO KING BANDがビルボードライブ3都市(横浜・東京・大阪)を巡るツアー「Smoke & Blue 2024」を行った。同ツアーの最終日、10月30日(水)に「ビルボードライブ東京」で行われた最終公演の1stステージを見ることができた。前のツアーは仙台と横浜で見たものの、東京で佐野元春を見るのは久しぶりになる。

 

ただ、井上富雄(B)と古田たかし(Dr)、Dr.kyOn(Kb、G)、そして長田進(G)は井上富雄やANZAiFURUTAのライブ、「井上古田W誕生祭」(井上・古田・長田出演)、「下山淳生誕祭」(Dr.kyOn出演)などで見ているので、意外と久しぶり感はない。それだけ、メンバーが精力的に活動している証だろう。

 

久しぶりの佐野元春&THE HOBO KING BANDの東京公演。同公演は「Smoke&Blue」シリーズとしては2年ぶり、シリーズ8回目を迎える。佐野元春ナンバーをブルースやフォーク、ニューオリンズなど、ルーツミュージック風味のアレンジで演奏、ソングライター佐野元春が紡ぐ歌の魅力が間近で感じられることでも定評あるライブ・シリーズだという。今回は前述通り、3都市で全9日間、18公演に及ぶ充実のショーが展開された。2012年から始まったビルビードライブ公演「Smoke&Blue」や“佐野元春クラシックを現在いまに鳴らせ”をコンセプトに制作されたセルフカヴァーアルバム『月と専制君主』(2011年)や『自由への岸辺』(2018年)など、突如、復活した佐野元春&THE HOBO KING BAND。その活動自体、既に10年を過ぎ、かつ、同メンバーでのアルバムもリリースされている。佐野元春&THE HOBO KING BANDの歴史も積み重ねてきている。頻繁ではないが、定期的にリユニオン(という言葉が相応しいかわからないが、特に解散宣言もなかったし、THE COYOTE BAND結成後も不定期で活動は続いていた)を繰り返している。卓抜した技量と豊富な音楽体験を持った信頼できるミュージシャンとのセッションは佐野元春にとって、必要なことだろう。このメンバーでなければできないこともある。

 

2012年のシリーズには日本のポップスのレジェンド、元祖“シティポップの女王”とでもいうべき雪村いづみがゲスト出演、後に佐野元春が雪村のために作り、雪村と佐野が歌った「TOKYO CHIC(トーキョー・シック)」(編曲・指揮は前田憲男)誕生の契機(同曲を核に新曲やカヴァーを加え、同題の共演アルバムも2014年にリリースされている)になっている。また、今年は佐野元春&THE HOBOKING BANDのアルバム『THE SUN』が発表されてから20年というアニヴァーサリーイヤーだ。

 

そんな記念すべき年の“Smoke&Blue”を飾るべく、佐野は特別なメニューを用意した。ツアー前に今回の「Smoke&Blue」のセットリストを彷彿させるプレイリストを公開している。

 

粋と鯔背、洗練と可憐、伝統と歴史を織り込み、2024年の大人の歌と音を聞かせる。ブルースやジャズ、ポップスの粋を凝らす。佐野は「トーキュー・シック」を歌う前、“「トーキュー・シック」を東京以外で歌う時、うしろめたさを感じる”というニュアンスの発言をしているが、やはり、同曲には東京の風景が似合う。できればステージ後方のカーテンを開け、東京の夜景を見ながら聞きたかった(1stステージはカーテンが開かずそのまま演奏された。残念!)。東京の優位性を勝ち誇りたいわけではないが、この日、披露された曲達を聞いていると、その思いを強くせざるを得ない。

 

佐野はデビュー当時から小粋で大人びたジャズナンバーやパーティナンバーをたくさん作っている。この日、披露された曲でいえば「It's Alright」や「Do What You Like」、「二人のバースデー」などだろう。この日は演奏されていないが、「彼女」や「HEART BEAT」などもそんな系譜にある。“この街”の「小さなカサノバ」や「ナイチンゲール」のドラマを見せてくれるのだ。それは粋で洗練された音楽でもある。そんな流れで、「トーキョー・シック」を聞くとしっくりとくるのではないだろうか。

 

日本の都市の音楽の系譜と源流を辿る。それはクラシックでアンティークに見えて、モダンでヒップ、そしてアーバンである。時代を経たものが必ずしも古色蒼然としたものとは限らない。雪村いづみと佐野元春の共演盤『トーキョー・シック』のライナーノートには佐野の父と母の若い頃の写真と、二人への献辞が掲載されていた。佐野の父と母は雪村いづみが十代の頃、専属歌手をしていた新橋のダンスホールに通っていたという。その写真は古びたものではなく、どこか、時代を超え、いまでもお洒落なものだったのだ。二人の輝きがそのまま封じ込められている。数年前、亡き父と母の遺品を整理していて、その中から彼らの若かりし頃の写真を見つけ、改めて思った。私の両親も佐野と同じく東京の“下町”生まれ、育ち。比較的、裕福な家庭に生まれている。その写真はとてもモダンでヒップだった。二人にも“青春時代”があったのだ。

 

この日、「トーキョー・シック」誕生の契機になった“場所”で聞くのは格別で特別なことのように思える。THE HOBO KING BANDとの“ツアー”は、DIGする旅ではないだろうか。「故きを温ねて新しきを知る」ではないが、何か、宝探しにも通じる。こんなものを見つけ出したという発見がある。それゆえ、新しい気づきや学びがあると言っていいだろう。

 

そして『THE SUN』 の“20周年”である。4年半という、完成まで長い時間がかかった難産のアルバムであったが、それは決して創造力や制作意欲の問題ではなく、システムやプロダクションの混乱や制約があったためだという。そんな軛を取り払い、当時のメンバー(長田は同作の録音時にはTHE HOBO KING BANDのメンバーではなかったが、レコーディングには参加している。古田は同作からTHE HEARTLANDの解散後、久しぶりに佐野のバンドに復帰した)が集結して、新たな気持ちに同作に向かいあう。そこには新鮮な驚きに溢れる。「地図のない旅」や「希望」、「観覧車の夜」、「最後の1ピース」など、大事な曲達があることを改めて再確認する。いまの“THE HOBO KING BAND”だから、そして“Smoke&Blue”だからこそ、“いまに鳴らせる”ことができる。危険で不穏な言葉達が田園と近郊の合間の洗練に包まれ、すんなり耳に入りつつも心の奥底で時限爆弾のように破裂していく。音的には後期のトラフィックを彷彿させる。彼らの『ザ・ロウ・スパーク・オブ・ハイヒールド・ボーイズ』や『シュート・アウト・アット・ザ・ファンタジー・ファクトリー』は未だに私の愛聴盤である。佐野も当時、トラフィックのライブ映像を正月にメンバーが集まり、ともに見たことを語っていた。どこかクールでいて、ホットでもある。『THE SUN』の“完全再現ライブ”などがあるかわからないが、できればこのメンバーで、改めて「国のための準備」や「太陽」を聞いてみたい。

 

 

この日は佐野元春がTHE HOBO KINGBANDのオリジナルメンバーである佐橋佳幸とDr. kyOnのユニット「Darjeeling(ダージリン)」のために作ったセカンドラインとロックンロールのごった煮「流浪中」(ダージリンのアルバム『8芯二葉~雪あかりBlend』<2019年>に収録。佐野がヴァーカルで参加)も披露されている。Dr.kyOnの腕の見せどころ。気持ちよくローリングしていく。こんな選曲も佐野の彼らへの信頼と敬意を感じさせる。そして最後は「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」と「最新マシンを手にした子供達」という佐野元春がTHE HEARTLANDと作り上げた名曲達をTHE HOBO KING BAND流にしっかりと料理(両曲とも2018年にリリースされたカヴァーアルバム『自由の岸辺』にHKBヴァージョンが収録されている)して、ビルボードライブに集まった幸運な観客達に提供する。同2曲は圧巻の流れ、見事に1stステージを締めてみせた。3都市で全9日間、18公演になるビルボードライブの公演を見られたものは僥倖だろう。

 

来年、2025年は佐野元春にとって、“デビュー45周年”というアニヴァーサリーイヤーになる。かつてない規模のツアーも予定されているという。まずは45年に渡って、私達の魂をぶち上げる曲を提供し続けたことに感謝。記念すべき年がどんなものになるのか、楽しみでならない。その前、本2024年12月には『The Circle』(1993年)のリリース30周年を記念してボックスと2枚組アナログ盤もリリースされるという。昨2023年にリリースされた『Sweet16』(1992年)のボックスも贅沢で豪華な傑作だったが、期待以上のものになりそうだ。楽しみに待つしかない。

 

 

佐野元春(Official)Facebook Page

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THE CIRCLE 30 TH ANNIVERSARY EDITION

https://www.moto.co.jp/features/the-circle-30th-Anniversary/

 

 

 

 

東京“粋”――トーキョー・シック 佐野元春&雪村いづみ

https://ameblo.jp/letsgosteady/entry-11778677945.html

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時を同じくして動き始めた2つの“バンド”の凱旋公演が本2024年9月22日(日)に福岡「CB」、10月8日(水)に東京・蒲田「ニューエイト」で行われた。仲野茂は新生「仲野茂バンド(仲野茂BAND)」を始動。同始動とともに同バンド誕生の契機となった仲野と下山淳の「アコギなSS」を復活させている。

 

 

9月22日(日)、福岡「CB」のステージには、まず仲野茂バンドの凱旋公演を祝い、賑わすかのように同バンドの盟友、アニマルズが登場した。

 

↑アニマルズ

 

2003年にヒッチャメン(元「小島」)を中心に名古屋で結成された大所帯バンド、アニマルズ(彼らは2024年1月2日<火>に新宿「ロフト」で開催された仲野茂の“生誕祭”に出演。8月3日<土>に名古屋「RAD HALL」で開催された「アニマルズナイト」でも仲野茂バンドと共演している)。名古屋の暴れん坊将軍と言われる(!?)アニマルズはホーンをフィチャーしたバンドで、スカやパンク、ロカビリー、ハードコアなどをごった煮。会場はモッシュが繰り広げられ、博多どんたくを思わせる祭り状態。強面のルックスとサウンドながらどこかに温かみのある音と歌を聞かせる。ヒッチャメンが体調の関係(腰を痛めたようだ)で、後半は椅子に座りながらのパフォーマンスという特別仕様かもしれないが、しっかりと、会場のボルテージを目一杯に上げ、次に登場する仲野茂バンドにバトンを渡す。

 

↑仲野茂バンド(写真左から)竹内理恵(SAX)、岡本雅彦(B)、梶浦雅弘(Dr)、仲野茂(Vo)、下山淳+マスク(G)

 

仲野茂バンドが「CB」のステージに登場する。同所は彼らがいつも出演している元HEATWAVEの渡辺圭一がオーナーを務める「Public bar Bassic.」から親不孝通りを徒歩で10分ほど北上したところ。長浜市場も徒歩圏内である。シーナ&ロケッツの川嶋一秀がオーナーを務める。

 

実は、9月22日(土)は、“Bassic.”では山部“YAMAZEN”善次郎の「山善古希LIVE!!」が開催され、北九州・若松では21日(土)、22日(日)と、若松市民会館大ホールで「LIVE inWAKAMATSU 1980 →2024」が開催、同日には池畑潤二、花田裕之、細海魚、市川勝也、大場由文などが参加するW2(Wakamatsu Sessions)、穴井仁吉、澄田健、茜が参加するモトサイコ・ロックンロール・サービス・ウィズ・アカネ、横道坊主などが出演している。

 

いろんなイベントが重なっている日だ。どこへ行こうか、迷った人も多いと聞く。当初はあまりの重なりぶりに自分達は遠慮して別日の開催を考えたらしいが、勿論、変更などはなく、予定通りに行われる。当たり前だ。

 

この日、仲野茂は“福岡はHOME(ホーム)である”と、何度も語る。説明不要かもしれないが、仲野茂バンド、仲野(Vo)は東京出身、下山淳(G、Vo)は山形出身、岡本雅彦(B)は山口出身、竹内理恵(Sax)は東京出身、福岡出身は梶浦雅弘(Dr)のみ。それでもホームというのは新生・仲野茂バンド誕生の契機は“Bassic.”が主催する2018年の“Bassic Rock fes”で、仲野茂、岡本雅彦、梶浦雅弘というメンバーで、“天神アナーキー”を結成したこと。仲野と梶浦の交流が始まり、梶浦は仲野の福岡以外のライブにも参加することになる。2022年1月にアナーキーの小林高夫が心筋梗塞のため救急搬送され、手術を受けるという事態が発生。同年2月から3月にかけて、アナーキーのツアーに代役として、池畑潤二やキースなどとともに梶浦が出演している。また、岡本が参加したW.C.カラス、Chihana(現在は脱退)というメンバーで結成されたWild Chillunにサポートとして参加(梶浦が参加した際には“カジチル”という名称もある)。2023年7月に開催された“Bassic Rock fes '23”では、下山淳を加え、仲野、下山、岡本、梶浦というラインナップで、仲野茂バンドとして出演している。それ以降、昨年、今年と、“Bassic.”で頻繁にライブを行っている。このメンバーでのお披露目も東京よりも先になる。また、竹内理恵を加えたライブも東京ではなく、福岡や所沢が先になった。福岡がある意味、仲野茂バンドにとって、ホームというべき“拠点”あることは確かだろう。

 

実は昨2023年7月2日(日)、福岡「Voodoo Lounge」で行われた「BRF‘23(Bassic Rock Fes’23)」の開場前に同所で、仲野茂バンドのリハーサルを見ている。その時、途中でリハーサルをやめ、メンバーがステージに集まり、カメラの前でPANTAへ激励のメッセージを送っていた。PANTAが亡くなったのはその数日後、7月7日のことである。仲野茂バンドのメンバーはPANTAの遺志を継ぐ資格と宿命を持ったミュージシャン達でもある。図らずも生前最期の魂の交感、メッセージを送ったのが福岡だった。9月1日(金) に渋谷「duo MUSIC EXCHANGE」にて行われた「PANTAお別れ会『ライブ葬』」では仲野と岡本は同ライブ葬の受付を務めていた。PANTAが存命であれば、その日は同所で頭脳警察と亜名亜危異のライブが行われるはずだったそうだ。

 

9月22日(日)福岡「LIVE HOUSE CB」で行われた仲野茂バンドの福岡への凱旋公演、いきなり「夢喰い虫」、「グッバイソニー」、「とびきりグラッチェ」と、仲野茂バンドの名曲を披露。さらに「右向け右」、「悪いたび」などを畳みかける。電光石火の勢い、熱くてやけどしそうな熱気を会場にもたらす。そんな中に不意打ちのようにルースターズの「フール・フォー・ユー」、シーナ&ロケッツの「I'm Flash(ホラ吹きイナズマ)」という福岡産の名曲が投下される。まるで凱旋歌のように聞こえる。

 

 

仲野は「ほら吹きイナズマ」を歌う前に“鮎川くん(と呼ぶのは仲野くらいだろう。彼なりの親愛と親密の証か)の曲をやらせてもらいます”と告げ、“鮎川くんとシーナが聞いてくれたらいいね”と、会場の上手にある鮎川のギターやシナロケのポスターを展示した一角を見ながら語る。いうまでもなく、ここは鮎川誠やシーナにとって、ホームである。鮎川の福岡の“音楽葬”も「CB」で、2023年8月14日(月)に行われている。

 

↑「CB」の一角には鮎川のギターやシナロケのポスターが展示されている

 

ただ、アンコールの際に語ったが、梶浦だけはシーナ&ロケッツの川嶋がいる前で、同曲を演奏することに緊張したそうだ。実は川嶋はこの日、北九州の「LIVE  in WAKAMATSU1980→2024」にエコーズ(辻仁成の同バンドとは別バンド。北九州出身の藤本祐治のバンド)のサポートとして出演し、同演奏を終えると、福岡に戻っていた。

 

仲野茂バンドは福岡産の名曲2曲に続き、仲野茂バンドの名曲にして、時代を射抜いた「月よおまえが悪いから」、「Mの時代」を放つ。そんな曲に続いて、アンジーの「天井裏から愛をこめて」を被せる。言うまでもなく、アンジーは山口出身ながら福岡を拠点に活動し、かの地からデビューしている。岡本雅彦はアンジーのメンバーだった。昨2023年7月の「Bassic Rock fes’23」で、同曲を披露し、SNSを通じて、大きな話題になった。この日の観客も同曲が歌われるのを待ちわびていたのか、同曲が歌われると絶叫と歓声が会場を満たす。仲野茂バンドは福岡のROCK KIDSの心を完全に掴んだ瞬間だろう

 

同曲を終えると、メンバーがステージから消える。数分後、アンコールの拍手と歓声の中、仲野が再び、ステージに現れる。彼は“ホームグラウンドって、いいね”と、観客に語りかける。メンバーを呼び出すと、梶浦に話すように声をかける。

梶浦は観客が拳を上げ、絶叫する――そんな場にいて、皆の顔を見られることを“うざいけど、いいよね”と、嬉しそうに語る。そして、仲野茂バンドとして、レコーディングをしたことを報告する。The Blues One Nightsなど、セッションやサポートでのレコーディングはあるが、仲野茂バンドという正式なバンドとしてのレコ―ディングは、THE MODS脱退後、初めてだろう。彼のことを常に気にかけていた地元のファンには嬉しい報告ではないだろうか。

 

 

仲野茂バンドはアンコールで、アナーキーの「東京イズバーニング」を披露する。勿論、ピー音は入っていない。同曲に続き、すっかりラストナンバーとして定着した「カエル」で、福岡への凱旋公演を締める。この日の凱旋公演、成長した彼らの姿を確認させてくれたのではないだろうか。仲野はステージを去る際に“やっぱり地元はいいね”という言葉を残している。

 

 

 

 

福岡「CB」のライブの翌週、10月2日(水)に下北沢「CLUB Que」でうじきつよしが主催する「うじき最強セッション~CLUB Que30年をぶっとばせ!~」に仲野茂は下山淳(G)、MARCH(B)、樋口素之介(Dr)というラインナップで出演している。MARCHは仲野茂バンドと度々、共演しているCaptain Hookのメンバーで、いま最高に恰好いいベーシストだろう。そして樋口は説明不要、頭脳警察のドラマーである。外道の「香り」やスターリンの「ロマンチスト」、頭脳警察の「ふざけるんじゃねえよ」などをカヴァーした。

 

「うじきつよし最強セッション」(写真左から)下山淳、仲野茂、樋口素之助、MARCH↑

Captain HookのMARCH↓

↓(写真左から)下山淳、うじきつよし、寺岡信芳、澄田健

「うじきつよし最強セッション」アンコールセッション(写真左から)↑佐藤タイジ、下山淳、仲野茂、井垣宏章、寺岡信芳、澄田健、椎野恭一

 

そのセッションを見て、仲野が1987年から新宿ロフトを拠点に行っていたシリーズイベント「The Cover」を思い出す。同シリーズから『The Cover Special』(1988年)や『The Cover』 (2003年)など、オムニバスアルバムがリリースされているが、そもそもその立ち上げには頭脳警察やサンハウスを復活させたいという仲野の思いもあった。スタート時点ではそれは実現しなかったが、時を経て、それは具体的な形になっている。いま、そんな思いが継続していることを感じさせる。PANTAのライブ葬などで、PANTAの曲を歌ったうじきつよしも盟友として、仲野の夢を後押ししている。はっぴいえんどなど、Jポップやフォーク、シティポップの流行り歌だけでなく、いわゆるレジェンドと言われるロックバンドの名曲も歌い継がれている。何か、いろんなものが円環のように繋がる瞬間を目撃することができたのだ。

 

 

 

そして、仲野茂は下山淳とともに「アコギなSS」も復活させた。この10月23日(水)に東京・蒲田のライブハウス「ニューエイト」で行われた憂歌団の木村充揮が出演するイベント「ロックンロールクローゼットVol64 ,65,66 リスペクト木村充揮3デイズ」(10月22日・23日は蒲田「ニューエイト」、24日は二子玉川「ジェミニシアター」で開催。彼らは10月23日に出演)で「アコギなSS」が6年ぶりに再始動した。仲野茂と下山淳の同バンド(ユニット)、2018年7月17日(火)に開催された渋谷「LOFT HEAVEN」のこけら落しイベント「LOFT HEAVEN GRAND OPENING『KNOCKIN' ON HEAVEN'S DOOR』」で一度、“解散”している。当時、酒を飲んでいた下山が泥酔状態で出演、仲野がその不甲斐ない演奏に激怒、終演後、切れて同所の扉を蹴り破る(!?)という“事件”も発生した。仲野は2度と下山と行動をともにしないと、決断する。仲野と下山は“喧嘩別れ”したのだった。ところが、仲野は新生・仲野茂を作るにあたり、やはり、ギターは下山しかないと、再び、声をかける。実は喧嘩別れをしても気になるらしく、ジプシーズのライブなど、岡本に“偵察”に行かせていた。そんな経緯がありつつも二人は「仲野茂バンド」で再会、そして、因縁(!?)の「アコギなSS」も再始動させた。下山は、この7月15日(月・祝)に所沢「モジョ」の仲野茂バンドのライブ後に行われた“公開インタビュー”(!?)で、下山は渋谷「LOFT HEAVEN」の“事件”のことはあまり気にしてないらしく、特に“喧嘩別れ”したという認識はまったくないと語っている。

 

6年ぶりの復活。東京の下町、蒲田にある、かつてはキャバレーか、と思しきライブハウスで、見事な復活劇を見せてくれた。仲野のヴォーカルに下山のギターだけという二人組である。開演時間の午後7時15分を5分ほど、過ぎて、何故か、2人は手を繋いでステージに登場。いきなり「東京イズバーニング」をかます。勿論、ピー音はなしである。仲野は“「LOFT HEAVEN」の最低最悪のライブから仲直りするのに6年かかりました。6年ぶりの「アコギなSS」です”と語り、続いて「とびきりグラッチェ」、「悪いたび」と、仲野茂バンドのナンバーのアコースティックヴァージョンを披露。アコギでパンクしていく。「イマジン」(ジョン・レノン)、「国旗はためく下に」(泉谷しげる)という、強力なカヴァーを聞かせる。さらに「赤軍兵士の詩」(頭脳警察)、「裸にされた街」(PANTA&HAL)というPANTAISMを継承すべく、畳みかけていく。さらに「ヘブンズ・ドアー」、「カエル」で締め、最後は仲野が下山に抱き付き、この日の演奏を終える。仲良しアピールか(笑)。

 

↑「アコギなSS」ライブ写真(撮影:加治屋圭斗)

 

「アコギなSS」の6年ぶりの復活は上々の滑り出しである。仲野の勢いだけでなく、溜めのある歌を下山のギターが牽引する。この2人のバランスは絶妙。まさに仲野と下山でなければできない間合いと空気感と言っていいだろう。

 

「アコギなSS」の後はこの日の主役、木村充揮が登場。相変わらずマイペースでステージが進んでいく。お馴染みのブルースだけでなく、演歌やフォーク、歌謡曲などをさりげなく歌いつつ、「ゲゲゲの鬼太郎」など、小ネタで笑いを取っていく術も見事としか、いいようがない。何気なく、歌い、演奏しているのだが、どこかに洗練された風情が漂う。昔は浪速臭漂う、泥臭い歌や演奏というイメージもあったが、何か、とても粋でおしゃれに聞こえるから不思議だ。河島英五の「野風増」や「酒と泪と男と女」のベタな歌でさえ、シティポップ(!?)に聞こえる。久しぶりに聞いて、新しい発見だった。

 

 

仲野茂は憂歌団の内田勘太郎と「ぶちかまし」というユニットを結成しているが、彼らのライブを見て、内田のスペイシーでハードなギターに驚いたものだが、憂歌団、恐るべし。いまこそ、聞くべきかもしれない。この日、実は木村のステージに最後、アコギなSSが合流して3人の演奏で締めるという段取りになっていたが、木村が乗りに乘ったのか、段取りを忘れたのか、演奏をなかなか、やめず、どんどん時間が過ぎていく。仲野はライブより長く、ライブ同様楽しいと言われる打ち上げが控え、会場の予約時間が迫っていたのか、これ以上とやるならセッションはしないと、スタッフに告げる。切れてはいないが、切れ気味だ。業を煮やした仲野は下山とともにステージに乱入して、3人で、お馴染み「おそうじオバチャン」を演奏する。勿論、放送禁止(!?)ではない。ピー音などはなく、ブルースをユーモアとペーソスに包んだ名曲が3人によって、至高の歌と演奏で披露される。終演は午後10時近くなったが、この3人組も絶妙の取り合わせ、無事に共演が行われ、いいものを見逃さず、済んだ。

 

仲野は「アコギなSS」の最後の曲を終えると、“また、6年ぶりに会いましょう”と、冗談めいて語ったが“安心してください!”。既に次のライブも“あるよ!”。11月9日(土)に東京・目黒「APIA40」で開催される「Rock'n Roll Closet Vol.68」への出演が決まっている。

 

 

 

https://x.com/shigeruband2024/status/1849165550385352898

 

 

 

https://x.com/shigeru_info/status/1849318143312977923

 

 

 

 

「アコギなSS」とともに「仲野茂バンド」の年内最後のライブも発表されている。PANTAとアキマツネオが開催してきた年末恒例の「UNTI X’mas」が開催され、その日、仲野茂バンドは PANTAの残した詩に曲を付けた新曲を発表するという。同バンドの年内ラストライブ、注目しないわけにはいかない。昨2023年に復活した仲野茂バンド、怒涛の勢いで活動を重ね、その存在感を見せつけてきた。来年は新たな展開も待っている。仲野茂と、その仲間達の活動から目が離せない。まずは来年の彼らを占う、この年末のライブは必見だ。

 

 

 

「Rock'n Roll Closet Vol.68」

会場:目黒APIA40 https://apia-net.com

日程:2024年11月9日(土)

出演:アコギなSS 仲野茂+下山淳/ NAOKI(SA)

時間:開場18:30 開演19:00

料金:前売4,500円当日5,000円ドリンク代別

TIGET予約 https://tiget.net/events/343783

CLOSET PARTY WEB

https://www.closet-party.com/inquiry.htmlhttps://www.youtube.com/watch?v=74b0IJEdNrY

 

 

 

「LAST UNTI X’mas PANTA is Reborn」

出演:仲野茂BAND (仲野茂 下山淳 岡本雅彦 梶浦雅弘 竹内理恵) / 黒い鷲-ZUNOMONO (澤竜次 おおくぼけい 宮田岳 樋口素之助 竹内理恵) / ゲスト アキマツネオ

日程:12月22日(日)

会場:渋谷「La.mama」

時間:開場18:30 開演19:00

ADV ¥5,000+D

チケット販売:

1.F.C.先行予約有り

2.ローソンチケット (10/15 10:00より発売)

https://l-tike.com/order/?gLcode=75279

(Lコード : 75279)

3.メール予約 lamama0123456789@gmail.com 

入場順:

F.C.先行→ローソンチケット→メール予約→当日券

ツイキャスプレミア配信 ¥2,000

https://twitcasting.tv/c:shibuya_lamama/shopcart/335215?fbclid=IwY2xjawGVP7lleHRuA2FlbQIxMAABHVYHxbYh3JZCp2G3vvdkgGOAC1lJmbJGMR_H_zWGRY3fR1OynjQI80ntKA_aem_QArt9PKqTY3UuYndqB8VgA

 

 

 

 

「TOKOROZAWA MOJO ROCK SHOW」

出演:アコギなSS(仲野茂、下山淳)

うじきつよし

毛糸のチョッキーズ(keme&岡本雅彦)

澄田健

宙也†幸也with小関純匡

日程:2024年12月28日(土)

会場:所沢モジョ

時間:開場16:00 開演16:30

予5500円/当6000円

1D別

予約/問合せ:

所沢mojo

toiawase@mojo-m.com

http://mojo-m.com

04-2923-3323

 

秋を通り過ぎ、夏からいきなり冬へ。実りの秋祭りはいま、いずこ。“ハーヴェスト・ムーン”を聞く機会はたくさんあったが、それを見る機会もない。そんな秋の祭りを東京・下北沢で堪能してきた。下北沢駅の南西口から徒歩1分、下北沢南口商店街にその会場はあった。

 

 

昨日は、10月26日(土)は下北沢のライブも楽しめるカフェ&バー「duke Saloon」で、行われた“高田エージ弾き語りライブ”。同所では3回目になる。SUPER BAD(スーパーバッド)の高田をTh eROCKERS、シーナ&ロケッツの澄田健がサポート。二人は古くから交流はあるものの、共演は初という奇跡のような組み合わせだ。

 

高田のXには“I'm a KING of Yeaaaaaah! 晴天率100%のお祭り男。 「Thank you Japan!」でおなじみ。 ひとり旅をしながら、歌ってる「幸せを運ぶ男」”と自己紹介がある。その言葉には噓はなく、希代のエンターテイナーとしての高田の魅力を澄田が引き出す(弾き出す)。多幸感に溢れたお祭りのようなライブ。同時に高田のシンガーソングライターとしての実力を再確認。どれも人懐っこく、自然と心を解し、身体を熱くしてくれる。ギターを抱えた全国行脚も伊達ではない。

 

 

当初は第一部の高田のソロコーナーに続き、第二部は澄田のソロもあるかと思ったが、それはなく、サポートのみである。しかし、控えめながらしっかり仕事をする澄田もとても尊い。何か、長年の友情に報い、高田エージをお祭り男にしてやろうという気概を感じた。“高田澄田”、もしくは“エージとタケシ”(命名権は主張しません!?)という、新しい相棒物語に酔いしれる。

 

ライブ後の語らいも楽しかった。この日は特別にお好み焼きもメニューにあった。お祭りには焼きそばやたこ焼きかもしれないが、主催者の友人であるお好み焼き屋の店主による特製お好み焼きは絶品。お祭り気分を大いに盛り上げた。

 

 

高田エージをちゃんと見たのは2020年1月27日の渋谷CLUB QUATTROで開催された「Jagatara2020 『虹色のファンファーレ』」のゲスト出演以来か。1988年4月25日、スーパーバッドは「ドナドナ」のカヴァーでMOON RECORDからデビュー。そういえばスーパーバッドは同年6月に開店した渋谷CLUB QUATTROのオープニングキャラクターを務めていたという過去もある。その後、さらにS-KENやJagataraなどとも交流、彼らが主催するイベントにも度々、出演している。また、2000年代には武田“チャッピー”治(彼は川上シゲ、澄田健、うじきつよしなどとチャッピーズを結成している)とSUPER Goooooood!(スーパーグー)を組み、トリオ編成だったが、知らぬ間に30名以上の大所帯バンドに膨れ上がったこともあるという。ストリートのヒーローがロードに出て、その成果を東京で披露してくれる。そんな彼との嬉しい再会だった。その場がシーナ&ロケッツのシーナと鮎川誠が愛した下北沢というのも縁のようなものを感じる。改めて、このイベントを主催した“黒い男爵”へ感謝だ。

 

 

https://x.com/SUPER_Goooooood/status/1848260349100695719